新造艦船情報(第22回)


日本海軍二等巡洋艦「橋立」の巻
(シールズモデル 1/700)

IJN 2nd CLASS CRUISER "HASHIDATE"
(SEALSMODELS 1/700)



 

act1:巡洋艦「橋立」について

明治19年度計画
明治21年8月6日 起工
明治24年3月24日 進水
明治27年6月26日 竣工(横須賀造船部)
明治31年3月21日 海防艦から二等巡洋艦に類別
大正元年8月28日 二等海防艦に類別
大正11年4月1日 除籍
大正15年解体

常備排水量:4,278t
垂線間長:89.9m
速力:16ノット
32センチ単装砲1基、12センチ単装砲11基、 47ミリ単装砲6基、37ミリ連装機砲2基、36センチ水中魚雷発射管4門 など(竣工時)

act2:三景艦がインジェクションキットに!

清国北洋水師の装甲艦「定遠」、「鎮遠」に対抗するため、 四千トン級の船体に長口径(当時としては)の32サンチ砲1門を 載せるという特異なコンセプトで建造された三景艦のうち、 横須賀で国産されたのが「橋立」です。しかし日清戦争では むしろ副砲の12サンチ速射砲が威力を発揮し、黄海海戦でも 活躍しました。日露戦争ではかつての仇敵「鎮遠」や他の姉妹艦と 共に第5戦隊を編成し、日本海海戦でも活躍しています。 また、練習艦としても長く使われ多くの将兵を育てました。

というわけで、シールズモデルのインジェクションキット第二段、 日本海軍二等巡洋艦「厳島、橋立」が発売されることになりました。 今回はフォーサイトさんのご厚意により、最終テストショットが 入手できましたので、早速「橋立」として組んでみました。 キットは2隻分で構成されえいますので「橋立」「厳島」 と2隻製作可能で、両艦の差異も組立説明図に解説されています。

モールドも適度に細かく施されており、フランス人技師 エミール・ベルタンの設計になるタンブルホームを持った船形も なかなか雰囲気よく再現されています。また小さなキットなので 比較的簡単に完成させることができます。 年代設定は日露戦争の頃ですので 一昨年リリースされた同社の戦艦「三笠」と並べることができます。 フォーサイト取扱のモデルクラック社製品二等戦艦「鎮遠」や 二等巡洋艦「松島」が入手できれば当時の第三艦隊5戦隊が再現できます。 いろいろ逸話の多い「三景艦」ですが竣工時は冷蔵庫がまだなかったので 艦内で牛が飼われていたとか。どのへんだろうとか想像しながら作るのも 一興です。(相当ヘンな楽しみ方ですが・・・)

全般に部品が小さく、細いので、不意に落としてしまっても 見つけやすい場所で作るといいです。また湯口の処理をするときは 部品を折ってしまわないように細心の注意を払いましょう。 また、今回はテストショットを使用しているので、一部製品版とは 仕様が異なる可能性がありますのでご容赦ください。

act3:船体

昨今はやりの左右分割式の船体になっており、細かいデティールが 彫刻されています。左右の貼り合わせはほとんど問題ありませんが、 甲板との合いは主砲付近と船体中央部をちょっとやすって船体にフィット させたほうがいいようです。船体後半も少し隙間ができそうな感じなので 流し込みタイプの接着剤で船体と密着するように接着しました。

実艦では主砲周りの波除は舷側では船体と面一になっているので、 パーツ接合面にパテを持ってヤスリます。

上甲板の副砲スポンソン(部品20,21)は少し 舷側から張り出し過ぎのように思えましたが、 修正も難しいのでそのままにしました。 接着位置がわかりづらいかもしれませんが、 箱絵とにらめっこしながらやるしかなさそうです。 中甲板の副砲スポンソン(部品22,31,39)も少張り出しの表現が オーバーな感じがしましたので、裏側を若干ヤスッて削ってから 接着しました。

その他あまり問題なくスラスラ組み上がりますが、 実艦の写真を見ると「厳島」は、 錨鎖孔をつなぐ長方形のプレートが無いように見えます。

act4:上構

艇架(部品34,35)を接着してしまうと上甲板の12cm砲、47mm砲が接着しにくく なってしまうので、先に接着します。

このような艦型では煙突は結構目立つ存在なので合わせ目は消します。 煙突キャップ(部品8)は3mm径のピンバイスで穴を開けましたが もし、穴を開ける場合には折ってしまわないように注意しましょう。

後部艦橋につながるラッタルのモールドも結構目立ってしまうので、 できれば削り取ってエッチングのラッタルにかけなおしたほうが よさそうです。(作例ではそのままですが)

搭載艇を接着するときは、なるべく艦中心線に寄るように接着していかないと ボートダビッドが所定の位置に接着できなくなってしまいますので、 注意してください。作業は難しくなりますが、先にダビッドを接着してから 搭載艇を接着していったほうが位置決めしやすいかもしれません。 ダビッドのパーツと副砲の砲身のパーツは折れやすいのでゲートの処理は 細心の注意が必要です。

マストは上段(部品13)は0.5mm径のプラ棒で 上段のヤード(部品17)及び無線用ガフは 0.3mm径のプラ棒で作り直しました。

キットの菊花紋章は大きすぎるので WL装備セット小型艦用あたりから流用したほうがいいと思います。

act5:装備

主砲が1門しかない、という得意な艦型ゆえに、 主砲は接着しないで旋回できるようにしておくと、あとで 色々な角度から眺めたときに面白いです。 32サンチ砲砲身はパーティングラインをよく削っておきましょう。

艦橋もあっさりしたものですが、Cランナーにある マントレットで囲ってみるのも面白いかもしれません。

act6:塗装

キットの状態は日露戦争の頃ですので、船体はMr.カラー軍艦色(2)、木甲板は 同じくタン、煙突上部はつや消し黒、喫水線部分は艦底色でお決まりのパターンです。 舷側にフランス式設計の特徴でもある角型の舷窓が細かく彫刻されていますので 是非、(エナメル塗料で)墨入れすることをお勧めします。 白い塗装の時代も作りたいものですが、ネットスパー、マスト支柱、 中甲板副砲スポンソンの追加などの工作が必要になります。

参考文献
・「世界の艦船」441集9月号増刊「日本巡洋艦史」
・「世界の艦船」486集1994年9月号

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