新造艦船情報(第16回)


ミサイル巡洋艦「チャンセラーズビル」の巻
(上海ドラゴン"U.S.S. NORMANDY"改造 1/700)

U.S.S. "CHANCELLORSVILLE"
(from SHANGHAI DRAGON "U.S.S. NORMANDY" 1/700)



 

act1:ミサイル巡洋艦「チャンセラーズビル」について

タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦第16番艦としてインガルス造船所にて起工。
1989年11月4日竣工。

スプルーアンス級駆逐艦の船体にイージス防空システムを塔載した いわゆる「イージス艦」。本艦は第3グループ(Baseline3)に所属し、 フェーズドアレイレーダーはSPY-1Bになっています。

今年(1998年)8月に米軍横須賀基地に配備となりました。

満載排水量:9,466t
全長:172.8m
速力:30ノット強
スタンダードMR SAM/トマホークSLCM/アスロックSUM用VLS2基122セル、 ハープーンSSM4連装発射筒2基、127mm単装砲2基、20mmCIWS2基、 324mm3連装短魚雷発射管2基など

act2:上海帰りの・・・

今回は航空母艦「キティホーク」と共に横須賀に配属替えになった 「チャンセラーズビル」を製作しました。同艦を作るにあたって 一番都合が良いのはピットロード社から発売されていた 「モービル・ベイ」だったのですが、いざ探してみるともう 店頭にはなかったのですね。

同社タイコンデロガ級の金型は香港のドラゴンに渡った後、 最近では上海ドラゴンから発売されています。 私が確認しているレーベルは「タイコンデロガ」と「ノルマンディ」。 中身は確認していないので断言できませんが前者にはVLS用パーツが 同梱されていない可能性があるため、今回は後者を選びました。

ざっとキット内容を見てみると、 ドラゴンお得意の喫水線下船体パーツのランナーが追加されています。 ネームプレートにはしっかり"U.S.S. Ticonderoga"とモールド されちゃってるのがお茶目。 まあ、今回はウォーターラインモデルとして製作するので構わないけど。 VLSパーツがスプルーアンス級上構パーツのランナーに付属しているため ランナー丸々一枚が不要パーツという豪気さ!

あとこれは笑い事ではないのですが、パーツに触るとわかるくらいに 離型用の油が付着しています。 私も一応中性洗剤の水溶液に一晩浸してみたのですがその程度ではダメ かもしれません。徹底的にあらいましょう。

act3:船体

昔から言われているようにこのキットは船体と艦首ブルワーク部品の合い が非常に悪いのでかなりパテを盛ってやる必要があります。 同部品の甲板の接合部も段差が出来やすいので こっちもある程度すりあわせたらあきらめてパテを盛ってしまったほうが いいと思います。

実艦では艦首ブルワークに数箇所穴が開いていますが、 タミヤパテを厚盛りした上からきれいに穴を開けるのは結構難しいので 舳先の穴以外は省略してしまいました。ここはポリパテを使ったほうが 良かったかもしれません。

act4:上構

上構後部部品(B48)は合いが悪くパテ盛りを要する以外は大きな問題は ないでしょう。また同部品の後部煙突右側にプラ板(1.5mmx20mmくらい) でブルワークを延長します。

上構側壁と上面の接着面も気になる個所はパテで整形したほうがいいです。

細かいところでは艦橋ウイング(B18,B19)を接着するとき 艦橋(B8)前面と面一にするのでなくほんの少し奥まった感じに 接着したほうが実感がでます。それからインストでは艦橋後部の 旗格納箱の取付が省略されていますので、スプルーアンス級上構パーツランナー (Dランナー)の部品32をB49の右後端と左吸気トランク天蓋上に接着します。

マストは前後とも桁が太目なのがちょっと気になりますが、 全部作り直すまでの根性はなかったので、 後部マストの背面のトラスの追加や横桁支持の支柱の追加程度 にとどめました。

act5:装備

武装なんかも特に問題ないでしょう。 ただ後部VLS(D2)の前後わかりにくいのでインストを見ながら接着しましょう。

最近のタイコンデロガ級全般に言えることですが 小型のレドームがいくつか追加されていますので以下のように 追加しました。

・前マストSPQ-9レーダーのレドーム(B26)前の艦橋天蓋 に小型レドーム(2mm径プラ棒3mm位のものを先端を丸くする) とその支持構造物(トラス構造)を追加。
・後部煙突左舷側と同後方後部吸気トランク天蓋に小レドーム (衛星用に見えたので今回はストックの「さわかぜ」パーツ部品17を流用) を追加。これに伴いB32+B33+B34は使用しない。

キットに入っている錨はホールス型のもので米海軍制式のものと 形状が異なるので気になる人はアメリカ海軍装備セット(II)から流用 するといいかもしれません。

またいつもは旗竿も三脚に作り直していますが、タイコンデロガ級 の場合、艦首艦尾ともに旗竿はただの棒のようでしたので、 今回はキットの部品をそのまま使いました。

act6:塗装

船体は現用アメリカ軍艦色としてはお気に入りのタミヤ缶スプレーの ヘイズグレー(TS32)、甲板はピットロードカラーアメリカ海軍現用カラー(2)。 さて墨入れでもしようかねー、なんてエナメル塗料を拭き取り始めたら、 あーら不思議?下地のヘイズグレーまで剥げちゃった!
「いつからエナメル溶剤でラッカー塗料が溶けるようになったんだよう!(T_T)」
と叫んでもあとの祭り。 今回は泣く泣くラッカーシンナーで塗装剥がしてやり直しました。 表面の油の洗浄が不十分なためにこんなことが起きてしまったのかと 思ったのですが、MGS狩野氏の指摘によればタミヤスプレーは 下地が弱いのでエナメル溶剤で溶けることがあるそうです。 ご教示ありがとうございます。

塗装指示はそんなに間違いはないと思いますが、 ハープーン発射筒先端は最近は赤ではなくてダークグレイのような気がします。 それからモーターランチ船底(A9)は全部黒ではなく下半分位が黒です。 細かいアクセントとしてはキャプスタンを暗い茶色、艦橋前の 時鐘(?)はブルーメタル、艦橋ウイングブルワーク上縁を茶色 なんて感じです。

デカールはドラゴンオリジナルのものがセットされており、 CG-52(バンカーヒル)からCG-60(ノルマンディ)までが作れます。 同社1/350キットのデカールをスケールダウンしたような感じの出来で、 喫水表示や艦載艇の艦番号なんかまで用意されており、艦番号もロービジタイプ になっているのが新鮮。スケール的にも旧ピットロードのに比べて 適正かもしれません。

と、見た目はかなり感じ良いのですが、艶消しクリアーを吹いたら 余白が白濁する傾向がありがっくし。(T_T)またもや涙にくれてしまいました。 使う場合は気を付けましょう。

ちなみに今回製作したチャンセラーズビルの場合、 艦番号は切貼りで"62"が作れますが同梱のデカール では艦尾の艦名表記が不足するので、ミンダナオ会の佐藤氏にピットロード のデカールからそこだけ恵んでもらいました。 同氏には資料なども提供してもらいました。 この場を借りて御礼申し上げます。

参考文献
世界の艦船464集「アメリカ巡洋艦史」
世界の艦船484集「特集:スプルーアンス・ファミリー」
世界の艦船543集59,60ページのリムパック98のカラー写真
丸630集カラー頁「シーパワーTODAY(16)」

act7:追加情報

「世界の艦船」544集5ページに同艦の近影が掲載されましたので 気づいたこと、記事の訂正など書きます。

まず艦橋構造物右舷後方の四角い突起が同艦にはないのが わかりました。ただこれは修正するのは面倒そうです。

それからヘリ格納庫上の小レドームですが後部吸気トランク 天蓋ではなくトランク後方右舷寄りの格納庫天蓋から立っています。 なくなったと思ったOE-82衛星通信アンテナ(B34)は後部煙突右舷側 に張出しを設けてそちらに移動していました。

右舷側艦載ボートはディンギーボートに変更されています。

艦尾艦名も喫水線近くのかなり低い位置で、 しかもロービジ化によりかなり読みづらい感じになっています。

旧・新造艦船情報

  • 1/700戦艦「信濃」の巻(タミヤ戦艦「武蔵」改造 1/700) UPDATE 98/07/04
    IJN BATTLESHIP "SHINANO" (from TAMIYA's BATTLESHIP "MUSASHI" 1/700)

  • 1/700軽巡洋艦「チェスター」の巻(JIM SHIRLEY PRODUCTIONS) UPDATE 98/03/14
    U.S.S. "CHESTER" CL-1 (JIM SHIRLEY PRODUCTIONS 1/700)

  • 1/700護衛艦「むらさめ」の巻(アオシマ) UPDATE 97/12/29
    JMSDF DEFENCE SHIP "MURASAME" DD-101 (AOSHIMA 1/700)

  • 1/700水雷艇「鴻」の巻(ピットロード) UPDATE 97/11/30
    IJN Torpedo Boat "OTORI" (PITROAD 1/700)

  • 1/700輸送艦「あつみ」の巻(ピットロード) UPDATE 97/09/24
    JMSDF LST"ATSUMI" class LST-4101 (PITROAD 1/700)

  • 1/700護衛艦「はるさめ」の巻(ピットロード) UPDATE 97/08/19
    JMSDF DEFENCE SHIP "HARUSAME" DD-102 (PITROAD 1/700)

  • 1/700水雷艇「千鳥」の巻(ピットロード) UPDATE 97/05/04
    IJN Torpedo Boat "CHIDORI" (PITROAD 1/700)

  • 1/700軽巡洋艦「龍田」の巻(ハセガワ) UPDATE 97/04/01
    IJN Light Cruiser "Tatsuta" (HASEGAWA 1/700)

  • 1/700改丁型駆逐艦の巻(フジミ・タミヤ) UPDATE 97/03/01
    IJN Destroyer "Kai-Tei(Tachibana)" class (Based FUJIMI&TAMIYA 1/700)

  • 1/700工作艦「明石」の巻(ピットロード) UPDATE 97/01/06
    IJN Repair Ship "Akashi" (PITROAD 1/700)

  • 1/700潜水母艦「長鯨」の巻(ピットロード) UPDATE 96/10/13
    IJN submarine tender "Chogei" (PITROAD 1/700)

  • 1/700輸送艦「みうら」型の巻(ピットロード) UPDATE 96/08/04
    JMSDF LST"MIURA" class (PITROAD 1/700)

  • 1/700駆逐艦「フレッチャー」型(タミヤ) UPDATE 96/07/21
    USS "FLETCHER" class (TAMIYA 1/700)

  • 1/700駆逐艦「朝潮」型(ピットロード) UPDATE 96/06/03
    IJN Destroyer"Asashio" type (PITROAD 1/700)

  • 1/700駆逐艦「白露」型(タミヤ) UPDATE 96/03/17
    IJN Destroyer"Shiratsuyu" type (TAMIYA 1/700)


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