新造艦船情報(第14回)


軽巡洋艦「チェスター」の巻
(JIM SHIRLEY PRODUCTIONS /700)

U.S.S. "CHESTER" CL-1
(JIM SHIRLEY PRODUCTIONS 1/700)



 

act1:軽巡洋艦「チェスター」 について

1908年4月、バス鉄鉱所にて竣工。
1920年7月、CS-1からCL-1に艦番号変更。
1921年6月、退役。
1928年7月、Yorkと改名。
1930年5月、売却。

常備排水量3750トン、速力24ノット。
5インチ単装砲4門、3インチ単装砲2門、3インチ単装高角度砲1門など。 米海軍巡洋艦としては初めてタービン機関を採用した。艦番号が示すように 同海軍最初の軽巡洋艦である。 同型の2番艦バーミンガム(CS-2後にCL-2)は1910年に米海軍史上初めて航空機を発艦させた。

act2:たまにはウレタンキットなど

ガレージキットの世界でも日露戦争から第一次世界大戦の間の 艦というのは割と(?)冷遇されているようで、 初めてこのキットを店頭で見かけたとき「即、買い!」だと思いました。 時の価格は\5,700でした。

帰ってきて中を検分してみると、パーツ数は少なくて すぐ完成しそうだし、ヌケの状態も良くて気泡もあまりない様子。 ただよく見ると、離型剤が弱いのか、たまたま私の買ったロットが そうだったのか、シリコンゴムが一部のパーツに付着していたり、 その逆で、型の欠損がそのままパーツの方に表れていたりしてまして、 特に後者はエッジがよく表現されているだけにちょっと修正が 手間どりそう。

と、このキットのファーストインプレッションは中々良かった のですが、製作していくうちに・・・。

act3:船体

全体的な形状は当時の巡洋艦の独特な感じが出ていて良いのですが、 細かいところでは「?!」の連続!キットの状態は1919年ということになっている ので、そのまま作ることにしたのですが、晩年のチェスターの姿をうかがい知る ことのできる資料はほとんど入手できませんでしたので、以下ひょっとしたら 「キットのまま」が正しいこともありえなくはないのでその辺のところ ご了解ください。

まず船首楼最上甲板は板張りのモールドがないですが、ここも板張りです ので、他の甲板と同じピッチで直線をけがいてやりましょう。 最上甲板の一層下の甲板にそって実艦では凸モールドのような線が結構目立つ のでこれを伸ばしランナーで再現してやると良いアクセントになると思います。

キットでは舷側の主錨は右舷側しかモールドされておらず、形状も 米海軍タイプではないので、これは削り落とし、P社米海軍装備セット(1)など から駆逐艦用の錨を両方の舷側に付けてやります。右舷最上甲板に錨の モールドがありますが、ここに格納されていたのはストック型の小型の錨です。 私はゴールドメタルのエッチングパーツに換装しました。

艦尾の旧3インチ砲座の開口部はキットでは表現されていませんが、 同砲撤去時に閉塞された可能性もあると考え、そのままにしました。

水線部の装甲はキットでは舷側からでっぱって表現されていますが、 実艦ではほとんどわからないくらいに舷側と面一に整形されているようです。 今回はそれに気が付くのが遅かったためそのままです。

act4:上構

もともとあの時代の軍艦ですから上構はシンプルなんですが、 キットのままではシンプルすぎるようです。まず、露天艦橋のブルワーク は第一次大戦頃の米軍艦に良く見られる独特の楔型(?)のものがセットされて いますが、その上が何もありません。同時期の同型艦(バーミンガム、セイラム) の状況からして、その上に探照灯台とさらにその上に見張台(?)があるので プラ板で工作します。見張台のブルワークも同型艦では楔型ブルワーク (算盤の玉型とでもいいましょうか?)になっていますが、 チェスターではどうなっていたかわからなかったので普通のブルワークに してしまいました。 キットの説明では艦橋ウイングに探照灯を付けるように指示していますが、 これは甚だ疑問であります。

前後ともマストの継目あたりには見張り用の小フラットがあると 思われますので、たまたま余っていたT社の5、500トン級の前マストに付ける パーツを流用しました。キットの説明では後マストは1本の棒で造るよう 指示されていますが、前マストと同様に太い棒と細い棒の2段で構成 されていたようです。またキットの説明では横桁は1本になっていますが、 2本あったようで、後マストには斜桁を付けます。

後マスト後方はキットでは何にもパーツがありませんが、 後部探照灯台があったと思われますので箱に貼ってある図面 (恐らくチェスターではなくバーミンガムのものだと思うのですが^^;) を参考にプラ材等で組みます。

煙突は丸断面のもの4本がキットに入っているため、 そのまま作るとチェスターしか作れません。バーミンガムやセイラム にする場合は1番、4番煙突の断面が小判型になるように 削ってやるとよいでしょう。

艦尾の旗竿はかなり後ろ向きに傾いているようです。

act5:装備

主な装備はP社の各パーツからぱくっているような印象 を受けますが(^^;)、成形状態がいいのでそのまま使ってもいいでしょう。

舷側の主砲はの装備位置がキットが指示している場所で 本当にいいのか疑問なところではありますが、確たる資料を持ち合わせて いないので、そのまま付けました。ちなみにバーミンガムとセイラムでも その場所は相違しています(前者は3番煙突脇、後者は4番煙突後方両舷側) ので、何ともいえません。 また箱絵の図面では主砲にシールドがありますがこれはバーミンガムのみ の仕様のようです。

艦首5インチ砲後ろに2メートル位の測距儀があったようなので P社パーツなどからから持ってくるとアクセントになります。 (ただこれは仮設のものかもしれません。)また同砲前方には錨を 揚収するためのクレーンが倒されていますので"A"の字型の部品を 付けといてやるとそれらしくなります。

説明図で指示されている救命筏の取付け位置は信じ難い (ウインチに縛りつけるのか?)ので、適当な場所を探しましょう。 私は艦橋両脇と後部探照灯台両脇に付けてしまいましたが、 これはフィクションです。

ボートダビットは説明図の取り付け方は大ウソで舷側側 に取り付けましょう。このパーツは基盤シートからの切り離し が難しいのでよく切れるカッターで力のかけ具合に着を付けながら やりましょう。(私は何本も折ってしまいました)

act6:塗装

説明図には塗装指示はありません。当時の塗装はよくわかりませんが、 グレー一色だったようなのでグンゼ31番アメリカ軍艦色で塗りました。 甲板はデッキタン。喫水線はよくわからなかったので取り敢えず黒。

思うにこのキット初めに原型作ってた人から途中で何等かの理由 でこの船を良く知らない人にバトンタッチされてしまたのではないか? という感じがするんですが、うがちすぎでしょうか?資料としては 「世界の艦船」1981年10月号(300集)158頁にセイレム晩年の航空写真と チェスター前甲板の写真が、「世界の艦船」1993年4月増刊 (464集「アメリカ巡洋艦史」)57頁に第一次大戦中のバーミンガムの 船体中央のアップ写真があります。

旧・新造艦船情報

  • 1/700護衛艦「むらさめ」の巻(アオシマ) UPDATE 97/12/29
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  • 1/700水雷艇「鴻」の巻(ピットロード) UPDATE 97/11/30
    IJN Torpedo Boat "OTORI" (PITROAD 1/700)

  • 1/700輸送艦「あつみ」の巻(ピットロード) UPDATE 97/09/24
    JMSDF LST"ATSUMI" class LST-4101 (PITROAD 1/700)

  • 1/700護衛艦「はるさめ」の巻(ピットロード) UPDATE 97/08/19
    JMSDF DEFENCE SHIP "HARUSAME" DD-102 (PITROAD 1/700)

  • 1/700水雷艇「千鳥」の巻(ピットロード) UPDATE 97/05/04
    IJN Torpedo Boat "CHIDORI" (PITROAD 1/700)

  • 1/700軽巡洋艦「龍田」の巻(ハセガワ) UPDATE 97/04/01
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  • 1/700輸送艦「みうら」型の巻(ピットロード) UPDATE 96/08/04
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  • 1/700駆逐艦「フレッチャー」型(タミヤ) UPDATE 96/07/21
    USS "FLETCHER" class (TAMIYA 1/700)

  • 1/700駆逐艦「朝潮」型(ピットロード) UPDATE 96/06/03
    IJN Destroyer"Asashio" type (PITROAD 1/700)

  • 1/700駆逐艦「白露」型(タミヤ) UPDATE 96/03/17
    IJN Destroyer"Shiratsuyu" type (TAMIYA 1/700)


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