新造艦船情報(第17回)


軽巡洋艦(重雷装艦)「大井」の巻
(ピットロード 1/700)

IJN CRUISER "OI"
(PITROAD 1/700)



 

act1:重雷装艦「大井」について

大正6年度計画
大正8年11月24日神戸川崎重工にて起工
大正9年7月15日進水
大正10年10月3日竣工
昭和16年9月重雷装艦への改装工事終了
昭和19年7月19日米潜フラッシャーの雷撃により沈没

球磨型軽巡洋艦(いわゆる5500トン級の最初のグループ) の1艦として誕生した「大井」は昭和12年度出師準備計画より、 同級の「北上」、「木曽」とともに重雷装艦への改装が予定され、 対米開戦を控えた昭和16年に改装されました。

基準排水量:7,041t(昭和19年の「北上」)
全長:162.15m
速力:32ノット
61センチ4連装魚雷発射管10基、14センチ単装砲4門、 25ミリ連装機銃2基など

act2:こうゆう時代かねぇ・・・

ちょっと前なら、レジンキットでしかお目にかかれないような アイテムだと思うんですが、やっぱり太平洋戦争中の旧日本海軍艦艇 は人気あるんですねえ。

そうは言っても相変わらず謎の多い艦でありまして、 最近いろいろ新しい意見が出てきてかえって混乱しちゃうのであります。 私が知っている重雷装艦関係の記事としては・・・

(1)「世界の艦船」96年11月号にて元「北上」乗組員の 阿部達氏の「北上」に関する回想と上構の一部が移った写真が 掲載された。

(2)「世界の艦船」97年1月号にて(1)の文をもとにした 「北上」の艦橋構造物の推定イラストが掲載された。

(3)「戦前船舶」第三号(97年6月発行)にて、 公式図面によれば重雷装艦が装備する92式四連装発射管3型の シールドは天井のない側壁だけの構造である、との回答がだされた。

(4)歴史群像別冊「特型駆逐艦」にて92式四連装発射管3型 の図面が発表され、それを元にした「北上」の想像イラストが掲載された。

(5)ピットロード重雷装艦「大井」のインストラクションによれば 阿部達氏は発射管はシールド付きであったと記憶されているとのこと。

これらを総合して私が勝手に想像した重雷装艦の姿は・・・

・キットの艦橋構造物でも私の主観では充分「貧弱」な感じなので そのままとした。

・艦橋後方の甲板室はキットのままとした。 艦のレイアウト上、兵員待機所がどこかには必要と思われたため。

・発射管は両舷の前から2基の計4基はシールド付きとした。 元々92式四連装発射管3型は盾なし、で計画されたそうですが、 用兵側の要求で後から側壁を取り付けたとのこと。だとすれば 特に波浪の影響の大きい前方の発射管は天井付きのフルシールド を施した可能性もあるのでは・・・。阿部氏が乗艦していた 昭和18年11月以降の「北上」は輸送任務のため、前方の4基しか 発射管を搭載していなかった可能性があり、同氏の記憶と辻褄を 合わせてみました。

まあ、写真でも出てこない限り「絶対にこうだ!」と 断言もできませんので、皆さんそれぞれの解釈をお楽しみください。 勿論キットの出来もなかなかのものですからそのまま作るのが 一番精神衛生上宜しいかと思います。

ちなみに「大井」ではランナーから切り取られている 部分に「北上」用の背の高い第一煙突のパーツがあるはずですので 「北上」を作りたい方は暫しお待ちを。 タミヤの「木曽」と組み合わせて実現しなかった重雷装艦「木曽」を 模型で再現するのも面白いかもしれません。

前置きが長くなってしまいましたが、製作に入りましょう。

act3:船体

以下の点に手を加えました。

・舷窓のモールドが甘いので0.5ミリ径のピンバイスで穴を開けた。

・艦首及び1番主砲下あたりにヒケがあるのでパテで埋める。

・アンカーレセスは実艦にはないので錨接着部の凹みはパテで埋めた。

・舷外電路が省略されているので、箱絵を参考に伸ばしランナーを 取り回して接着した。(「大井」の改装は昭和16年9月に完成 しているので、工事完了時には舷外電路は装備されていたもの と想定しました。)

・錨甲板を接着する前に甲板パーツ、船体側共に接合部をよく 削り合わせる。

・アンカーホールが巨大な「穴」に見えるので、 蓋をそれらしく作ってみた。

・後部上構側壁パーツ(B59,B60)を先に船体に接着し接合部をパテで 目立たなくする。(多分、実艦では接合部ははっきりわかる状態 だったのではないか、と思うのですがそのままだとちょっと模型 っぽくなってしまうような感じがしたものですから・・・)

その他船体パーツに少々バリがありますので気をつけて 削り取っておきましょう。

act4:上構

艦橋天蓋パーツは接着をガイドする凸に従うと艦橋パーツより後ろ 側にちょっとずれて、カッコ悪いので、B43の丸い凸を削りとって、 B41の前縁とB42の前縁が合うように接着します。

艦橋下部は阿部氏の記憶に従って指令塔スリットを 描いてみました。

主砲観測所(?)パーツ(B6) には窓枠がモールドされていますが、 この部分を削り取ってしまいました。世界の艦船96年11月号掲載 の「北上」のスナップだとこの部分、あまり窓枠が無いように 見えたもので・・・。また同部品前端には遮風板を付けてみました。 ちなみにその天蓋もキャンパス製と判断しましたので、 B9は白く塗りました。

マストの太さはそれほど気になりませんが、あんまり 手を加える個所が少ないので、今回は0.3ミリ径のプラ棒に 置き換えました。旗竿も三脚に作り替えました。

甲板室などの構造物の合わせ目、特に 船体パーツと艦橋の接合部は目立つのでパテで消したほうが いいでしょう。

act5:装備

主砲防盾はちょっと偏平な感じもしないではないです。 防盾下端後縁の切り欠きが表現されていないのでちょっと 削りました。砲身は防水布まで再現されていて、ラクですが ちょっと防盾との合いが悪いような気がしましたの。 どうしても気になる方はタミヤの14センチ砲に換装するのも 手かもしれません。

魚雷発射管は前述のように前方4基をシールド付きとするため、 ピットロード社の「日本海軍装備セット(V)」の部品20を流用し、 歴史群像別冊「特型駆逐艦」の哨戒艇101号の発射管シールドを 参考に削りこんだ上で接着しました。 駆逐艦用の92式四連装発射管4型とは若干構造が違うためですが、 あんまり変わり映えしません(^^;)

内火艇上面にヒケがあったのでパテで修正しました。

act6:塗装

船体はお定まりのグンゼ32番。リノリウム甲板はピットロードカラー11番。 魚雷発射管、吸気筒フィン部などは墨入れしてやるといい感じです。

デカールの軍艦旗はちょっと大きすぎる感じがしたので 使用しませんでした。

ちなみに前述の「戦前船舶」第三号によれば 重雷装艦の発射管は首尾線に対し左右15度までしか 旋回しないそうですので(多分発射するときは、 という意味だと思う)、ジオラマにする場合などで、 発射シーンを再現する場合には注意されたほうがいいかもしれません。 (架空戦記では真横に撃ってる描写もあるかもしれませんが・・・^^;)

**追記**
上記発射管の旋回角度について、ニフティサーブ 模型フォーラムの細川氏より「戦前船舶」の記事は 105度の誤植ではないか、との指摘がありました。煙突基部の 形状を考えると90度旋回までのクリアランスは充分にありそうなので 私も不思議に思っていたのですが、これで疑問は氷解しました。 男らしく真横に20射線ブッ放しているシーンもOKのようです。

**追記その2**
上記発射管の旋回角度について、ニフティサーブ 模型フォーラムの細川氏より再び指摘があり、15度というのは 真横に対してであり首尾線に対しては75度であるとのこと。 やっぱり真横には撃たない(撃てない)のです。その他色々 このキットには間違いがあるようで、その辺は「戦前船舶」の 第8号にまとめて記載されるようですので、まだ着手されていない 方は同誌の発売まで待ったほうがいいかもしれません。

**追記その3**
「戦前船舶」の第8,9合併号によればやはり 発射管の旋回角度は首尾線に対しては75度であるとのこと。 酸素魚雷は従来の魚雷に比べ高速であるため、射法上真横には 撃たないそうです。 また発射管のシールドについても後半部が開放式の簡易シールド (喩えるならばスリッパの先っぽみたいなシールド)が着けられて いたようです。

参考文献
丸スペシャル46集「日本の軽巡」
世界の艦船441集「日本巡洋艦史」
世界の艦船516集「特集:艦船の最新テクノロジー」(読者交歓室)
世界の艦船519集「特集:アメリカ海軍」(読者交歓室)
「戦前船舶」第三号(日本軍Q&A)
歴史群像別冊「特型駆逐艦」

旧・新造艦船情報

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    Make Home Page:1998.12.28 / Updated 2000.02.27
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