新造艦船情報(第18回)


海洋観測艦「すま」の巻
(シールズモデル 1/700)

JMSDF AGS-5103 "SUMA"
(SEALS MODEL 1/700)



 

act1:海洋観測艦「すま」について

昭和54年度計画
昭和55年9月24日 日立造船舞鶴工場にて起工
昭和56年9月1日 進水
昭和57年3月30日竣工

海洋観測艦は対潜水艦戦に必要な海洋データの収集を 任務とする艦。本艦は中型掃海艇改造の海洋観測艇5隻の代替として 建造されたが同型艦はない。海洋調査群(横須賀)の所属。

基準排水量:1,180t
全長:72.0m
速力:15ノット
各種観測機材を装備

act2:こうゆう時代かねぇ・・・

海自の支援艦艇を積極的にキット化してくれている シールズモデルの第二弾も海洋観測艦でした。 ちなみに海洋調査群所属の艦船は滅多なことでは一般公開しない、 機密度の高い船ですので、あまり資料もありません。 横須賀などで見かけたら写真を撮っておきましょう。 (まさか、こんな船のキットを作れるようになるとは思わなかったので 私もあんまり写真持ってません・・・)

今回はこのコーナー初めてのメタルキットですが、 モノがそんなに大きくないので製作は容易です。 ただ重量感がインジェクションキットやレジンキットと かなり異なるので気をつけましょう。 つい力の加減を違えて手からポロリってなことになると、 重さがあるだけに悲惨な状況となります。

下地処理には金属・プラスティック兼用のサーフェイサー (今回はタミヤ「スーパーサフェイサー」)を使用しました。 船体甲板面や上部構造パーツの表面が荒れている場合 があるようですので濃いめの溶きパテなども併用してならして おくとよいでしょう。

act3:船体

肉抜きに考慮されているため、前作「あかし」 に比べて甲板の逆キャンバー(?)はあまり目立たなくなっています。 船体両舷側にパーティングラインがありますので鉄ヤスリで落とし、 粗めのサンドペーパーでならします。 他の上部構造パーツのパーティングラインも同様に処理します。

艦尾に湯口があり、結構目立つので瞬間接着剤とパテを練りこみ 乾いたあとペーパーがけをしてならします。

現用艦には珍しく舷窓があるので0.5ミリピンバイスで 若干さらっておきました。あまり深く穴を開けようとすると、 すぐポキッといってしまいます。

部品8と船体の間に伸ばしランナーで支柱を立てます。 実艦では8本支柱があるようで、艦首側から3本目と4本目の間が 狭くなっており、また2本目のあたりに舷梯が 格納されているようですので同じく現用艦船装備セット(V)の部品71 を短くして接着してみました。

act4:上構

艦橋前面にできる接着面は結構目立つので パテ埋めしたほうがいいでしょう。 ついでに窓より下2ミリ位のところに伸ばしランナーで ジャッキステイを追加しときました。 また艦橋天蓋最前部に軽三脚マストがあり、 写真で見ると結構目立つので、 気になる方は再現してみるとよいでしょう。 作例では0.3ミリ径のプラ棒で追加したのでかなりオーバースケールです。

前マストはかなり簡略化されていますが、 実艦のはヤード(横桁)のステイ(支柱)などかなり 複雑な形状になっています。作例ではマスト下半分を1ミリ径の、 上段を0.3ミリ径のプラ棒で作り直しましたが、 まだかなり省略された状態です。

後マストもムクの一体成形なのは部品構成上 やむをえないところですが、作例のように細いプラ棒もしくは 伸ばしランナーで組み直すのも一興でしょう。

act5:装備

前作「あかし」と違って部品の接着位置がはっきりわかるように なっている点進歩しています。 部品は瞬間接着剤によるイモ付けとなってしまいますので 強度的に弱くなってしまうのはやむをえないところですが、 気になる方は真鍮線を埋め込むなどして補強するといいと思います。

キットには7メートルカッターが入っていますが 「すま」の場合、前方のボートダビットには改7.9メートル内火艇 が搭載されていますので、ピットロード社の現用艦船装備セット(V) あたりから流用するといいでしょう。 海上自衛隊でよく使用されているグラビティ型ボートダビットは 搭載艇を吊り下げているのではなく、中段あたりにあるストッパー のような台(ショックアブソーバー?)に載せているように見えます。

旗竿が省略されているので0.3ミリ径の真鍮線 を8ミリほどにして艦首端、艦尾端に取りつけました。 どちらも本当は三脚になっていますが、この程度の小さな艦 だとうるさい感じになってしまうような気がしたのでただの 棒のままです。

act6:塗装

恒例の自衛艦塗装で基本的に甲板はピットロードカラーPC-2、 側面は同PC-1です。煙突上部は艶消し黒ですが、 後マストはてっぺんまで船体色で黒の塗り分けはありません。 喫水線部分は黒ではなく艦底色なので注意しましょう。

電纜リールは艶消し黄色。実物は黄色みの強いクリーム色 に見えます。

11メートル作業艇、改7.9メートル内火艇は内部床面は ライトグリーン、内部側壁は艶消し白。

艦番号のデカールが入っていますが、 字体が海自っぽくなくまたちょっと大きめなので気になる方は ピットロードの別売りデカールの小さいほうの字体を 流用したほうがいいかもしれません。 私は勿体無いのでそのまま使ってしまいましたが。 自衛艦旗は前作「あかし」の単純ミスは修正されています。 付属デカールはこすると表面の着色が落ちやすいので 注意して作業しましょう。

メタルキットの場合、特に手塗ですとテカる傾向が ありますので艶消しクリアーを吹いたほうがいいでしょう。

参考文献
丸スペシャル70集「補助艦艇II」
世界の艦船445集「海上自衛隊艦艇史」など

旧・新造艦船情報

  • 1/700軽巡洋艦(重雷装艦)「大井」の巻(ピットロード 1/700) UPDATE 99/04/02
    IJN CRUISER "OI"(PITROAD 1/700)

  • 1/700ミサイル巡洋艦「チャンセラーズビル」の巻(上海ドラゴン) UPDATE 98/09/18
    U.S.S. "CHANCELLORSVILLE" (from SHANGHAI DRAGON "U.S.S. NORMANDY" 1/700)

  • 1/700戦艦「信濃」の巻(タミヤ戦艦「武蔵」改造 1/700) UPDATE 98/07/04
    IJN BATTLESHIP "SHINANO" (from TAMIYA's BATTLESHIP "MUSASHI" 1/700)

  • 1/700軽巡洋艦「チェスター」の巻(JIM SHIRLEY PRODUCTIONS) UPDATE 98/03/14
    U.S.S. "CHESTER" CL-1 (JIM SHIRLEY PRODUCTIONS 1/700)

  • 1/700護衛艦「むらさめ」の巻(アオシマ) UPDATE 97/12/29
    JMSDF DEFENCE SHIP "MURASAME" DD-101 (AOSHIMA 1/700)

  • 1/700水雷艇「鴻」の巻(ピットロード) UPDATE 97/11/30
    IJN Torpedo Boat "OTORI" (PITROAD 1/700)

  • 1/700輸送艦「あつみ」の巻(ピットロード) UPDATE 97/09/24
    JMSDF LST"ATSUMI" class LST-4101 (PITROAD 1/700)

  • 1/700護衛艦「はるさめ」の巻(ピットロード) UPDATE 97/08/19
    JMSDF DEFENCE SHIP "HARUSAME" DD-102 (PITROAD 1/700)

  • 1/700水雷艇「千鳥」の巻(ピットロード) UPDATE 97/05/04
    IJN Torpedo Boat "CHIDORI" (PITROAD 1/700)

  • 1/700軽巡洋艦「龍田」の巻(ハセガワ) UPDATE 97/04/01
    IJN Light Cruiser "Tatsuta" (HASEGAWA 1/700)

  • 1/700改丁型駆逐艦の巻(フジミ・タミヤ) UPDATE 97/03/01
    IJN Destroyer "Kai-Tei(Tachibana)" class (Based FUJIMI&TAMIYA 1/700)

  • 1/700工作艦「明石」の巻(ピットロード) UPDATE 97/01/06
    IJN Repair Ship "Akashi" (PITROAD 1/700)

  • 1/700潜水母艦「長鯨」の巻(ピットロード) UPDATE 96/10/13
    IJN submarine tender "Chogei" (PITROAD 1/700)

  • 1/700輸送艦「みうら」型の巻(ピットロード) UPDATE 96/08/04
    JMSDF LST"MIURA" class (PITROAD 1/700)

  • 1/700駆逐艦「フレッチャー」型(タミヤ) UPDATE 96/07/21
    USS "FLETCHER" class (TAMIYA 1/700)

  • 1/700駆逐艦「朝潮」型(ピットロード) UPDATE 96/06/03
    IJN Destroyer"Asashio" type (PITROAD 1/700)

  • 1/700駆逐艦「白露」型(タミヤ) UPDATE 96/03/17
    IJN Destroyer"Shiratsuyu" type (TAMIYA 1/700)


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    Make Home Page:1999.07.03 / Updated 1999.07.03
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