新造艦船情報(第21回)


海上自衛隊 ミサイル護衛艦「きりしま」の巻
(ピットロード 1/700)

JMSDF DDG-174 "KIRISHIMA"
(PITROAD 1/700)



 

act1:護衛艦「きりしま」について

平成2年度計画
平成4年4月7日 起工
平成5年8月19日 進水
平成7年3月16日 竣工(三菱重工長崎工場)

基準排水量:7,250t
全長:161m
速力:30ノット
Mk41 VLS 90セル(スタンダードSAM、アスロックSUM)、 127mm速射砲1基、高性能20mm機関砲(CIWS)2基、 ハープーンSSM 4連装発射筒2基、3連装短魚雷発射管2基など

act2:「きりしま」に「きりしま」プレゼント!

海上自衛隊最大の戦闘艦艇「こんごう」級は艦隊防空の要を 担うイージス艦で多数の航空機、ミサイルによる同時攻撃に対処できる 高度に自動化された対空戦闘システムを持っています。 「きりしま」は「こんごう」級2番艦であり、横須賀を母港とする 第1護衛隊群の第61護衛隊に所属しています。

さて、ひょんなことから松戸迷才会のみほり氏を通じて 護衛艦「きりしま」に対して「きりしま」及び初代「霧島」の 模型をプレゼントするというプロジェクトに参加させていただき、 今回紹介するピットロードのキットを製作しました。 同時にハセガワの戦艦「霧島」のキットを改造して新造時の 巡洋戦艦「霧島」も製作、2隻並べた状態で2000年8月20日に 護衛艦「きりしま」副長に手渡しました。 今後艦内の「きりしま」資料室に保管されるそうですので 一般公開のときなどにお目に触れることがあるかもしれません。 ちなみにこの時製作した「霧島」のほうの写真は こちらを参照してください。
1/700 巡洋戦艦「霧島」の写真(前)
1/700 巡洋戦艦「霧島」の写真(後)

巡洋戦艦「霧島」と並べてみると現代の「きりしま」も かなりボリュームのある艦であることがわかります。 こうした比較も模型ならではの楽しみであります。 また、模型引き渡しのため、吉倉沖にバース泊している「きりしま」 に内火艇で赴いたのですが、 海面近くから見上げると乾舷がとても高く見え巨大な軍艦に見えました。

キット自体は非常に作りやすく、また最近のプラモデルには 珍しくランナーの部品が作り終わった後ほとんど残っておらず、 結構気持ち良く製作できます。

act3:船体

船体は独特のテーパーのある形状をよく再現していると思いますが 中央から後部の舷側上部に浅いヒケが見られます。 今回はパテを盛った後に耐水ペーパーをかけて修正しています。

前部甲板は別パーツになっていますがB56先端を慎重に 削って船体との合いを調整してやると結構ぴったりとはまります。 このパーツには歩行帯のモールドがありません。 最近出版された「世界の艦船」7月号増刊「海上自衛隊護衛艦史」 の巻頭カラー頁を参考に再現すると良いでしょう。 ちなみに作例では0.3ミリプラ丸棒を甲板に接着することにより 再現しています。 ところで127mm砲旋回圏を示す白い円は今回の定期修理で廃止 されました。御参考まで。 また後部甲板の歩行帯のモールドも「きりしま」の場合ちょっと 違っていて短魚雷発射管の直前でクイっと曲がっています。

艦尾の甲板後端に小錨があります。 箱絵裏側には描かれていますが、キットにはモールドされていません。 再現するとちょっとしたアクセントになると思いますが、 私は実艦に行って初めて気が付きました。

act4:上構

各パーツはよく考えて分割されていますが、 接合部はパテ埋めして消すようにしましょう。 特に艦橋側面は目立つので丁寧に消してやります。 また、前面もB41とB1の間に隙間が開きがちなので、 作例では隙間に0.3ミリプラ丸棒を充てて埋めています。 B40の両側には通常グレーのキャンパスが手摺にそって 張られていますので紙かプラペーパーで再現してやりたいところですが、 作例では忘れてしまいました。 「こんごう」級の場合、艦橋側面に紐のようなものが渡されていますが、 これは艦載艇を降ろす際に、艦載艇の舳先が外舷側にぶれないように するためのものだそうで、実物はロープです。 作例では伸ばしランナーを接着して再現しています。

マストのB67を接着する台座は左舷のみですのでB13側の突起は 削り取ります。B67のレドームも時期によって付いていたり そうでなかったりするのですが、この前見てきたときには付いていたようです。 ラティスマスト前面がキットでは素抜けになっていますが、 勿論実感では格子がありますので、一部伸ばしランナーなどで再現します。 また各スポンソンのステイ(支柱)も同様に一部再現します。 マストと艦橋の合いはあまり良くないようですので、 マスト部品の接着剤が良く乾いてから、 根気よく艦橋との合わせを調整して接着しましょう。

B37とB47からはホイップアンテナが2本づつ立ち上がっていますので 0.3ミリプラ丸棒で再現しました。長さは箱絵が参考になると思います。

act5:装備

装備については特に問題なく、せいぜいデザインナイフで丁寧に パーテイングラインを削ってやればいいでしょう。 そうはいっても127mm砲は結構目立ちますので、 砲塔側面ハッチのモールドをプラ材で再現したり、 砲塔前面にエッチングパーツのラッタル(梯子)を接着したりして 若干デティールを追加しています。

ボートダビットがより実感のある部品構成になっていたのには 驚かされました。

act6:塗装

船体、上構側面はピットロードカラーPC-1(海自グレー1)。 実艦は船体と上構では違う塗料が使われているらしい (電波吸収特性が違う?)ので若干色合いが異なるようです。 そもそも舷側がステルス性を考慮して海面に倒れ掛かるように テーパーしているため海面からの反射で船体のほうは青みがかって 見えるので、そのへんの視覚効果を塗装で再現してみるのも 面白いかもしれません。

甲板は同じくPC-2(海自グレー2)ですが、 PC-1との調和を考慮して今回は若干白を混ぜて使いました。 箱絵では後部VLSの辺りをPC-1で塗るように指示していますが、 実艦では特に他の甲板と変わりないように見えます。 ヘリコプター甲板の縁は白線になっています。 バーレトップステーションの表示は実艦にはありませんので デカール4は使用しません。

細部の塗装としては
・127ミリ砲砲身先端は銀。
・ディンギーボートは船体はグレーで側面に黒線。
・7.9メートル内火艇は船底床はライトグリーン。船体内側壁は白。
・VLSハッチ上面はかなり明るいグレー。
・救命浮標が省略されてますので、実艦写真をみながら 塗装(オレンジ色)で再現します。 特に艦橋前後面のものが視覚的にアクセントになります。
・歩行帯の白線はカラス口でモールドをなぞって塗装しました。
・デカールは薄くてフィットしやすいが、破れ易いので注意。

参考文献
・「世界の艦船」571集7月号増刊「海上自衛隊護衛艦史」
・「海上自衛隊パーフェクトガイド」学研
その他「世界の艦船」、「丸」などの月刊誌にも よくカラー写真が紹介されていますので参考にされるとよいでしょう。

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