大艦巨砲の旅第10回



「ミンダナオ会のあしか作戦!?」イングランド


ACT1;ミンダナオ会長西へ?

機は時速600ノット、高度26000フィートで順調に日本海を 北西に横切る。零戦の最高速度が300ノットくらいだったこと を考えるとこの半世紀の技術の進歩ってすごいやねえ、 なんて考えながら飛ぶ私の今回の目標は大英帝国。

「1998インターナショナル・エア・タトゥーツアー」という イカロス出版企画、東日観光主催のパッケージツアー に参加して 7月23日11時30分全日空NH202便にて成田を離陸。
高校の修学旅行以来のパックツアー参加であるが添乗員さんも いるし、何といっても我らがミンダナオ会の重鎮にして、 このツアーに毎年参加されている前MGS会長の篠塚氏も一緒だから お気楽極楽な旅行である。

英国は今サマータイムを実施しているので日本との時差は8時間あり、 同日15時30分定刻通りロンドン、ヒースロー空港に着陸。
入国審査にて
係官「おまえはどこへ行くんだ?」
私「スィンドンだ」
係官「スィンドンだあ?何しに?」
私「エアショーを見に行く」
というと係官は
「日本人てやつらは何考えてんだかわかんねーゼ、ったくよう!」
みたいな表情で顔を左右にプルプルしながら入国許可証を押してくれた。

まあ、いいさ、入っちまえばこっちのもんだ。 空港を出るとチャーターバスが迎えに来ている。 「ひぇー!パックツアーって楽ちんでいいなあ!」といきなり感動である。

バスは一路スィンドンのHILTON NATIONAL HOTELを目指す。 スィンドンはロンドン西方百キロくらいのところにあり、 篠塚氏の話では工業地域なんだそうで、 同ホテルは街も何もない道端に建っている。 造りも機能優先のビジネスホテル感覚だが建物は新しくきれい。 それにさすがにヒルトンホテル系列ということで従業員の態度も なかなか好感が持てる。なかでもウエィトレスのNIKKIさんは 快活な明るい人でツアーの参加者の間でも人気者だったようだ。

ACT2;スィンドンまできて絶版品を漁るか?

翌日は7時30分にホテルを出発し、 スィンドン市内ののどかな田園やこじんまりした町並みをながめながら バスはRAF Fairfordを目指す。 スィンドンも含めてコッツウォルズ地方と呼ばれる地域は 最近では英国観光の流行になっているそうで、 バスの窓からイングランド田園部の雰囲気を眺めるのもまた楽し、 である。

9時頃には基地に到着。 バスの窓からU2やバックファイアが見えて 早くもいきりたっている人も・・・。 当日の様子については別項を参照していただくとして、 夕方ホテルに戻りギネスビールに舌鼓を打ちながら 明日に備えて英気を養う?

25日土曜日は5時30分起床、6時50分出発という慌ただしさである。 エアタトゥー本番は土日と二日間であるが何故か土曜日のほうが混雑し、 フェアフォード空軍基地(RAF Fairford)向かう道路はゲロ込みとなる。 昨年の同ツアーでは行きになんと4時間もかかってしまい最後には 徒歩で会場へ向かうという羽目になったらしい。
そのためベテラン客(?)の篠塚氏のアドバイスや 我らがバスドライバー、アンディ氏と添乗員、山崎氏、の研究の結果 裏ワザルートを潜行し、何と8時前には基地の到着という偉業を 成し遂げたのである。バスの中は拍手の嵐・・・。

エアタトゥーの話は別項 に譲るとして、基地内にわんさかとある出店を覗くのもまた面白い。 その日は中古プラモ屋でアオシマの1/72 (正確には?なのは皆さんご存知)アベンジャーを£4で購入。 非常に初期のロットらしくリモコン装置付きなのがミソ。 輸出仕様らしくインストも英語だ。 またショーに参加している各国部隊のクルーが出している出店では 仏航空母艦フォッシュのバッジなんかも購入。

翌日も裏ワザルートですいすいと基地に到着。 昨日の味を占めてまたも絶版品漁りにくりだすミンダナオ会長! まったく海外でも懲りていない。 この日の戦果はタミヤ1/50「鐘輝」やnovo 1/500"HMS Torquay"など。 そして出店でフィッシュアンドチップスを買ってお腹も一杯。 あとはビールを飲みながら日がな飛行機の爆音を聞き、 シャッターを切るのでアール。

ACT3;ダックスフォードに英国魂を見る

さて明けて27日。宴は終わり、飛行機は各国、各基地へ帰還する。 この日はツアーは二手に分かれ、RAF Fairfordから飛び立っていく 飛行機を見るグループとDuxford Museumを見学に行くグループと なったが私は後者である。 8年前に英国に来たときはついにこの博物館に行けなかったので 是非行きたいと思っていたところだ。

が、道路事情で同博物館への到着が遅れ、見学時間がわずか3時間 になってしまったのである!何せ巨大な博物館だから普通に観る なら一日がかりのところだ。3時間では一航過がせいぜい。

No.1ハンガーには昨日のエアタトゥーから帰ってきたばかりと 思われるブリストル・ブレニムが何食わぬ顔をして収まっていた。 エンジンの下には漏れてくるオイルを受け止めるための 砂がしいてあって、「生きた」状態の飛行機であることを誇示している。

No.3ハンガーは海軍関連の展示が充実しており、 世界で一番カッチョイイ(と私は思っている)ジェット艦上戦闘機 であるシービクセンを始めシーベノム、シーホークと歴代艦戦が 並ぶ。また日本海軍61サンチ魚雷や、独戦艦ティルピッツを攻撃して 沈没した潜航艇X-7の残骸、ティルピッツの舷側装甲帯の一部なんか が展示されている。

No.2、No.5ハンガーでは修理、レストアがボランティアなどの手により 行われていた。この機体なんだかわかります? 答えはソードフィッシュ。ここまでやっちゃうとレストアというより 新造しているって感じ。写真に写っている左の人は若い女性。 そーいえばスカイレーダーの脚を修理していたのも若い女性だったし やっぱりかの国の国民性ってすごいなあ。

またアメリカ機を集中したアメリカ館というのが昨年オープン したばかり。 アメリカ航空史を代表する機体が所狭しと置かれ、 或いは吊り下げられている。 頭上のアベンジャーなんて「大艦巨砲主義者」にはゾッとする 光景だねえ。ちなみにその下にちょっと写っているのはにっくき B公(B29)だ。 湾岸戦争で捕獲した100センチ砲の砲身の一部も展示されている。 巨砲主義者は敗れ去る運命か・・・。

その奥には戦車館があり、バレンタイン戦車などが ジオラマ状態で展示されている。

屋外にはシャクルトンやバルカンなどの大型機や バイカウントやコメット等の民間機の展示の他、 9.2インチ海岸砲なんていう珍しいものもある。

ミュージアムショップも充実しているが時間切れでほとんど 見る時間がなく残念。

さてバスはフェアフォード組を拾いにスィンドンにいったん戻り、 その後ロンドンFORUM HOTELへ向かう。 地下鉄Groucester Road駅の近くで日本人の宿泊客も多い 大型ホテルで、店内に売店もあるし周囲にもコンビニなどが多く便利。

そういえば8年前はロンドンでもコンビニなんてあまり見かけなかった けどなあ。 「英国病」と言われていた頃とは大分違って今の英国は活気が あるようである。TVニュースも日本の首相のことなんかたまに 報道する程度であちらの話題はAT&TとBTの合併のことであった。

"DUXFORD Imperial War Museum"
Adult £7.00
Student £3.50
ロンドンKings Cross駅から1日2便直通バスが出ている。

ACT4;ロンドンめぐりは忙しい

翌日はロンドンで1日自由行動。地下鉄のOne Day Travelcardが 発売になる9時30分を待って空軍博物館(RAF Museum)に向かう。 Colindale駅を降りて徒歩10分位。 ここは8年前にも来たことがあるのだが、どうも展示機が 減ってしまったような印象を受けた。 日本に帰ってきてから昔の写真を見返してみると ハリアーの試作機やスイフトがあったはずなのだが・・・。 ここも時間がないので一航過で終わり。

Colindale駅入り口の左隣の模型屋"HANNANTS"へ。 ここは篠塚氏の表現によれば 「飛行機関連の英国のデリックポストみたいな」店。 確かにデカール類は充実している。 エアトトゥーの出店でもよく見かけたがこちらではアリイの 空母シリーズの韓国製バッタもんやタミヤ1/350シリーズの バッタもんをよく見かける。 中身はどんなもんか興味あるところだが、 日本には入ってこないだろう。 お店の前にある電話ボックスにいたおねーちゃんがモデルさんのような セクシー脚系な人で(ホントのモデルさんちゃうかな?) ずっとそっちに気を取られてしまい、お店の観察はあまりできなかった。 会長としたことが迂闊である。

さて再び地下鉄に乗り込むとBank駅でDocklands Light Railway に乗り換えIsland Gardens駅へ。 この路線はまた篠塚氏の表現を借りれば 「ロンドンのゆりかもめ」みたいなもので運転士はおらず 車掌さんのみである。路線もロンドン東部の再開発地域を 縫って走る。勿論ここも上記One Day Travelcardで乗ることができる。

駅を降りてテムズ川底の下を通る地下道を歩いていくと 帆船CUTTY SARKの前に出る。そう、そこはグリニッジである。 今回は時間がなかったので同船は素通りして、私が8年前に 来たときに入った模型屋さんを探す。
Nelson Roadにある"Maritaime Models"は今も健在であった。 またまた篠塚氏はかくいう。「懐かしい感じのする模型屋」 すなわち店の半分はプラモ&資料本のスペースでもう半分は エンジン模型と木製素材など。昔の日本の模型屋もこんな 感じだったという意味だ。但しちょっとここが違うのは 「船」関連のものばかり置いている点だ。

National Maritime Museumも一応入ってみたが、なんでも 2000年に行われる博覧会に備えてグリニッジ中あちこちが 工事中で、同館も工事中につき展示スペースが大幅に減少 しておりとても残念。

さて、時間がないので地下鉄に取って返してHolborn駅で降り、 HIGH HOLBORN通りをTottenham Court Road駅方面に歩いていくと "BEATTIES HOLBORN"というホビーショップがある。 割と新しいお店のようで珍しい絶版品なんかはあまり見当たらないが、 結構広い店で品揃えはいい感じだ。鉄道模型なんかも扱っている。

そのままTottenham Court Road駅の方へ歩いていくと本屋街になる。 駅の入り口裏手の通りにある"MOTOR BOOKS" という乗物の本専門店に入る。もう時間がないので背表紙を ざっとスキャンして"AUSTRO-HUNGARIAN BATTLESHIPS" (PAUL J.KEMP著 ISO PUBLICATIONS)を買って店を出る。 ろくすっぽ中身を見ないで買ってしまったが オーストリア・ハンガリー帝国のMonarch級から改Tegetthof級 までの戦艦を写真と図で解説した本で中々良い買い物だった。

そんなこんなで慌ただしくホテルに戻り、返す刀で前出の 山崎氏やツアーの有志でSOHO近くの中華街へ打ち上げパーティー に出かけるロンドン最後の夜であった。

"HANNANTS"のホームページ
http://www.hannants.co.uk
通販もやっている。

"NATIONAL MARITIME Museum"
Adult £5.00

"MOTOR BOOKS" の e-mailアドレス
motor_bboks@compuserve.com

ACT5;大艦巨砲のしめくくり

さて29日は英国滞在最終日。15時までは自由時間なので 戦争博物館(Imperial War Museum)へと向かう。 地下鉄のLanbeth North駅を降りて徒歩5分位。 正面に15インチ砲2門が備えられた男らしい博物館である。 片方は戦艦ラミリーズのものだがもう一方はわからなかった。 前に来たときとそう印象は変わっていなかった。 独の潜水艇"Biber"や伊の人間魚雷の他、HMS Lance の4インチ砲やHMS Chesterの5.5インチ砲なんかも展示されている。 勿論零戦の胴体中央部も健在だ。

残り時間も少ないけど「大艦巨砲の旅」と題する以上、 避けて通れないのがテムズ川に浮かぶ記念艦ベルファスト (HMS Belfast)だ。 前に来たときには入艦時間に間に合わず涙を飲んだのである。 地下鉄London Bridge駅を降りると子供の行列にぶつかる。 さすが大英帝国、記念艦には子供がこんなにわんさか訪れているのか、 と思ったら近くのロンドン・ダンジョンへ行く行列だった。 川岸に出ると前部砲塔に仰角をかけた雄姿が見える。

さていよいよ乗艦だ。ロンドン・ダンジョンほどではないにしても 結構親子連れが遊びに来ており、子供たちが40ミリ機銃を俯仰して 遊んでいる。やっぱりさすがに大英帝国だ。 艦橋ではシャルンホルスト追撃のシーンのなかなか臨場感のある テープを流している。 同艦は1939年8月に竣工したエジンバラ級軽巡で1943年12月には 戦艦デュークオブヨークなどとともに独戦艦シャルンホルストを 撃沈した。戦後も大規模な改装を施されて活躍し、 1971年より記念館となって今日に至る。

館内には射撃盤(計算機)も残されており興味深い。 この手の大型アナログ計算機を見ることができる機会は非常に少ない。 またボイラールームに入ると旧式艦は人件費がかかるというのが 実感できるような気がする迷路のような部屋である。 こんなところで被雷したら恐いだろうなあ。

艦を出ると艦尾側にあるロンドンブリッジを経てテムズ川対岸に 渡り、同艦右舷側の写真を撮りながらちょっと上流に向かって歩く。 普通の観光客はロンドンブリッジのほうが気になるらしく、 2回もブリッジをいれてシャッターを押してくれと頼まれてしまった。 時間がないのでMonument駅あたりまでしか歩かなかったが、 さらに溯れば旧式スループ艦などもテムズ川沿いに見られるはずだ。

さて15時にホテルに戻ってバスでヒースロー空港へ向かう。 こうして7日間の旅は終わったが、今回は篠塚氏を始め同じツアー の参加客の皆さんや添乗員などのスタッフにいろいろ教えてもらい いい旅行ができました。みなさんに御礼申し上げます。

"Imperial War Museum"
Adult £5.00

"HMS Belfast"
Adult £4.70

「大艦巨砲の旅第9回」 青森県・岩手県・宮城県へ行く

「大艦巨砲の旅第8回」 栃木県・那須高原へ行く

「大艦巨砲の旅第7回」 香川県・愛媛県へ行く

「大艦巨砲の旅第6回」 群馬県・伊香保へ行く

「大艦巨砲の旅第5回」 神奈川県・横須賀/猿島へ行く

「大艦巨砲の旅第4回」 青森県・青森/大湊へ行く

「大艦巨砲の旅第3回」 栃木県・那須高原へ行く

「大艦巨砲の旅第2回」 千葉・稲毛海岸(こじま)へ行く

「大艦巨砲の旅第1回」 甲府・石和(模型合宿)へ行く

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Make Home Page:1998.08.08 / Updated 1998.08.08
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