大艦巨砲の旅第7回



「大艦巨砲、ついに四国に渡る!」香川県・愛媛県


ACT1;やっぱり「大垣行き」

その昔、「大垣行き」と呼ばれる、貧乏人には強い味方の 鈍行夜行列車があったのをご存知の方も多いだろう。 特に「青春18きっぷ」の季節ともなるとゲロ込みで発車の 大分前から並ぶ必要があった。今は「ムーンライトながら」と 名前を変え全席指定の列車となったので、 指定席券さえ確保できれば別に急いで東京駅に行く必要がなく、 そうゆう意味ではありがたくなった。

というわけで、金曜日に会社をひけて速攻で一杯ひっかっけて から帰ってきて、一風呂浴びて、もろもろ詰めてから出かけて きても充分間に合う。そして翌朝は名古屋なんである。

そこから「みそかつ幕の内弁当」を食べながら新幹線で 岡山へ、そして、マリンライナーにて瀬戸大橋を渡って高松へ。 そこから特急「いしづち」に乗り換え、最初の目的地、志度に到着。

ACT2;見張りを厳にせよ!

昭和20年7月24日、特TL船「しまね丸」がこの志度湾で英艦載機 の攻撃を受けて、中波着底して短い生涯を終えた。 この船は海上護衛兵力の不足を補うため、建造中の戦時標準大型油槽船 に飛行甲板を設置し対潜哨戒機(93式中間練習機を予定)の発着艦を 可能にした特殊な船であるが徴用船なので軍艦ではない。

戦後同船のマストを火の見櫓として使っているらしい、との記事を 昔の「丸」で見たのだが、町役場にその所在をきいてみたら 「そんなもの知らない」とつれないお答え。こうなったら現地で探すしかない! とりあえずタクシーに乗って志度の駅から大串公園へ向かう。 確か「丸」で見た写真では電柱と隣り合って立っていたようなので、 電柱という電柱に目を凝らす。

1200円位行ったところで、怪しい鉄塔を発見! 車を止めてもらって形状を確認する・・・間違いない! 消防団の屯所前にあるのだから火の見櫓という説にも適合している。 運ちゃんに聞いたところではこの辺はバスはない、とのこと。 ありがたいことに写真を取り終えるまでその場で待っていてくれる、 とゆうので、カメラかかえてダッシュ! でも、東京からわざわざ来て火の見櫓の写真を喜んでパチパチ 撮ってるんだから普通の人からみたらヘンな感じでしょうなあ。

「しまね丸」の後部無線マスト?
香川県志度町鴨庄(かもしょう)新開(しんがい)
「志度町消防団鴨庄第2部屯所」前

ACT3;こんぴらふねふね

艦船ファンを自任する者、四国に行ったらこんぴらさんを 参らないわけにはいかない。かどうかは知らないが、 こんぴらさん、こと金刀平羅宮は船の守り神として有名である。

が、本宮にお参りするには、785段の石段を登らねばならない。 前に来たときは20代前半だった私も今や30。 今回は初夏らしい暑い日だったこともあって結構しんど。 それでも休み休みしながら本宮まで行くと、 左手に新旧色々な船の安全祈願の絵馬が掲げられた社がある。 旧帝国海軍の時代の軍艦のものは流石にないが、 既に退役してしまったような懐かしい自衛艦のものや、 すっかりセピア色に変色した漁船の写真入り絵馬など なかなか見ていて楽しいものである。

さて石段を降りてくると途中に「海の科学館」がある。 屋外にはアルミ製実用船としては最も初期のものである 旧巡視船「あらかぜ」やFRP実権船「はまゆう」が展示されている他、 焼玉エンジンの実物などが展示されているのも興味深い。 館内は最近リニューアルされたらしく、ビジュアルイメージ優先 のなかなかこぎれいな感じになっている。

さて、一度表参道を降りて裏参道から今度は金刀平羅宮 博物館学芸館(2号館)に向かう。1階には明治初期の油絵画家高橋由一の 作品や江戸時代の絵馬、複葉機の模型、鶏のおもちゃコレクション などが展示されている。で、問題は2階。薄暗くて電気もついてない! 見学者も一人もいないし、そんなところに剥製とか無造作において あるんだから無気味。古い船の模型なんかも展示されているんだ けど、説明が他のものと入れ代わっていたりしていて、イマイチ よくわからない。「軍艦加賀乗組員一同寄贈」なんていう説明は あっても何を寄贈したのかわからないし、極めつけはその脇に おいてある人魚のミイラ!薄気味悪くなってきたのでそこそこに 退散す。

駅への戻る道でカメラの電池を買うためにフィルム屋さん を探していたら、カメラ屋兼お土産屋兼模型屋というお店を見つけ MODEL CRAFT CLIPPER製の「ブルーリボン」というモーター内臓のボート の模型(当然、絶版アイテム!)を見つけついつい購入してしまう。 うーむ、懲りないヤツ!

金刀平羅宮
JR琴平駅から徒歩

金刀平羅宮博物館
香川県仲多度郡琴平町892番地、電話0877-75-2121
年中無休、年末大掃除の際は1日休館
入館料:大人\200、学生\100、小人\50

海の科学館(財団法人「琴平海洋帰還」)
香川県仲多度郡琴平町953番地、電話0877-73-3748
開館時間9:00-17:00(年中無休)
入館料:大人\400、中人\300、小人\200

ACT4;お城ときいちゃあ、ほっとけねえ?

その日は善通寺にてゼミの同期の野村氏宅に泊めていただき、また酒を飲む。 男30も過ぎりゃ色々苦悩するぜよ、お互いに。(T_T)

と、それはさておき、翌日、野村氏に無理をお願いして車で今治まで行く。 駅からちょっとのところに今治市忠霊塔があり、そこには戦艦陸奥の副砲が 1門保存されている。但し砲架はなく砲身のみで、どちらかというとモニュメント という感じである。併設の建物には軍装品のレプリカが置いてあるらしい、 が誰もいなかったためそこには入れなかった。

さらに野村氏に無理をお願いして車で松山まで送ってもらってしまった。 感謝感激である。m(_"_)m

さて松山に来たらとりあえず松山城である。天守閣は江戸中期に 落雷で一度焼けたものの、安政年間に再建されたものが現在に残って おり、城門の一部は慶長年間建築のものも残っているなど歴史的価値 のある城である。とはいえ、昭和20年の空襲で焼けてしまった建物も 多く戦後復元された個所も多いようだ。一応、ミンダナオ会としては お城と聞いて黙って見過ごすわけにはいかない(?)ので、とくと(^_^;) 拝見させてもらったが、松山城ってキットでてるんかなあ?

松山城
ロープウェイ・入場料共通750円
松山観光テレフォンサービス、電話089-933-8100

ACT5;再会、紫電改

さて、この旅の本当の目的は誰も知らないかもしれないが(^_^;) 「神雷部隊協賛模型コンテスト」 に参加することにあるんであるが、それはそっちを見ていただく として夜はつかさビューホテルの1室にて本州最北模型会の飛内氏と 旧交(?)をあたため、またスケールモデルクラブ「まっついこっつい」 の味口氏にミッドウェー海戦にまつわる秘話などをうかがう。 氏はあの米海軍空母インディペンデンスの艦長に同艦の模型を手渡した男 として全国に有名である。同室させていただいた植垣氏、矢野氏 ともこうゆうときでないと出来ないマニアックな話題がはずむ。

一方、私も「あの有名なミンダナオ会の・・・」なんて すっかりおだてられてしまって、ゆでだこ状態である。 というようなことで二日目の夜も更けていく・・・。

翌日はまっついこっついの味口氏・山本氏の案内で 小松Gクラブの藤井氏や、模型誌の取材できている加藤氏といっしょに 宇和島まで行く。途中松山空港周辺に残る松山航空隊跡や掩体壕を見学。 山本氏のお話では現在の松山空港は海側に拡張されていったとのことで、 先の掩体壕は皆田んぼの真ん中にコンクリートの山が忽然と存在している、 という感じである。

宇和島を通り過ぎて南宇和の南レク御荘公園に到着。 ロープウェイ乗り場に「神雷部隊協賛模型コンテスト」の作品をみんなで 陳列する。そしていよいよ紫電改記念館に向かう。私は5年位前に一度 ここに訪れているので再会ということになる。幸いなことに以前に見たとき に比べ、そんなに痛みが進んでいるようには見えず、保存にあたっている 人達の努力がしのばれる。

などと、感傷にふけっている間に無情にも時間が過ぎていき、 もう反転せねばならない時刻になってしまった。かつて旧帝国海軍の諸艦が 標柱間公試を行った宿毛湾を左手に眺めながら一路宇和島へ。

特急「宇和海」「しおかぜ」と乗り継ぎ、夕日に沈む幻想的な瀬戸内海 を眺めながら、2泊3日(+1車中泊)の忙しい四国旅行は終わりを迎えたのであった。

南予レクリエーション都市開発(株)
愛媛県松山市宮西1丁目5番11号愛媛県宮西ビル2階、電話089-922-5552

「大艦巨砲の旅第6回」 群馬県・伊香保へ行く

「大艦巨砲の旅第5回」 神奈川県・横須賀/猿島へ行く

「大艦巨砲の旅第4回」 青森県・青森/大湊へ行く

「大艦巨砲の旅第3回」 栃木県・那須高原へ行く

「大艦巨砲の旅第2回」 千葉・稲毛海岸(こじま)へ行く

「大艦巨砲の旅第1回」 甲府・石和(模型合宿)へ行く

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Make Home Page:1997.06.30 / Updated 1997.06.30
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