何度もチャンスを逃して

 かれこれふた昔以上前になります。骨髄炎治療中に失職してしまったのを見か
ねた友人が、Mという会社で車の持ち込み(車両を個人が購入し、配送業務等責
任を持って行い社員とは違い外注扱いとなる)を募集しているという事を教えて
くれました。

早速M社を尋ね社長とお会いし、積み卸しの内容をお聞きした結果また骨髄炎を
起こしてはと断念したその後、私の代わりに入った仮にAさんとしておきます。
そのAさんが幸運を掴むのです。

後にM社は千葉県M市に移り、冷凍食品等も扱う様になって事業内容を拡大して
行きました。それに伴い運送車両が不足した為、M社、社長はAさんに増車を依
頼増車にあたって運転者を募集、かくして運送部門を一手に任せられそれを足が
かりとしたAさんはやがて何年か後に法人の運送業を興したのです。

まさに明と暗を分けた出来事です。もし私に骨髄炎という持病がなければ、汗を
かくのは至って好きな方ですから躊躇う事なく雇って貰っていた事でしょう。
数多くのチャンスを逃した中で最も悔やまれる出来事でした。

 悔しい限りで、目の前にぶら下がっている餌に喰いつく事が出来ないのです。
どんな美味しい話も見送らざるを得ませんでした。健常者には普通の労働でも悲
しきかな私には、ドクターストップがかけられている重労働なのです。

何度経験してきた事でしょう。いつも断念する度、今返事をしなければ誰かが就
いてしまうという焦り、それは言葉にならないものです。私は決して怠け者では
有りません。それなのにこの足がやりたい仕事の邪魔をします。

どんなにこの足が恨めしくそしておぞましく感じた事か解りません。手術入院当
時4歳だった長女の結婚式が平成7年7月と目前に迫っており長女は、「病気で
失職しているのだから親の仕事なんて関係ないよ」。と言ってくれましたが、何
はともあれ生活して行くには職に就かねばなりません。

 何をして良いものか思案に暮れ、激痛の為に寝たきり状態となった布団の中で
数冊有る情報雑誌を繰り返し繰り返し見ても、これはという決定的なものは無く
症状の治まるのを待ちやっとの事、挙式2ヶ月前に選んだのが現在のウインドシ
ールドリペアです。然し、詐欺に近い所に研修に行ってしまいました。
『フロントガラスは和製英語です』。

 骨髄炎等の検索でご訪問なされた場合、ご存じないという方はいらっしゃっる
筈です。何せ知名度の低い職業ですから。然しながらこれも立ったままの仕事で
足に負担が掛かってしまってあまり良くない様です。

これを書いている今また痛みが出て腫れもみられる為、明日一番で病院へ行きま
す。健康である事の有り難さは、病んで初めて知る事が出来るのです。

矢のライン
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