Step 6 - ルータを超えてみる

1.ルータのある環境
 覚え書が送信できる相手を探すとき、UDP/IPプロトコルのブロードキャストを使用します。この方法は1つのサブネット内で収まる環境では問題が発生しないものの、このプロトコルには「ブロードキャストのパケットはルータを超えられない」という仕様が有ります。
 その結果、ルータを挟んだユーザ同士で、覚え書をインストールしているにもかかわらず「互いを認識できない」という現象が発生します。

 ルータを超えた先に通信相手が居る場合、NodeList.iniを用いる事で、通信相手を検索する事が可能になります。

2.覚え書の検索方法
 ルータ越えに付いて触れる前に「覚え書がどのように相手を探しているか?」を解説します。

 仮定
 マシンA上では覚え書(A)は既に起動している。
 マシンB上で覚え書(B)を起動する。
 マシンA/マシンBは同じサブネット上にあるものとする。

Step 覚え書相互認識手順
覚え書(B)が起動 
覚え書(B)は、ネット上に「エントリ開始コマンド」をブロードキャスト 
覚え書(A)は、覚え書(B)がブロードキャストした「エントリ開始コマンド」を受信覚え書(A)は、覚え書(B)を送信可能先として認識
覚え書(A)は、覚え書(B)のアドレスに「エントリ開始応答」を送信 
覚え書(B)は、覚え書(A)の「エントリ開始応答」を受信覚え書(B)は、覚え書(A)を送信可能先として認識

 覚え書が、デフォルトでルータを超えられないのは、上のStep2のコマンドがルータを超えられず、覚え書(A)に到達できないことにより発生しています。
 ルータ越えの設定は、これを超えて到達できるようにするために必要な設定を言います。

3.ルータを超える前に調べる事
 ルータ越えを設定する前に、ルータの向こうにあるサブネットの「ブロードキャストアドレス」を調べる必要が有ります。

一つの例
 これ以降では、このネットワークイメージで、サブネットBにエントリーしている覚え書を、サブネットAにエントリーしている覚え書が検索する場合を想定して話を進めます。
 さらに話を単純化するために、ネットワークA/Bともにサブネットマスクが、「255.255.255.0」であると仮定します。

 上記の例で、それぞれの「ブロードキャストアドレス」は、以下の様になります。

サブネットブロードキャストアドレス
A:192.168.10.XXX側192.168.10.255
B:192.168.15.XXX側192.168.15.255

 サブネットAにとって重要なのは、サブネットBのブロードキャストアドレス(192.168.15.255)であり、サブネットBにとって重要なのは、サブネットAのブロードキャストアドレス(192.168.10.255)になります。

 ルータ越えを設定する前に、自分の環境にあった、ルータの向こうのブロードキャストアドレスを調べる必要が有ります。

4.ルータ超えを設定する
 ルータ越えの設定はNodeList.iniで行います。
 上の例をもとに、サブネットAの覚え書(以下、覚え書A)が、サブネットBの覚え書(以下、覚え書B)を検索するために、覚え書Aが使用するNodeList.iniの例を記述します

[SEARCH]
COUNT=1
ENTRY1=192.168.15.255

 この記述は、「覚え書Aが『エントリ開始コマンド』をサブネットBへブロードキャストする」ことを意味しています。

 逆に、覚え書Bが覚え書AをサーチできるようにするためのNodeList.iniは、以下の様に記述します。

[SEARCH]
COUNT=1
ENTRY1=192.168.10.255

 もし、さらに、サブネットC(ブロードキャストアドレス 192.168.12.255)がある場合は、それぞれのNodeList.iniの「COUNT=」を2に変更して「ENTRY2=192.168.12.255」を追加します。

5.それでも解決できないときは…
 ルータが多段である場合や、ブロードキャストを通さない場合は、「[SEARCH]」の「ENTRYn=」に、ルータの向こうに存在する覚え書の端末に割り振られているIPアドレスを記述して下さい。

[SEARCH]
COUNT=5
ENTRY1=192.168.15.10
ENTRY2=192.168.15.11
ENTRY3=192.168.15.12
ENTRY4=192.168.15.13
ENTRY5=192.168.15.14

 これは、覚え書Aが使用するNodeList.iniの例です。
 サブネットB上で、覚え書がインストールされているマシンのIPアドレスが192.168.15.10〜14だった場合の例です。

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