都道府県知事
各 指定都市市長 殿
中核市市長
厚生省児童家庭局長
放課後児童健全育成事業の実施について
児童の健全育成の推進については、かねてより特段の御高配を煩わしているところであるが、近年、少子化の進行、夫婦共働き家庭の一般化、家庭や地域の子育て機能の低下等児童を取り巻く環境は大きく変化してきており、児童をめぐる問題の複雑化・多様化に適切に対応することが困難になってきていることから、平成9年6月に児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)を改正し、児童家庭福祉制度を見直して、質の高い子育て支援の制度として再構築を図ったところである。
その中で、児童の健全育成施策の一つとして新たに法制化されたのが、放課後児童健全育成事業であり、平成10年4月1日から施行されることから、今般、放課後の児童の健全育成の向上を図るため、別紙のとおり「放課後児童健全育成事業実施要綱」を定め、同4月1日より適用することとしたので、その円滑かつ適正な実施が行われるよう、貴管下市町村、関係機関、関係団体等に周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、本通知の施行に伴い、平成3年4月11日児発第356―1号本職通知「放課後児童対策事業の実施について」は廃止する。
1 趣旨
法第6条の2第6項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童に対し、授業の終了後に児 童厚生施設等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るものである。
2 実施主体
本事業は、法第34条の7の規定に基づき、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、社会福祉法人その他の者(以下「市町村等」という。)が、社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)の定めるところにより行うものとする。
3 対象児童について
本事業の対象児童は、法第6条の2第6項の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校1〜3年に就学している児童であり、その他健 全育成上指導を要する児童も加えることができるものであること。(以下「放課後児童」という。)
4 運営
本事業の運営は、次により行うものであること。
(1)本事業の実施に当たっては、遊びを主として放課後児童の健全育成を図る者(以下「放課後児童指導員」という。)が配置され、放課後児童の受け入れができるものであること。
(2)本事業は、児童館のほか、保育所や学校の余裕教室、団地の集会室などの社会資源を活用して実施すること。
(3)法第6条の2第6項及び児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号)第1条の規定に基づき、市町村等は、利用する放課後児童の健全な育成が図られるよう、衛生及び安全が確保された設備を備える等により、適切な遊び及び生活の場を与えて実施しなければならないこと。
(4)本事業は、家庭との連携を図りつつ、適切な遊びを与えて、放課後児童の保護及び遊びを通しての健全な育成を行うものとすること。
(5)市町村等は、法第56条の6第2項の規定に基づき、実施に当たって、本事業を行う他の者との相互連携、放課後児童及びその家庭からの相談等地域の実情に応じた積極的な支援を行うように努めなければならないこと。
(6)市町村については、法第21条の11の規定に基づき、放課後児童の本事業の利用に関する相談及び助言、地域の実情に応じた本事業の実施及び本事業を行う者との連携等により、放課後児童の本事業の利用の促進に努めなければならないこと。
(7)市町村等は、放課後児童指導員に対する研修等を行い、適切な運営に努めるものとすること。
なお、都道府県においても、同様に放課後児童指導員の資質の向上に努めるものとすること。
(8)市町村は、児童の保護者、児童委員、民間の児童健全育成ボランティア等の協力を得て本事業の支援に当たるものとすること。
5 費用
(1)市町村が実施する事業(委託を含む。)のうち、放課後児童が概ね20人以上であって、社会福祉事業法第64条第1項に規定する届出が行われているものに対して都道府県が補助する事業、または指定都市及び中核市が実施する事業(委託を含む。)のうち、同法第2条第3項第2号に規定する第二種社会福祉事業であるもの及び都道府県、指定都市、中核市が施する放課後児童指導員の研修等事業については、国は別に定めるところにより補助するものとする。
(2) 市町村等は、本事業を実施するために必要な経費の一部を、保護者から徴収することができるものとする。
6 その他
(1)本事業は、その目的を異にするスポーツクラブや塾等、その他公共性に欠けるものについては対象としないものであること。
(2)本事業の実施主体は、政治的又は宗教上の組織に属さないものであること。
都道府県
各 指定都市 民生主管部(局)長 殿
中核市
厚生省児童家庭局育成環境課長
放課後児童健全育成事業の実施について
標記については、本日付け児発第294号厚生省児童家庭局長通知「放課後児童健全育成事業の実施について」が各都道府県知事、指定都市市長及び中核市市長あて通知されたところであるが、事業のより一層の普及・促進を図るため、下記のとおり留意事項等を定め、平成10年4月1日から適用することとしたので、その適正かつ円滑な実施が行われるよう、貴管下市町村、関係機関、関係団体等に周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
なお、本通知の施行に伴い、平成7年4月3日児環第25号本職通知「放課後児童対策事業の実施について」は廃止する。
記
1 事業の実施について
本事業は、保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校低学年児童(以下「放課後児童」という。)の健全な育成を目的としている。
本事業が効果的、継続的に実施されるよう次の点に特に留意されたい。
(1)市町村(特別区を含む。以下同じ。)等事業の実施者(以下「市町村等」という。)は、地域における昼間保護者のいない家庭の小学校低学年児童の状況を的確に把握し、事業の対象となる放課後児童の動向を十分踏まえて実施すること。
(2)市町村等は、事業の実施に当たっては、事業の趣旨、内容、実施場所等について、広報紙等を通じて地域住民に対する周知に万全を期されたいこと。
2 対象児童について
本事業の対象児童に「その他健全育成上指導を要する児童も加えることができる」とは、@一部に10歳を超える放課後児童も含まれうること、A盲・聾・養護学校小学部1〜3年に就学している放課後児童も、当該児童の状況に応じて対象児童となりうることをいうこと。
3 事業の実施方法等について
(1)放課後児童指導員の選任に当たっては、児童福祉施設最低基準(昭和23年厚生省令第63号)第38条に規定する児童の遊びを指導する者の資格を有する者が望ましいものであること。
(2)社会福祉事業法(昭和26年法律第45号)第2条第3項第2号に規定する第二種社会福祉事業である本事業の実施に当たっては、地域の実情、放課後児童の就学日数等を考慮し、年間281日以上(ただし、当分の間、200日以上でも差し支えないものとする。)開所し、1日平均3時間以上実施するものとすること。
(3)本事業は、法第6条の2第6項及び児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号)第1項の規定に基づき、衛生及び安全が確保された設備を備える等により実施されなければならないものであり、その活動に要する遊具、図書及び児童の所持品を収納するためのロッカーの設備等を備えるものとすること。
(4)市町村等は、本事業の加入申込み等に係る書類について、所定の様式を定め整備すること。
(5)市町村等は、児童の安全管理、生活指導、遊びの指導等について、放課後児童指導員の計画的な研修を実施するものとし、また児童館に勤務する児童厚生員の研修との連携を図ること。
なお、都道府県は、児童の安全管理、生活指導、遊びの指導等について、指導的な放課後児童指導員の計画的な研修を実施すること。
4 活動内容について
本事業においては、次の活動を行うものとすること。
(1)放課後児童の健康管理、安全確保、情緒の安定
(2)遊びの活動への意欲と態度の形成
(3)遊びを通しての自主性、社会性、創造性を培うこと
(4)放課後児童の遊びの活動状況の把握と家庭への連絡
(5)家庭や地域での遊びの環境づくりへの支援
(6)その他放課後児童の健全育成上必要な活動
5 費用について
国の補助は、市町村(委託を含む。)が本事業を実施するために必要な標準的な経費の2分の1相当額及び都道府県、指定都市、中核市が実施する放課後児童指導員の研修等経費に対して行うものであること。