逆光に浮かぶ大槍(東鎌尾根より)






山行記


日程・コース


    2008年
<8月29日(金)>
 
前夜 車で沢渡P → (タクシー)上高地 6:30 → 9:00 横尾 → 10:50 槍沢ロッジ → 12:10 大曲り → 13:10 天狗原分岐 → 分岐15:30 →16:20 ヒュッテ大槍(泊)
<8月30日(土)>
 
ヒュッテ大槍 5:50 → 7:00 槍ヶ岳山荘 7:40 → 7:55 槍ヶ岳頂上 9:00 → 16:00 徳沢ロッジ(泊)
<8月31日(日)>
 
徳沢ロッジ 6:30 → 8:30 上高地(下山) このあとタクシーで沢渡P、車で竜島温泉(立寄り湯)&帰還
3日TTL累積標高  1680m



上高地→ヒュッテ大槍



2000年8月28日14時、RIKIと小学校3年生のケンスケ(B型1号)が初めて槍の頂上を踏んだ。 3180m、日本第5位の高峰、全く未知の世界への冒険だった。
  それから4年後の2004年8月、2回目の登頂を試みたがあえなく豪雨で撤退。 さらに4年後の今年2008年(考えたらオリンピックの年に行ってるなあ〜)、
  3度目のチャレンジを決行することとなった。。


◆決行と言ってもB型1号は高校2年、人生で一番体力がある次期、8年前と比べてフィジカルは問題ない。
  問題は最近PCやゲームばかりやってて部屋にこもりがちなこの愚息が行く気になるかどうか。
  オヤジ会社からメール  「今年、槍行かない?」
  1号    「いいけど。いつ?」(おー、やったぁ)
  オヤジ  「8月29日から9月1日」(大キレットをやるつもりだった)
  1号    「1日から補習」(あちゃあ〜)
  オヤジ  「じゃあ、28日の夜から31日まで」(槍沢往復でガマンしよーっと)
  1号    「わかった」

  というわけで、交渉成立。「よーし、今年はあの美味しい水(槍沢グリーンバンド手前の湧水)を飲みに行こうな!」


◆しかし8月も後半になって急に気温が下がり、秋のような気圧配置になってきている。「おいおい、どうしたんだよー。太平洋高気圧クンがんばってくれよー」
  槍ヶ岳頂上付近の気温は最低2度を記録し出している。昨年の猛暑がウソみたい。おまけに低気圧や前線が中部地方から関東にかけて停滞気味で、
  大気の状態が不安定な日々が直前まで続いていたのだ。
  しかしRIKIは「スーパー晴れ男」。 何ら科学的根拠はないが、妙に楽天的であった。しかし一瞬次のような不安も頭をよぎる。
  「ひょっとして1号は『雨男』だったりして…」


  28日夜にプリウスで自宅出発。今回は圏央道の入間ICから乗って、中央高速経由で松本ICで降りる予定。出発してからいきなり雷雨。
  ものすごい雨で圏央道は途中で通行止めになってしまった。仕方がないので八王子ICで乗りなおし。でも豪雨は大月あたりまで続く
  (通過後に中央高速も通行止めになったようだ)。みどり湖PAで仮眠して松本ICを降りて沢渡のPには2:30頃の到着。
  ここも雷雨で空がピカピカ光る中、再度仮眠した。今日はさすがに雨の登山を覚悟する。


◆5:00に起きて、タクシーで上高地に向かう。数時間前の雨がウソのようにあがり、釜トンネルを抜けると焼岳がくっきりとお出迎え。
  上高地の景色のシンボル岳沢も上部まではっきり見えている。ラッキー!
  上高地バスターミナルで朝食をとり、支度をして出発。時間は予定よりやや遅れて6:30。今日はイッキに標高2900mのヒュッテ大槍まで登る。
  上高地の標高が1500mだから標高差は1400mである。




◆雨のあがった上高地を出発。今日は月末だからなのか
 天候のせいなのか登山者は少ないように感じる。
 50分ほどで明神に到着。明神館で小休止、すぐ出発。
 1号・ケンスケは歩くのがやけに早い。
 おーいまっちくれ〜。
上高地・河童橋 岳沢の上部もくっきり 明神館で売っていたリンゴ



◆明神から30分ほどで徳沢だ(歩くの早え〜)。明日槍から降りてきて宿泊する徳沢ロッジがここにある。徳沢キャンプ場では水を補給する。これからの行程は水が豊富なコースなので、満タンにして担ぐ必要がないので助かる。    徳沢キャンプ場→



◆さらに徳沢から50分で横尾。ここで穂高派と槍ヶ岳派とが分かれる。ここまで約2時間半。空は時折青空も出ており、天気予報とはまるで違う展開。
← 穂高派はこの横尾大橋を渡って涸沢に向かう。



◆しかし1号は足が速い。横尾を過ぎると山道らしくなるが、オヤジのことは忘れてドンドン先に進む。おかげで写真がなかなか撮れない。。´▽`
  槍沢ロッジには11時前に着いた。上高地から休憩込みで4時間半である。8年前が8時間、4年前が5時間半かかっていることを 考えると、感慨深いものがある。
  しかし足が速いばかりに、この先行する1号に事件が。。。。



◆槍沢ロッジでしばし休息。今まではここで宿泊
 して本格的な登りは翌日から、という日程だっ
 たが、今回は上までイッキだ。
 ロッジから先は8年ぶり(4年前は大雨で断念)。
 懐かしの光景が次々に飛び込んでくる。
槍沢キャンプ場 景色がアルプスらしくなる。  天狗原分岐から槍沢を振り返る。



◆速い1号には大曲りの休憩時に「天狗原の分岐で待ってろよ」と言ってある。分岐についた。が・・・・1号はいない。確かに先行する1号は見えてたはずなのに。。。?
  ふと天狗原へのトラバース道を見ると、カールの真ん中で1号が座っているではないか!なんであそこにいるんだろう?「おーい!こっちこっち!」
  どうやら、登山道を外れて、槍沢のゴロ岩のところを、ずーっとストレートに登っていったらしい。登るうちに天狗原への道とぶつかったため、ここが分岐だろう
  と判断して待っていたらしい。。。。。やれやれ。


 ←1号はこのカールの真ん中あたりに座っていた ´▽`




◆RIKIはヒザの調子、しかも両足よろしくない。右ヒザはスクワットのせいで何となく違和感あり。左ヒザはお皿の斜め上の腱が痛む(時々出る持病)。
  それよりも何も足の筋持久力がついていかない。8月頭に谷川岳に登ったが、それが昨年10月以来の登山。足が萎えているのである。
  おかげで分岐からの急斜面では1号にまたしても遅れをとる。


◆グリーンバンド手前の水場について、楽しみにしていた美味しい湧水を飲む。8年前は猛暑の中の登山だった だけにその味は格別だった。
  今年はやや寒いくらいなのでさほど感激はなし。ただし実にうまいのだが、、、


◆グリーンバンドでようやく槍が見えるのだが、今回はこの空模様だし、ムリだろうとあきらめていた。
  しかし! 今回もドラマチックに槍が姿を見せてくれた!この感動は8年前と同じだった。




今回もドラマティックに大槍が姿を現した!!この瞬間は感激だ。



◆1号は相変わらず体力旺盛でドンドン先に進む。今回の宿泊場所は昔と違うことや、ヒュッテ大槍への分岐などを地図でよーく説明しておいたから、
  よもや槍ヶ岳山荘方面にまっすぐに直登することはないだろう。ヒュッテ大槍の分岐に着くと、すでに1号の姿はない。ヒュッテ大槍方面の急斜面方面に
  1号が登っていくのが見えたので、まずは安心。だけどオマエな〜、分岐で待ってくれててもいいだろー。冷たい奴。。。



◆ヒュッテ大槍は東鎌尾根にあり、そこまで溜息が出るような急斜面を登っていかなくてはいけない。もう足の筋肉とヒザが悲鳴をあげている。
  空模様は高曇りながら雨も落ちてきたのでレインウェアを着る。ゴアテックスながらこれが暑い。汗びっしょり。
  こんな斜面によー道を作ったなー!と嘆きが出るほどの斜面。10m登っては足を休ませ、また10m登っては、、を繰り返す。

ヒュッテ大槍に登っていく「超急斜面」
から常念岳が顔を覗かせる。 →




登り始めて40分、ほうほうの体でようやく稜線に辿りついた。今日の宿泊ヒュッテ大槍だ!
「ムスコよ遅れてスマン!」 と勢いよく入口を開ける。
………
………
いない。。。。
あれ〜〜??

小屋の人に「高校生くらいのが一人で来ませんでしたか?」と聞く。「いえ、来てませんが」「!!!!!」

すぐに外に飛び出す。
先の方に別の山小屋「殺生ヒュッテ」があり、そこへの道が斜面沿いにあるが、まさかこのヒュッテを見逃してそっちに行くことも考えにくい。。。

もしや遭難??

今上がってきた斜面を見下ろす。大声で「ケーン!ケーン」と叫ぶ。殺生ヒュッテへの道は途中で斜面の影になっており、そっちに向ってもケーン!と叫ぶ。
この雨の中、いったいどこに行ってしまったのか。。
ヒュッテ大槍とその吐きそうな急斜面。
写真は翌日、東鎌尾根から撮ったもの



◆とにかく事情を小屋の兄ちゃんに話をして、殺生ヒュッテに行ってないか電話で確認してもらう。
  「殺生によると、話をしたわけではないので名前なんかは確認してないらしいんですが、さっき高校生くらいの子がこっち(ヒュッテ大槍)に向かったらしいです」

  15分ほどすると、のそ〜っと1号が帰ってきた。ふ〜、まずは一安心。
  いったい何で殺生行ったんだ?この小屋見えなかったわけないだろう?と聞けば、
  「なんかあ、機械とか置いてあるしー、山小屋らしくもなかったんで、向こう(殺生)に行った。」 だって。
  じゃあなんでこっちに戻らなきゃいけないってわかった?
  「おとうが叫んでて、こっち(殺生)の方に向って来ないので、あ、違うんだな、と思って戻ってきた」だって。
  名前を叫んだのが殺生ヒュッテまで聞こえたらしい。偶然ながらムダ叫びじゃあなかったようだ。。。
 


◆追いつけないRIKIも悪い。しかしこの1号、幼い頃、家の近くを放浪して迷子になりパトカーのお世話になった前歴あり。
  さっきの槍沢ゴロ岩帯直登といい、全く昔から「放浪癖」は抜けていないようだ。
 (後日、MMLのタッスィーさん談:「まあ、なんと言いましょうか、マイペース至上主義のB型ならではの事件ですわ、ホホホ」)

  安心した勢いもあって評判通りのうまい夕食をたらふく食べ、そうそうに寝てしまった。

 


ヒュッテ大槍



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