山行記 北アルプス(2003年夏)編 |
今年も行ってきた北アルプス! |
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今年は 1日目:上高地→横尾山荘(雨の中の強行軍) 2日目:→槍沢→槍岳山荘−山頂往復(午前中は時々雨) 3日目:→南岳→キレット→北穂山荘 4日目:→南陵→涸沢→パノラマルート→上高地→西糸屋 と、雨に降られて逃げ帰ってくる結果に...しかし、今年のメインであった槍ヶ岳登頂とキレット越えは好天の中決行出来たので良しとしましょう。 で、写真は肝心のキレットの部分は、久々に難路を通る緊張感からかA沢のコルで撮った物しか無いといういやはやなんとも... |
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準備編 |
GPSの事 (槍の山頂で位置を計測中→) |
GPSを使うには準備がいります。今回は、DAN氏作成のフリーウェア・カシミール(カシミールのホームページ)と云うソフトを使って行いました。 1.周辺の山や小屋の位置(ウェイポイント)の作成 2.予定ルートを計画&カシミール上への作成(ちゃんと避難ルートまで計画しましょう) 3.GPSへの転送 他にも、カシミールを使って 1.確認用の地図出力(登山届けにも使える&ちゃんと届けを出しましょう!) 2.各ルートの概要把握(標高差や距離など) も行いました。 ところが、丹沢や普段の旅行でテストをしたところ、GPSのメモリーが小さいため軌跡の記録が1日強(10秒毎に記録)しか保たないことが判明(ってスペックから計算できるのに....)。よって、定期的に軌跡のバックアップを何かに取ってから消してあげないといけないわけで。 カシミールには勿論吸い上げることは出来るのですが、ただでさえ15キロの荷物を背負っているところにリブレットを入れる事など出来ず...と悩んでいたら、fukuro氏作成のフリーソフト・GarmapCE(Garmapのホームページ)という便利なソフトを発見。しかも、我が家には今や使われていない、かみさん所有のカシオペアがあるでは無いですか!早速交渉の上無期限でカシオペアの貸与を受けGarmapCEでバックアップする事にしました。 元々、WinCEは好きじゃ無いので、PalmIIIで出来れば良かったのですが、この時点では方法が確立できていなかったので背に腹は変えれないです。 折角GarmapCEを使うわけですから地図も作ってしまいました。これで、軌跡の確認を地図上で行えるようになりました。また、カシオペアを持ち歩くことで事前にルートを頭にたたき込む&再検討をするのにも役にたちました。 (地図の表示と、衛星の捕捉状態@北穂山荘の前) |
他の準備 |
食料、レインウェアの買い直し、靴の点検(この時点では問題無かったのに...)、ホエーブスの点検とガソリン補給(パッキングなどを親切な方から譲って貰い、以前にも増して調子が良いです)、等々。そうそう、ザックも昨年末に買い直しました。って、買い直してから1回目の使用が、北海道は室蘭岳(1000m弱)での吹雪の中の登頂だったのですが(^_^;) これがザックカバーがかかっていますが新しいザック、ミレーのキャプサン45−55です。 |
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1日目: |
雨の中、上高地から横尾山荘に向かう。松本からのタクシーで運転手さん(この方も山が好きで、北アルプス界隈では結構有名な方らしいです)が言っていた”明日は晴れてくるだろう”と云う言葉を信じて。信じた甲斐は、勿論ありましたよ! 新調したレインウェアの撥水は完璧で、まるでこれあることを見越して新調したようなもの、ひたすら雨の中を歩く歩く。 |
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2日目: |
朝起きてみると...バケツをひっくり返したような雨!沈殿する事を検討するも、取り敢えず食事。食事を終わってもまだ雨...どうしようか悩んでいるとなんと!止んでいるではないですか。これは出るしかない!取り敢えずは槍沢ロッジへ向かう。 槍沢ロッジを出る頃、霧雨程度だったので槍山頂を落とすことを決意するもババ平で一度大雨に遭うがほんの一時だったので一安心。その後は快方へ向かう。 (←槍見沢から槍が見えない...) 大曲を超えたところで雪渓に行き当たる。冷夏と昨年の大雪のせいか?ふっと、昨年11月4日の殺生ヒュッテのスタッフの遭難を思い出す。遺体が見つかっていないので、ひょっとするとここらの雪渓に埋まっているのかと... 雪渓を越えたあたりから、今年は私の歩みが鈍くなる。足が上がらない...天狗平への分岐付近でふっと沢を見るとゾンデ棒(?)を持った人が数人、何をしているんだろう?と思いつつもひたすら足を上げては休むを繰り返し水場に到着。パンを食べると体力復活!なんだ、お腹が空いていただけか(^^ゞ ここで広島から来ていた同年代のカップル・夫婦?と会う。 |
槍ヶ岳が見えるようになり、殺生ヒュッテへの分岐でコーヒータイム。先程のカップルと抜きつ抜かれつで、一気に小屋まで! (←槍沢のガレ場) |
小屋ではみんな同じ区画になったのも何かの縁、一緒に槍ヶ岳山頂アタックに行くことにしました。カップルの彼女の方は、練習中に落ちたとかで怖いから行かないと言っていたのですが総勢4人いれば大丈夫(根拠は無い!)と云うことで。 (←槍岳山荘前から槍ヶ岳) |
例年なら混んでいるはずの登頂ルートも空いていて、トップ私、ミドルは女性陣、ビレーヤーに彼氏と云う順で順調に上り、しかも山頂ではマッタリモードに入れるほど空いていて、4回目にして初めて山頂でゆっくりできた。下りも勿論順調、昨年の雨の中のアタックと違って満足のいくアタックでした。 (←槍ヶ岳の上りの梯子) |
今日は夕焼けがきれい、アルペングリューエンである。明日こそきれいに晴れそうだ。 |
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3日目: |
晴れである!快晴である!当然、今年の目玉、穂高の大キレット(漢字では”切戸”と書く)越えは決行である。 (槍ヶ岳の脇からの御来光→) |
大喰岳から振り返ると槍ヶ岳がきれいに見える。 (中岳の水場で給水中→) |
”日本屈指の難路が続くので覚悟しろ!(要約)”と云う看板を見ながらいざキレットへ!ここからは緊張の連続。ずり落ちそうなザレた急坂を下り、キレット鞍部。なんとか手と足が届くところを辿りながらの長谷川ピーク、ちょっとはましな飛騨泣き(雨も飛騨と信州の泣き別れ、らしい)。通れるところを探しよじ登りずり落ちる、鎖を頼りに絶壁をトラバース、岩を跨ぎ越す。緊張感が堪らない。かみさんも丹沢でのトレーニングと昨日の槍登頂での足慣らしのおかげで確実に越えてくる。いや、私より綺麗なルートを使ってくる、大したものである。今回は、トップとしての責任を背負い、3度目にして初めての緊張を味わったが非常に心地良い。やはり山の体質がしみこんでいるのだろうか。 |
無事に危険個所一箇所目の長谷川ピークを越えA沢のコルでフルーツタイム。さすがにこのコースは人が少ない。前後には把握しているだけで5パーティー、すれ違ったのも4パーティーでみんな装備も重登山靴に35l以上のアタックザック、パーティーによってはトップの完全ビレー装備、服装からしてもいかにも山屋である。こう云う人達を見ると、昨今の中高年・基本が出来ていない登山者の横行が嘘の様に思える。 (同じく飛騨泣き→) |
さて、飛騨泣きを越えてからはひたすら岩場を上るだけで北穂山荘。日本で一番高い所にある小屋で絶壁にへばり付くようにたっている小屋である。今までは通過するのみで泊まったことが無かったので今回は是非にと組み込んだ次第。期待以上に良い小屋で、食事も美味しい。ただし、水はポリタンに分けて貰うことが出来るのみなで、手洗い(トイレには消毒液有り)、洗顔は水を無駄に使わないようにしましょう。 (北穂山荘前のテラスから涸沢カール→) |
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4日目: |
起きる、頭が痛い、薬を飲んでまた寝る。朝食ものどを通らない...例年だと2日以上高山病になることは無いのに...薬が効いたのか、出発する頃には頭痛も止んでいたが、別の意味での頭痛、つまり雨が降っている、しかも半端では無い。天気予報では明日も雨。涸沢岳(キレットほどでは無いが、それなりに難路)を越えて奥穂に向かう予定だったが、明日も雨と云うことで下山を決意。今年2日目のレインウェアフル着用。南陵を下り、涸沢カールにある涸沢ヒュッテへ。小雨にならないかと期待したが一向に収まる気配なし。ここで泊まる事も考えたが、明日も雨だし、小屋で天気を確認したところ午後には少しましになるとのことで、早目の昼食後下山を決行。パノラマラインは思ったほど楽では無く、しかも、何故か靴の中の浸水してくる...足の感覚が鈍り足取りも遅くなり疲労度が増す。 ほとんど下ったところで沢に行き当たる。折からの雨で増水しており、渡河出来そうにない。100m程遡行して渡河できそうなところを探すが、もっと質が悪いところばかり。水没覚悟でレインウェアの裾を縛り上げ、正規ルートでの渡河を試みたところ、最後の1m強以外は難なく突破、が...最後の1m強は激流の向こうに1枚岩、足下には10cm四方くらいの岩が出ているのみ、沢越えが苦手な私にこれを跳べと言うのか?跳んでやろうではないか、ジャンプ!いけた!と感じた瞬間足の裏に接地感、跳ぶ前に決めて置いたスラブに手を掛け2点支持。久々の会心の一撃であった。安心している時間は無い、次はかみさんである。いそいそと岩をよじ登り、万が一に備えてビレー体制。かみさんジャンプ!綺麗に決まって10点満点。 お次は浅い沢の中を少し下り、森林帯へ。森林帯を抜けて園庭で一休み。沢の流れは激しい(帰ってから本を見直したら、ここって普段は水が流れていないのですね...)。 少し下り、工事用道路へ出る。ふっと見ると看板が1枚、曰く”7月。今年は残雪が多いためパノラマルートは通れません”と。開通したばかりだったの。 さて、ここからはひたすらハイキング道を上高地へ。1日目、雨の中それでも足取り軽く通った道も今日ばかりは足取りが重い(それでも1日目とほとんど変わらないコースタイムだったのは早く雨から逃げたいと云う願望からか?)。ようやく上高地は西糸屋(涸沢から予約)に着き、部屋(贅沢に個室!)に入った頃には疲労困憊、安心からか突然襲ってきた筋肉痛...取り敢えず着替えてお茶を飲んでひとっぷろ浴びてと。豪華な食事に舌鼓を打ち(山小屋の食事が悪いと云っている訳ではなく、最近の食事は美味しいです)、美味しいお酒(お気に入りの白馬錦!)、また風呂と... 雨は津々と降り続ける... |
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家路: |
やはり雨である。行きに乗ったタクシーの運転手さんに来て貰う事にした。それまでは雨の中少しだけ上高地散策をしておみやげを買い込み、西糸屋の喫茶室で美味しい珈琲を味わう。 (帰りの”あずさ”→) |
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後日談: |
その1 謎の浸水の原因は、ビブラム(ソール)が一部剥がれかかっており、靴底の縫い目から浸水していたことが判明。即刻修理へ。 その2 GPSで取った軌跡のデータをカシミールで確認したところ...以降省略 (^_^;)\(・_・) その3 今回、カシミールやGarmapCEといった良いソフトと出会えたこともあるが、ルートの計画が非常に容易に且つ入念に行っえた事が役にたった。天候、体調不良、キレットに関しては技術的な問題による待避ルートまで(自分なりに)完璧に行えた結果、今回のような天候不順においての決断の早さに繋がったと思える。また、装備も見直したことにより特にレインウェアの買い直しにおいてはその効果が覿面であった。 最近、ツアーやリーダー任せの登山者(特に中高年)が、自分の行くコースも知らない(地図すら持っていない)、予備食料も無い(水もほとんど持っていない)、ザックカバーやレインウェアが無い(実際、今年の山行においても多数見かけた)と云った準備不足から遭難する事も多い事からも、改めて準備の重要性を思い知らされた。 その4 ショッキングな話しですが...家に着いてニュースを見たところ、1日目に通った大曲付近に雪渓で、殺生ヒュッテのスタッフの方の遺体が発見されました。その後3日の間に3人全員の遺体が発見されました。”何をしているんだろ?”と思った人達は捜索をしていたものと思われます。改めてご冥福をお祈りいたします。 |
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雑談: |
本文にも少し書いていますが、最近、中高年・初心者の遭難が非常に多いです。 これが遭難か?なんで届けが出ている&救助を呼ぶんだ?と思うものも多数有りますが、それでもあまりにも増えすぎです。 準備、技術、体力の不足などもあるかも知れませんが、基本的には山を舐めているのでは無いでしょうか?最近では山の上でも携帯電話が使用できるのでいざとなれば救助を呼べば良い、とか、準備はリーダーやツアー会社がやってくれるからほっとけ、とか、遭難しなければ非常食や非常用装備もいらない、とかとか。はっきり言って迷惑至極です。 実際、この様な事態を踏まえて、ツアー登山に対する規制の検討や、遭難した際の県警の救助ヘリを有料化しようと云う動き(タクシー替わりに使う不届きものが大発生しているとの事)もあります。 教えらる人も少ないのかもしれませんが、是非とも経験者の元基本を学んでから来て欲しいものです。 |
ルートとトラックのGPSデータ(カシミール3DのGPSファイル=GDB形式) |
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