漢方薬を服用する為の基礎知識  

 漢方薬を服用している、服用したい方は意外と多く、服用している方も煎じ薬からエキス製剤、粉薬、丸薬と様々で漢方薬がいかに日本国民に浸透しているかが伺いしれます。(もちろん明治以前は漢方が医学の主流でしたが・・・)
 しかし、そのような方の中に漢方薬の本質を知らなかったり、間違った使い方で服用しているいる方も多く見受けられます。
 誤った知識や服用では漢方薬をの力を十分に発揮できないばかりか、場合によっては体に害を及ぼすこともあります。
 ここでは漢方薬についての基礎知識を簡単にお話しいたします。是非、参考にして下さい。



 漢方薬は日本製品。

 えっ、意外と思うかもしれません。
 漢方薬というと中国が本場のような気がしますし、日本はそれを真似して使っていると思っている人がけっこういます。
 しかし、実は漢方という言葉は明治に日本で作られた言葉で、中国では漢方という言葉は用いず中医学と呼んでいます。
 つまり漢方という言葉を簡単に説明すれば日本の伝統医学と言うことになります。



 漢方薬の原料は意外と身近にあります。

 漢方薬は何種類もの薬草を混ぜ合わせて作られています。
 しかし、ただ単に何でもかんでも混ぜているのではなく厳格な規則により行われています。
 また、化学的に合成された物はなく、すべてが天然又は栽培された生薬を用いています。
 私たちの身近にある、生姜、シナモン、ハッカ、カンゾウ、芍薬、牡丹、ナツメ、ミカンの皮、ベニバナなど非常に親近感のある植物が数多く漢方薬の原料として用いられています。
 しかし、原料のほとんどが輸入にたより、また天候等で収穫が左右されるので材料の安定確保には苦労が多いのが現状です。



 漢方薬はどこから来たのでしょうか。

 漢方薬の基礎は今から約2000年ほど前の中国漢時代に張仲景という人により完成されたと言われています。
 その人の書いたと言われている「傷寒論」という書物は漢方研究家にはバイブルのように重要な書物となっていますが、日本には奈良時代以前に遣唐使、遣隋使により教典や薬と一緒に日本に持ち込まれました。
 奈良の正倉院には現在でも当時の貴重な薬が保管されているのは有名です。
 その後、鎌倉、室町、江戸と中国からきた医学は日本の国民性と風土に合うように研究、改良そして発展しながら現代に至っています。
 ですから先ほど書いたように漢方薬は古代中国医学を起源とし、その流れを汲む新しい日本の伝統医学と言えるのです。



 漢方医学の考え方について。 

 漢方薬を服用するためには漢方医学の診断方法である「証」に基づいて漢方薬を決めなければなりませんが、それをここで書くとチンプンカンプンになるのでやめておきます。
 ただ、漢方薬ならば誰が飲んでも、どんな病気にも大丈夫であるという考えは方は間違っています。
 漢方薬は人間の経験が蓄積されてできあがった薬です。新薬ならば動物実験などを行って有効性や安全性を確かめるような事を行いますが、漢方薬の場合はいきなり人体実験でした。
 科学が発展していなかった時代ですから致し方ないのですが、現在、私たちが用いている漢方薬もそのような多くの人体実験を繰り返して完成されたものです。
 十分な薬やまともな医療の無かった時代ですから、たぶん多くの方の犠牲の上に今の漢方薬が作られたのでしょう。
 それだけに漢方薬の用い方には慎重で、「薬は毒であり、偏ったものである。」という考えを基本に、有効な作用だけでなく、有害な作用にも絶えず気を配って処方を決定しています。


 漢方薬の処方の決め方について。

 先ほど漢方薬は漢方医学の診断方法である「証」に基づいて決めるといいましたが、つまり人間の五感に頼っています。
 血圧計、レントゲン、体温計や検査技術の無い当時ではそれしか方法がなかったわけです。
 しかし、検査技術が発展した現代でも昔とほとんど変わらない診断方法により漢方薬を決定します。
 漢方薬を決めるには、病名を決めるよりも病人の訴えや自覚症状、他覚症状を総合的にとらえて判断しています。
 とても大病院の2時間待ちの3分診療ではたとえエキス製剤とはいえ漢方薬など処方できるわけが無いはずですが・・・・・・・。


 漢方相談をするならば・・・・。

 先にも述べたように、漢方薬を決めるには病人の自覚症状、他覚症状、訴えを十二分に聞き、五感を働かせなければなりません。
 世の中ひどい業者もいて漢方の「か」の字も知らずに漢方薬を処方、販売しているところもたくさんあります。
 いい加減な処方や販売で傷つくのは病人本人ということを忘れないでください。
 また、とんでもない高額な価格で漢方薬を販売する業者もあります。一例をあげれば当薬局で数千円ほどで販売している漢方薬と同じ処方を桐の箱に入れて五万円で販売しているケースがありました。
 是非、漢方相談をされるならば信用と実績がある薬局をお選びいただきたいものです。

※ 上記の件につきまして、同業の方からお叱りの手紙を頂戴いたしました。もちろん匿名できましたのでお名前や店名は判りませんでしたが、その方は「患者さんがその薬を良いと思って信じて購入するならば、高く買おうが、高額な値段で売ろうが構わないだろう。」との事でした。本当にそれで良いのでしょうか、物には適正価格があると思うのですが・・・・・判断はご覧になっているあなたにお任せしましょう。


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