愛が人を殺すなら、憎しみはビンボを救うでしょう2
(偽「ノワール」解説ぺーじ)
第88話雷波荘園 舞台:パリ
あらすじ
朝の光の差しこむ部屋、遠くから近づいてくる音楽で少女は目をさました。
「これは…ジョン・ウィリアムスによるサウンドトラック…
確か、ダースベイダーのテーマ…
ドアが開き、笑顔の女性が現れる。
「愛しいクロエ。次の試練がきまりました。」
「アルテナ!?どんな試練ですか!?」
期待と不安のまじった表情で聞き返すクロエをアルテナは制する。
「その前に、これをつけるのです」
クロエはアイマスクをつけられ、マイクロバスにのせられた。
マスクを外していいと言われた場所は、6畳一間のアパルトマンの部屋だった。

「クロエ、あなたはこれからこの部屋で”人は安売りだけで生きていけるのか”
を テーマに暮してもらいます。」
「ここに、今朝パリで配られた新聞があります。
これらについてきた広告の中で 最も安い食材を買い揃えるのが、今回の試練です」
「…安売りと試練は関係があるのでしょうか…?」戸惑うクロエ。
「優れた苗木は買い物上手でもあらねばなりません」

その夏は記録的な猛暑だったが、毎日クロエはチャリでパリ中を走りまわっていた。
今日のメニューは難易度の高い、ブリ大根だ。大根もブリもオフシーズンである。
それでも何とか買いそろえたのだが、アルテナにそれはブリではなくハマチだと言われ、 リテークをくらってしまった。

クロエは普段決して弱音をはかない少女であったが、炎天下の下、外套をきたままチャリをこぐのはきつすぎた。
外套の内側に仕込んだ数十本のナイフも重くのしかかる。
「人は安売りをめざして、チャリをこぐ。なのに天は、天は何も降らそうとはしない…」
(↑わかりずらいが、いっそ一雨ふってくれれば楽なのに、という愚痴らしい)
クロエは不安になった。
こんな所で来る日もくる日も、スーパーの安売りをもとめて自転車をこぎつづける事は
いくらアルテナの言う事とはいえ、果たして真のノワールになるために必要な事なのだろうか?

「!」
一瞬、視界の端に、何かがよぎった。あの娘(こ)だ。
あの娘が、アイスの露店の前で、炎天下の下じーーっとアイスをみつめている。
あの娘のお友達は、あの娘にアイスを買うお金をあたえていないのだろうか?
クロエは胸がいたんだ。
この、ブリを買うためのお金を使って、私があの娘にアイスを買ってあげたら…??

その時、アイスの露店のお兄ちゃんがたまらずに叫んだ。
「あーもう、お嬢ちゃんには負けたよ!!
お代はいいから、好きなのサービスしてやるよっ」

「…うん。ありがとう。」
今日も、無料でアイスをゲットした霧香。実は常習犯であった。

「…!!」
一部始終をみていたクロエに、満面の笑顔が浮かんだ。
そして、ツールドフランスもびっくりのスピードでチャリをこぐと、
本日パリで一番安いブリを買うと速攻でアルテナの元へ走った。

「アルテナ。私、やっとこの試練の意味がわかりました。
私の憧れのあの娘は、買い物上手どころか、無料で欲しい物を手にいれました。
私もあの娘のように、もっともっと節約名人になりたいです。」
「ああ、愛しいクロエ。優しい娘。
今、ソルダは深刻な財政難におちいっているのです。
1銭でも安く、勤めを果たすことも、真のノワールに必要な資質なのですよ。

今回の試練は、これで終了です。よくがんばりましたね。クロエ。」
アルテナはクロエを抱きしめると、優しく髪をなでる。
「今夜はよくおやすみなさい。また明日から新しい試練がはじまりますよ。」
「はい、アルテナ。」

朝、光さす部屋に、あの曲が響き渡る。
眠い目をこすりながら部屋みまわすと、昨日まで無かったものが
部屋を占領している。
「鉄棒…?」
隣には、アルテナが聖母のような微笑をうかべて立っていた。
「今度の試練は、大車輪をまわる事です…」
コメント
えーと…、間があいてしまったせいかちょっとノリがちがってきてしまったような…(汗)
な、長〜っ!!
元ネタは、日テレの「雷波少年」です。あの番組を見てない方スイマセン。
88話ですが、時間的設定はどーみても10〜19話あたりになっているのが不思議です。
この謎も後に明らかになるのですが(本当かよ)今はまだ触れない事にしましょう。
ちなみに、この安売り生活で浮いたお金で、クロエはアルテナからご褒美に国内旅行1名様をプレゼントされるのです。
それで、クロエはコルシカ島に遊びに行くことにした…かどうかは定かではないです。
また、クロエは大車輪をマスターするために、中国の体操学校に留学したらしいという話も…定かではないです。
クロエのビバ!安売り!! あの…大事な事かきわすれてました。
クロエファンの方。
お、怒らないでください〜。
霧香アイスただ食い記録 12 総数12
ミレイユたいやき食い逃げ記録 総数 8(うぐぅ)


つづく…かもしれない

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