医師「あまり薄いしみやくすみは、レーザーではちょっと難しいことがあります。レーザーは色に反応するので色が薄いと効果も弱いのです。塗り薬とケミカルピーリングがいいと思います。特にくすみはケミカルピーリングでかなり良くなります。ちょっと気になるしみくらいなら、塗り薬が簡単で安く、最善です。」
貴方「塗り薬って何ですか。」
医師「塗り薬はレチノイン酸というビタミンAの一種を用います。よく化粧品に入っていますが、これはレチノールで、レチノイン酸は同じようなものでも、強さが全く違います。あくまで、「くすり」です。その他にハイドロキノンという皮膚の漂白剤やこうじ酸という美白で有名な成分も適宜使用します。これらにより無理なくしみ・くすみを薄くしていきます。ただし、あまり濃いしみには効果がないこともあります。」
貴方「ケミカルピーリングについて教えて下さい。」
医師「ケミカルピーリングは、酸を塗ることで肌の角質を徐々に剥がしていき、肌のくすみをとる方法です。皮膚の新陳代謝を良くしますし、時間をかければだんだんしみも薄くなります。ただし、2週間に1回の治療で、回数が最低で6回は必要です。」
最近、美肌ブームとともにレチノールが話題となっています。レチノール・レチノイン酸ともにビタミンAの一種です。レチノイン酸は現在アメリカではレノバとかレチンなどという製品も発売されていますが、このレチノイン酸は厚生省では認可されておらず、日本では化粧品に本来のレチノイン酸は配合できません。一般にレチノールが配合されています。レチノールはレチノイン酸に比較し、効果はかなり劣ります。角質を薄くしていくことや、それによる皮膚のターンオーバーの改善により、しみを薄くします。
ただし、アメリカ人のような濃度でレチノイン酸を塗ると肌が赤くなったりするので、その濃度を決めるのは難しいところです。レチノイン酸といえば一種類の濃度しかないクリニックでは、問題です。また、原末は冷凍・暗所保存が原則であり、薬として作ってしまうと、保存期間に限りがあります。定期的に新しいものに取り替える必要があります。
また、ハイドロキノンは皮膚の漂白剤の一種です。メラニンの産生を抑えます。非常に作用が強く、かつては皮膚が白く抜けるということがありました。現在その組成が改良され、皮膚が白く抜けることはありませんので、安心して下さい。これも使用する濃度が高いと刺激が強く、前述のレチノールとの配合などでは、至適濃度を個々に見極めることが重要と言えるでしょう。
他にも抗酸化剤としてのビタミンCも美白作用がありますし、エラブチン、プラセンタエキスなど各クリニックによって様々な配合が行われています。
私も美白成分の研究とその至適濃度について色々試しましたが、結果は個人差があり、画一的な薬はないと判断し、結局色々な濃度・配合のものを用意するということになりました。
塗り薬の費用は通常5〜10グラムで2000から1万円といったところが平均的です。
ケミカルピーリングは酸で皮膚の角質を剥がし、これを繰り返すことで角質・皮膚の新陳代謝を促し、肌のきめを整えます。しみが消えてなくなるというわけではありません。現在日本人にはフルーツ酸という弱い酸を用いた方がよいと言われていますが、時にTCAやフェノールのような中〜強い酸による治療が症状により用いられます。この場合はかなり注意しないと日本人には強すぎます。あとで逆にしみになることもあるようです。フルーツ酸はワインやリンゴ、レモンの様なものに含まれ、家庭でもこれらのパックや入浴を行いますよね。これをもっと強くしたものだと思って下さい。なお、ホームピーリング製品は濃度が濃くても、酸がマイルドにされており、医療機関のピーリングとは全く別物です。
ケミカルピーリングの費用は通常1回1万〜3万です。別にアフターケア用化粧品代(1〜2万円)がかかることが多いようです。