俳人協会岡山県支部では「烏城」という会報を発行している。編集長は柴田奈美さんであるが、ある夏の一日、編集会議を終えて俳談に花を咲かせていたとき、編集スタッフの一人より「鶏頭」で百句競詠してみないかと言う提案があった。渋々参加する者、嬉々と参加する皆様々であったが、編集メンバー六名は十四年十二月一日を期して鶏頭百句に挑戦した。 この句はこの時「鶏頭」百句を持ち寄り、自選五句出句して句会をしたときの一句である。他に奈美さんは〈鶏頭の束ねらるるを拒みたり〉〈鶏頭花群れて獣の気を交はす〉〈鶏頭のこゑごゑ一揆の声なせり〉〈肚すでに決まつてをりぬ鶏頭花〉の句を出句された。 私は日頃の手弱女振りで控えめな彼女から、このような益荒男振りの句は想像もしていなかったので、本当に吃驚した。 しかし、考えてみれば奈美さんは『正岡子規と俳句分類』の研究を長くされていて、子規の研究により日頃から子規に益荒男振りな力を頂いていたのであろうと思う。納得した。 (杉本征之進) |
社団法人俳人協会 俳句文学館401号より |