山行記 三日目 |
雲ノ平から水晶岳へ |
雲ノ平山荘 5:00 → 7:00 祖父岳 7:40 → 8:45 ワリモ北分岐 8:50 → 9:30 水晶小屋 9:50 → 10:30 水晶岳頂上 (^0^)/ |
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◆4時に起きる。外に出て一服。星がきれいだー!。フリースを着てはいるが全く寒くない。ここでこうなら下界は熱帯夜だろうなあ。
今日の行動は長い。いよいよかねてから念願の水晶岳…これを往復した後に鷲羽岳をアタックだ。北アルプス最深部の両巨頭に
挑む!早く出発したいが、空が白み始めるのは5時頃だ。予定では今日の宿泊予定・三俣山荘にはRIKIの足では16:00頃になる。
◆準備を整え、5:00に出発。「水はキャンプ場の方がおいしいですよ」とのことだったので、on the way であるキャンプ場で 水を補給予定。キャンプ場までは約30分だ。夜明けの雲ノ平を進む。今日もいい天気を確信。昨日までですっかり両手が 日焼けした。少しヒリヒリする。顔も黒くなっているんだろうなあ。 一人ぼっちで雲ノ平のドラマチックなほど静かな夜明けの木道を歩く。この荘厳の瞬間を味わいたくて山に来る。 目の前に水晶岳が大きい。午前中は逆光で山肌が黒々とし、そして荒々しい。水晶岳の別称は「黒岳」だ。山頂付近が ゴツゴツとしていて、アタックするにはやや危険な岩場の通過が予想される。 |
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夜明けの雲ノ平 |
◆道はキャンプ場を通過して、そのまま祖父岳に向かう、と地図にはあった。しかしRIKIが持っている地図が古く、ルートが変わっていた。
道はキャンプ場を大きく迂回して祖父岳に通じるようになっており、その結果、キャンプ場までは「往復」しなくてはならなくなっていた。
ああ、時間のロス…でもしょうがない。水は補給しなくちゃあねえ。ザックをデポしてキャンプ場の水場を往復。(地図は新しいのを買おうね!)
キャンプ場への分岐からは黒部五郎岳が美しいカールを見せてくれている。
逆行に浮かぶ水晶岳(黒岳) -雲ノ平より-
◆雲ノ平から水晶、鷲羽方面に行くには必ず祖父岳山頂をを通過しなければならない。この山は位置的にも「雲ノ平の主」のような存在。黒部源流方面に行く道の分岐から祖父岳への急登が始まる。早朝からヤレヤレなのである。まだ朝ごはん食べていないので何となく身体に力が入らない。ただ、急登はつらいが、みるみる高度が稼げるのでRIKIは嫌いな方ではない。登るうちに初めて雲ノ平を上から見下ろせるようになる。この秘境の全貌が明らかだ。雲ノ平をはさんで昨日アタック成功の薬師岳が大きい。絶景だ!山頂からの展望も楽しみだ。 ふうふう30分息を切らして山頂に到達する。 |
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雲ノ平を見下ろす。薬師岳が大きい。 |
◆祖父岳頂上は広くてケルンが乱立している。座るのに手ごろな石がたくさんあり、よーおいしょっと腰をおろしてお湯を沸かして朝ごはんを作る。ここは標高2825m、結構高いんだなあ。ここまで登ってしまえば、何となく後は気が楽になる。 展望は予想通り絶景で、薬師、水晶、鷲羽、黒部五郎、三俣蓮華がぐるりとまわりを取り囲んでいる。中でも黒部五郎は絶品で、太郎平から見た眺めとは全く違って、有名な「五郎のカール」がぱっくり口を開けて対峙するその姿はRIKIの心を魅了する。「今度絶対登らせてもらうぜい!」 |
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祖父岳山頂からの黒部五郎岳 「五郎のカール」が印象的だ |
◆朝メシで腹が満たされた!さあ水晶岳へ向かうゾ。祖父岳からの下山は水晶岳往復のあとに歩くワリモ岳・鷲羽岳の稜線がよく見渡せる。ワリモ岳の岩山を登り下りして、鷲羽の急斜面を登るつらそうな稜線が…だが体調もいい、天気もいい(よすぎ)、気分もイイ! |
◆祖父岳を下ると「岩苔乗越」の鞍部に到着する。ここで小休止。地図にはここに水場があると記載があったが、水らしき気配は全くない。困ったな〜、水が足りないことはないが、結構ギリギリだなあ。(帰ってきて判明したが、水場の位置が地図では間違っていた。地図は新しいのを買おうね。) 途中に水晶小屋があるが位置的に水(=無料の)はあまり期待できない。 岩苔乗越はこのあたりの交通の要所(?)となっていて、南は黒部源流を経て三俣山荘に向かう道、北は秘境中の秘境温泉である「高天原温泉」に向かう道が分岐している。10分ほど急斜面を登ると、「ワリモ北分岐」に到着する。 |
岩苔乗越より高天原方面 | 岩苔乗越にて小休止(水がない) | ワリモ北分岐 |
◆ワリモ分岐にザックがいっぱいデポしてある。それを見てやっと気がつく!「そうやん、ここにデポすればいいやん!」
急に気分が晴れやかになる無体力トレッカーであった。水晶まで軽身で行けるゾ!さっそくサブザックに必要なものだけ移しかえる。
◆身軽になって気分は最高、水晶小屋目指して斜面をスイスイと登って行く。時々振り返ると鷲羽岳やその向こうに槍ヶ岳の神々しい姿が見渡せるようになる。途中で雷鳥に出会う。前を行くご夫婦の奥さんが「わーかわいい♪」と叫んだ。カメラを取り出すまもなくどこか繁みに隠れてしまった。確かにカワイイ。しかし丸々としたその姿に、2年前鹿島槍で初めて雷鳥に出会った時と同じ思いが頭にひらめく。…「食ったら旨そう」(ちなみに特別天然記念物) そうこうしているうちに水晶小屋に到着。 |
◆水晶小屋からは今まで見えなかった裏銀座縦走路方面、読売新道方面が見渡せる。
おーこれまでは地図見て想像してただけの山の中の山の世界だあ!
水晶岳はここからは目と鼻の先だ。ゴツゴツとした岩稜。久々に岩をよじ登るようだ。かねてから一度は行ってみたいと
強く念願していた「北アルプスど真ん中の主」に、さあ最終アタックだ!!
水晶に向かう途中から南を振り返る。 鷲羽岳方面の稜線が美しい。 |
水晶小屋。バックは野口五郎岳 (裏銀座縦走路) |
水晶小屋よりの水晶岳。 いよいよ最終アタックだ。 |
◆静かに岩山に向かう。心がはやるが、こういう時こそ落ち着いて山頂を目指し、心静かに山頂を踏む必要がある。積み重なった経験がそうさせる。落ち着いて登る行為自体をじっくり楽しみ、味わうためだ。なだらかな稜線を過ぎて岩に取り掛かる。途中にハシゴがかけてありゆっくり身体を持ち上げる。壁から突き出た岩をよじ登るように乗越す。3つほど岩稜をこなすと、いよいよ山頂が視界に入った。なんだかまぶしいものを見るような思いだ。最後の岩の斜面に取り掛かるところで山頂から団体が降りてくる。先に下りてもらい、その間にさらに心を落ち着かせる。団体さんが通りすぎた。さあお前の番だ。じっくりとじっくりと岩を登る。 やがて自分の目の前に自分より高い所はなくなった。 2007年8月26日 10:30 水晶岳(2986m) 登頂 |
◆日本百名山の中で最も時間を必要とするとされ、どこからアプローチしても2泊の日程を要するこの最深の山に遂に到達した。感慨深い。
幸いにさっき団体が去った後なので山頂にはもう一組のご夫婦だけで、この喜びの登頂を静かに過ごす事ができる。
◆「四周すべて山である」 その通り360度すべて山、山。近くには当然、遠くを見通しても平野は見えない。しかも今日で3日連続のピーカンでメガトンクラスの大展望だ。昨日登頂した薬師岳、これからアタック予定の鷲羽岳、巨大カールの黒部五郎、南には読売新道の赤牛岳、遠くには槍ヶ岳・穂高岳、その向こうに乗鞍。北に目を向けると白馬方面の後立山にも脈々と山が続いている。まさに北アルプスのど真ん中を実感。 |
水晶岳より北側の大展望
↑槍ヶ岳と穂高連峰 ↑鷲羽岳 遠く乗鞍岳 トンガリ山は笠ヶ岳 雲ノ平の向こうに黒部五郎岳 |
写真左:水晶岳より南側の読売新道/赤牛岳 写真右:槍ヶ岳をバックに。 |
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◆長い至福の時間をこの山頂で過ごしたかったが、先が長い事もあり20分ほど登頂の喜びを堪能、下山した。