(3日目 続き) 水晶岳から鷲羽岳、双六小屋へ

水晶岳頂上 10:50 → 11:30 水晶小屋 11:50 →
12:30 ワリモ北分岐 13:00 →
14:00 鷲羽岳山頂
14:10 → 15:05 三俣山荘 15:20 → 17:45 双六小屋(泊)



◆さて念願の水晶岳登頂を絶好の条件で果たした。次に向かうのは鷲羽岳。黒部源流部の山で有名。岩山の下山は慎重に下る。
  登りとほぼ同じ時間をかけて水晶小屋に戻る。水晶小屋ではやはり水は有料だ。天水200mlが200円(だったかな)、ミネラルウオ
  ーター250mlがなんと500円!。ま、手間とかヘリの運送費を考えると当然かな。保険の意味もあってミネラルの方を購入する。


◆ザックをデポしたワリモ北分岐までイッキに下り、ザックを拾い上げ、平らなところまでザックを片手で担いで昼食のための大休止を取る。グズグズしてはいられないが、食事は大事だ。これだけ何日も長い時間歩けるのは、計画的な栄養やミネラル補給のせいでもある。今回持ってきたアミノ系の粉末飲料の効果も出ているのか、今回の山行ではバテる気配が無い。



◆鷲羽岳の前にはワリモ岳が行く手をさえぎっている。この山、太郎平から見たときには急峻なとても登れそうに無い立派な岩山に見えたが、 ここから見ると山というよりは稜線上の一岩峰のようだ。山頂付近を通って行く登山道がご丁寧についている。まずはこのワリモ岳の急斜面を深呼吸しながら攻略。

ワリモ岳山頂よりの鷲羽岳。遂に捉えた。




◆ワリモ岳に登頂し、すぐにまた鞍部に下っていく。下りきったところから、いよいよ今度は鷲羽岳の急登にアタック!気合!  テレビでたまに見る妊婦さんの呼吸法のようなやり方で一歩一歩斜面を詰めていく。さすがに太ももに疲労が溜まっている。  しかしペースは落ちない。右手には黒部川源流部のなだらかな沢の斜面だ。この平和な沢からあの猛り狂った荒々しい 黒部川が 生まれ育つ。振り返ると高度もかなりあがっており、今通過したワリモ岳の向こうに水晶岳が姿を現している。 まるで「また来いよ!」と言ってくれているようだ。

鷲羽岳登りから振り返る。
手前のワリモ岳の岩峰の向こうに水晶岳。





◆そろそろ足が悲鳴を上げだす頃、山頂に飛び出す。 ああ、ここから眺める槍ヶ岳は神々しい……
 2007年8月26日 14:00 鷲羽岳(2924m) 登頂




鷲羽岳山頂から硫黄岳越しに神々しい槍ヶ岳。


記念写真だけ取りすぐに山頂を去った。




◆鷲羽岳山頂でものんびり過ごしたかったが、ここで少し欲が出る。ひょっとしたら双六小屋まで今日中に行けるかも…
  今日中に双六に入っておけば明日は新穂高まですごく楽になる。体調は今日も問題ない、というか調子がよい。
  贅沢な話だが3日間ゲップが出るほど景色を堪能していることもあり、10分ほどの滞在で鷲羽山頂を後にする。



◆下ってすぐ、左手に鷲羽池が見える。有名な池。右手は黒部源流部の優しい表情の沢。そして眼下には三俣山荘が見え、そこまでさっきの登りより激しい急斜面が続く。RIKIは下りが不得意、先は急ぐものの慎重に確実に下っていく。左ヒザの外側が時々激しく痛むことがある。その部位の腱が炎症を起こすクセがあるのだ。その事もあって緊張感を持ちながらの下りだ。三俣山荘から登って来る登山者とすれ違う。みな息が荒い。相当な急斜面。道はザレているので気が抜けない。登りよりも汗が噴出してくる。およそ1時間ほどで三俣山荘に到着。


◆三俣山荘着15:00。双六小屋までコースタイム2時間半。行ける。よし行こう。午後は天気が急変することも多いため、山小屋には少なくとも15:00頃までには到着する、これが山の常識。だが今回はちょっと違反をさせてもらおう。水が豊富なこの山荘で十分補給させてもらって、そのせいでまた重くなったザックを担ぎなおし、双六に向けて出発した。
三俣山荘と鷲羽岳。この斜面を下ってきた。



◆分かってはいたが、双六小屋を過ぎると三俣蓮華岳の直下までゴロ石の急斜面だ。ちょっとあせってスピードを 上げているせいも
  あって息が激しく荒くなる。今回の山行で初めて苦しさを覚える。だけど後悔はしていない。あまり遅くなって小屋の人に迷惑をかけ
  ないようにしなくては。2004年の9月、奥穂高から西穂高まで縦走して、西穂高山荘に暗くなって飛び込んだことが頭をよぎる。



◆苦しい三俣蓮華への登りもやがて終わり、巻き道に入る。ちょっとほっとする。三俣蓮華から3名年配の登山者たちが下りてきた。双六で幕営していてこれから戻るところだという。幕営でなく小屋に泊まってくれていたらもっとほっとするのになあ。5分ほど遅れてついていくが、なかなか追いつかない。恐ろしく足が速い。所要時間を確認して、巻き道の2/3は歩いたかなあ、と思ったところに水場があった。そこに彼らは先に休んでいる。「ここまで半分だあ」と言っている。確かに地図も半分のところに水場のマークがある。でも何だか変だ。地形と地図を見比べ、時間も考えたら確かに2/3は来ているはずだ。頭に??マークをつけながら、巻き道とは思えないゴロ岩の急斜面をあえぎ登り(想定外!!)、尾根をひとつ超えたところでようやく眼下に双六小屋が目に入った。(結局またまた地図が間違っていることが跡で判明)



◆さっきから後ろから猛スピードで追いついてくる二人組みが気になっていた。双六小屋への斜面を降りていく時も気になってしょうがない。なかなか近づかない双六小屋。下りても下りてもまーだ下に見える。苦しんで苦しんで(ってちょっと大げさ)、ようやく到着した。時間は17:45。18時前に到着してほっとする。受付の人に遅れた到着を詫びて宿泊票に名前を書いている時、さきほどの二人組みが到着した。夫婦だ。三俣を15:50に出発して猛スピードで歩いてきたという。三俣小屋の人にムリだし危ないからやめなさい、と言われたらしい。心配しているだろうから三俣に連絡して欲しいと言っている。
双六への最後の下り。これが長かった。
反対側は槍ヶ岳・西鎌尾根方面。




今日は長かった。雲ノ平を5:00に出発し、水晶、鷲羽と縦走してきた。ここまで頑張った自分に乾杯しようとビールを注文する。すると小屋の兄ちゃんが「缶ですか?」と聞いてくる!!「え?何?ひょっとして生あるの?」「はい。缶が500円で生が800円です」「…うーん、じゃあ生!!」。魅惑的な色をした液体で満たされたジョッキを受け取って小屋の外のベンチでゴクゴクっと飲む。身体中に電気が走る!五臓六腑にしみわたるぅ〜、うーん800円は安い!?

さあ、気分が良くなった、寝る!おやすみ!山、最高!



◆本日の登り +1185m  下り -1185m



山行記 四日目(最終日)



◆本日は帰るだけである。新穂高温泉までコースタイム6時間。昨日頑張ったおかげで、昼過ぎには到着できそうだ。
  双六小屋は日曜日の夜ということもあってメチャ空きで、布団を二つ占有させてもらった。もうひとつの布団には我が愛すべきザックを寝かせた(^o^)
)
 


◆5:30に小屋を出発、抜戸岳・笠ヶ岳方面に続く稜線にまずは緩く登って行く。今朝はご来光は見られたが、全般的にガスが多い。
  3日間ピーカン続きの天候もいよいよ今日から下り坂のようだ。今回は本当にラッキー、晴れ男健在だあ。


双六小屋と双六岳 双六岳 鞍部に双六小屋がある 稜線から見た樅沢岳 
西鎌尾根を経て槍ヶ岳に至る



◆稜線からは下りOnlyだ。約2時間で鏡平山荘へ。ここから眺める槍ヶ岳は絶品。まだ今日は朝早いので逆光になってしまうが、夕焼けに
  赤く染まる槍を見てみたいものだ。そこからまた延々と小池新道を下る下る。下りが嫌いなRIKIにとっては苦痛。でも温泉とビールが俺を待っているぜ!



◆途中で何度か休憩を取りながら、鏡平山荘から4時間かけて新穂高温泉に下山完了!



左:鏡平山荘からの槍ヶ岳
右:こういう道を延々と下る。



◆新穂高温泉の食堂で食事を摂った後、バスで平湯温泉に行く。平湯温泉のバス停の隣にある「平湯の森」で延々と温泉に浸かって4日間の汗を流す。日焼けが痛い!
平湯から松本までは飛騨高山から来た特急バス(新穂高発は登山客で満員だが、高山から来るバスはガラガラ)で。松本からは特急あずさで帰還する。

◆夕暮れにたたずむ南アルプスの甲斐駒ケ岳や鳳凰山を、電車に揺られながらほろ酔い気分で眺めるのは最高の贅沢だった。



◆本日の登り +180m  下り -1640m



おわり


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