剱岳(2998m奥大日岳(2606m)


「その剛鉄のような岩ぶすまは、激しい、険しいせり上がりをもって、雪をよせつけない。・・
その鉄の砦と急峻な雪谷に守られて、永らく登頂不可能の峰とされていた。」

(深田久弥)


  


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プロローグ 剱岳 北アルプス 2998m 雪と岩の殿堂
学生時代に知っていたら間違いなく「あこがれ五峰(六峰?)」入りしていたに違いない。
その頃北アルプスの山で知っていたのは、槍・穂高・野口五郎岳(何故だかは同世代の
人はわかるよね?)ぐらいのもので、恥ずかしながら剱岳の存在を知らなかった。

利尻、駒ケ岳(北海道)、鹿島槍、槍、谷川岳、日本にカッコイイ山は数あれど、
カッコ良さに「悪魔のような甘美な危なさ」を兼ね備えているのは剱岳だけだろう。



「なぜ山に行くのか?・・・そこに山があるから。」
重そうなザックを背負ったRIKIを見て、山登りをしない
友達が「ようやるなあ」という意味を込めてそう言った。
「そこに剱があるから。」
剱に登る理由はこの言葉がピッタリくる。
岩のよろいに覆われ、最後は垂直に近い岩壁を登らね
ばならぬ、日本百名山の一般トレイルで最も危険な山。
冒険心もくすぐる。




2003年9月3日(水)
大阪⇒富山⇒室堂(翌朝8:00着)

9月4日(木)
室堂 8:30⇒9:50新室堂乗越 10:30⇒
12:00奥大日岳 12:30⇒13:30新室堂乗越
14:00⇒15:45別山乗越


累積標高:+960m、-630m



<室堂⇒新室堂乗越⇒奥大日岳>


最近の山小屋は高い。一泊1万円近く取られる。アホかと思う。山の道具も高い。子供たちをどんどん山に連れて行き、その素晴らしさを教えてあげたいファミリーにとっては頭痛のタネである。
食料や寝具などでザックはずっしり重くなるが、
今回は剱沢にベースキャンプ方式が取れるので、最近貧乏性のRIKIはテントを担ぐ。


夜行急行「きたぐに」で大阪を3日11:30出発。翌朝4:30富山駅に到着。そこから私鉄、ケーブルカー、バスと乗り継いで8:00に立山のベース基地「室堂」に到着。立山駅では結構強い雨が降っていたが、室堂は標高2420mで雲の上、天気は上々だ。まずは、新室堂乗越に向かう。今日の目標は「奥大日岳」(2606m)から剱岳の西面を見ること。この日本200名山に数えられている山には申し訳ないが、目的はあくまで「剱を見ること」だ。


日本100名山の著者、深田久弥は「剣岳の一番見事な景観は、仙人池あたりから望んだものであろう。」(このページの一番上の写真)と書いているが、RIKIのお気に入りは剱の西面である。これを見るためだけに奥大日岳に登る。


ガスが立山川方面(馬場島方面)から沸いてきており、奥大日岳も見え隠れしている。せっかく登っても剱が見えなければ何の意味も無いので、どうしようか迷ったが、自分の「晴れ男」を信じて思い切って出発することにする。

室堂にて。バックは奥大日岳
結構すぐそば
地獄谷の中を通過する。
バックは別山乗越方面
ガスも弱くなってきて奥大日岳が安定して
見えてきた。剱の大展望の期待高まる!


新室堂乗越でザックをデポ。サブザックで軽快に尾根を登り始める。室堂乗越で突然剱が目に飛び込んできた!やった!でも山の右半分は手前の山でさえぎられている。もっと上へ!

ほどなく2510mの小ピークに到着。お〜すげ〜、憧れの剱西面が姿を現したゾ!RIKIイチオシの剱の凛々しい姿が圧倒的迫力で迫ってくる。う〜ん、かっこいい!(涙)

剱岳の西斜面!(クリックで拡大します)
左の稜線が早月尾根、右が別山尾根。
山頂右のコブが前剱、手前の山は剱御前。
振り返れば立山の美しい台形の姿が。
今回は脇役。


ほどなく奥大日岳(日本200名山、2606m)の山頂に到着。以外にあっさり着いた。(いいのかな?こんな名山にあっさり登れて?)。
おわ〜凄い凄い!剱から立山までが素晴らしい大パノラマだ!

してやったり、のスーパービュー。やっぱ剱はこの姿が最高!


奥大日岳山頂 山頂にて剱とツーショット



<奥大日岳⇒新室堂乗越⇒別山乗越⇒剱沢テン場>


山頂で目いっぱい景色を堪能してから。来た道を戻る。ずっと剱を見ながらの、常に剱に見守られながらのハッピーなトレッキングだ。1時間で新室堂乗越に到着、ザックを回収して今度は別山乗越に向かう。ここから標高差370mを重いザックを担いで登る一番の頑張りどころだ。


恥ずかしながら、この急登ですっかりホキ(=バテ)てしまった。一度に歩くのは10歩が限界。その度にヒザに手をやり息を整える。なかなか近づかない剱御前小舎(別山乗越にある山小屋)。肩にずっしりとザックの重さがのしかかる。汗もダラダラ、無体力ぶりが見事に露呈。


ホキRIKI.。別山乗越ははるか上。
天気は最高だが、暑いよ〜。
やっと近づいてきた剱御前小舎。


2時間弱かかってほうほうの体で剱御前小舎(別山乗越)に到着。心臓が破裂しそうだったぜ。先週の六甲山のトレーニングだけじゃまだまだ不足だったようだ。


でも迎えてくれたのはまたしても剱岳の素晴らしい姿!今度は南面だ。奥大日岳から見るとちょうど裏側にあたる「源次郎尾根」「八ツ峰」が見えてくる。こっちから見てもやっぱカッコイイ!
さあ、ここから今日の幕営地となる剱沢のテン場まで下ろうか。別山乗越は剱沢の減頭部にあたり、この沢は
「日本三大雪渓」のひとつに数えられ、最後は黒部川に合流する(「十字峡」と呼ばれ、対面の沢となんと十時交差している)。


相変わらずずっと剱岳に見られながら(幸せ♪)、剱沢をテン場目指して下る。ゆっくり40分ほどで到着。ここからは眼前に圧倒的な岩の迫力で剱岳が迫る!テントを設営し、ずっとずっと剱を見ながら食事をとる。剱を仰ぎコーヒーをすすりながらタバコをふかす。この世の至福、空は気持ちよすぎるくらいに晴れ渡っている。



別山乗越 16:00 ⇒17:00 剱沢テン場(泊)

登山道あるのは分かっているが本当に登れるの?どう見ても岩と断崖ばかりだ。
「層々たる岩に鎧われて、その豪宕(ごうとう)、峻烈、高邁(こうまい)の風格」(深田久弥)
地図で明日のルートを確認
ホントに登れるのかな?
明日に備えて早めに寝る



明日に備え、7時には就寝。陽が落ちてしまうと信じられないくらい寒くなる。3枚レイヤードで一番上はフリースの上下、シュラフにもぐりこんでもしばらくは凍えていた。


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