大峰山(弥山1895m) 弥山川ルート


鉄ハシゴ地獄! 戦慄の空中回廊! 11時間の格闘の巻

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大峰山(弥山) 弥山川ルート俯瞰図
(カシミール画像)

  


日本百名山の山を登る者の心得のひとつに、「じっくりとその山の良さを味わい、ピークハンター的登山は避けること。」とあるが、大峰山については多くの登山者が行者還トンネル入り口から安易に最高峰の八経ヶ岳を往復しているのが現状。しかし、これではこの山の魅力が半減以下。大峰山が擁する沢や谷を時間を掛けて登るべきであるとの考えのもと、今回は弥山川(みせんがわ)を遡行し、大峰山系の盟主・弥山(みせん・1895m)を目指す。


2003年11月1日(土)
奈良県・天川村で「みたらい渓谷」散策
キャンプ場泊

11月2日(日)
熊渡 6:30 ⇒ 白川八丁 ⇒ 一ノ滝 ⇒ 滝身平
(双門の滝) ⇒ 12:30 狼平 ⇒ 15:00 弥川山頂
⇒ 17:30 行者還トンネル西口
キャンプ場泊


標高差:1200m 累積標高差:+1490m
(熊渡−弥山)


<ミスター点線>

このコース、登山地図ではしっかり「点線」(=難路)である。ただ、別にクライミング(岩登り)や純粋な沢登りのルートではない。いくつかある弥山・八経ヶ岳への登山ルートの中で最高のルートだとも言われる。ただ標高差はかなり(1200m以上)のもの。
実は同じコースを、10月の3連休には単独・テントで計画、雨模様のため中止した経緯があるのだが、うわさに聞いていた会社の私設山岳会(?)「Team ヨシどん」が11月1日から大峰のこのコースを計画していると聞いたので、仲間に入れてもらうことにする。


メンバーは、(乙女⇒)ミノリさん、リコさん。(野郎⇒)ヨシどん、タカシどん、ニシどん、そして無体力トレッカーのRIKIどんの計6名である。行く前から「大丈夫や〜」「いや〜ムリ、パーティを分けようや」「全員で行かな意味ないで〜」「お前勝手に行け〜」と、コース選択で仲間割れ寸前までいったが、結局タカシどん、ニシどん、RIKIどんの強硬な主張が通り、この「弥山川遡行ルート」に落ち着いた。
ちなみに、このタカシどん、大学時代はバリバリの山岳部で、今ではミスター・点線(=難路好き)と言われる御仁なのである。
相変わらず、あたくしは技術も体力も無いのに、そのくせ難しいコースは行きたがる。


Teamヨシどん 明日香村にて


<奈良・天川村へ。みたらい渓谷散策と前夜祭>

1日(初日)は神戸・三宮に集合、車で一路、奈良県・天川村を目指す。途中、明日香村で古墳を見学する。なんというアカデミックな山岳会!午後、天川村の「みのずみキャンプ場」に到着、バンガローに荷物を置き、まずは足慣らしに「みたらい渓谷」を散策する。散策後は洞川温泉(どろかわおんせん)に出かけ汗を流し、夜はリコさんの豪勢で美味な料理と目一杯用意したアルコールで前夜祭は大いに盛り上がるのであった。


足慣らしに「みたらい渓谷」散策 素晴らしい渓谷美! 紅葉がビンゴ!であった。


(この後の「前夜祭」の様子の写真は恥ずかしくてご披露できません。あしからず)


<いよいよ翌日、弥山川コースへ>

明けて2日目、5時過ぎから三々五々眠い目をこすりながら起きてくる。各自準備をし、車2台で登山口の熊渡に向かう。キャンプ場の前をヘッドランプを付けた20名くらいの中高年の団体が通りすぎたので、「どこから登るんですか?」と聞くと「川(=弥山川)を登ります」と。同じコースだ。どうやらこの人たちは熊渡まで歩くらしい。ご苦労なことである。


車で熊渡まで行き、4名をそこで下りる。ところが行者還トンネル西口の下山口に車を1台デポするため出かけた二人がなかなか帰ってこない。15分くらいで戻ってくるだろうと思っていたのに結局往復40分ほどかかるらしく、その間寒い中、凍死寸前の4名。若干1名、力尽きてついに橋の欄干でうずくまる。。。でも本当は二日酔いだったから(^0^)。


二人が戻り、いよいよスタート。時間は6:30。(さっきキャンプ場の前を通っていった中高年の団体はすでにここに到着し、出発していったが、なんとハーネスを何人かが装着していた。)
長い林道をたどったあと、白川八丁へ降りていく山道に入る。現れた白川八丁の河原は想像もしてなかった美しい場所であった。


林道沿いの紅葉。 白川八丁を行く


<白川八丁>

白川八丁は弥山川の下流に広がる美しい河原。水流は完全に
伏流となり、白い石が一面に広がる。木々がまるで日本庭園の
よう。
写真では紹介しきれないが、とても感動的な美しい河原だ。決し
て冗談ではなく上高地と良い勝負をしていると感じた。しかし、こ
んな隠れた場所にこんな良い場所があるとは。。。
関西、特に紀伊の山々にはまだまだ広く紹介はされていない素
晴らしい場所がたくさんあるのかも知れない。

Oh〜かんどう! でもこれは地獄の前のホンのつかの間のひと
ときであった。


<楽園のような白川八丁を過ぎ、難路へ突入>

白川八丁の河原は最奥の「ガマ滝」で終わり、そこから急峻な山道に入る。覚悟はしていたが、さすがに点線ルート(=難路)、大きな段差や川の渡渉、大岩がゴロゴロした場所など、なかなか楽しいゾ!(こう言っている余裕がまだあった)


山道に入っていく。リボンが頼り。 こんな川の渡渉が何回もある
最後まで飽きるほどある。
巨岩がゴロゴロ



上右写真の大岩がゴロゴロしているところで、先の団体に追いつく。ここは大岩をよじ登って行かなくてはならない難所のひとつ。案の定渋滞している。決して「来てはいけない」とは言わないが、コースを考えればせいぜい団体は5名を限度にするべきだろう。


難所を器用にクライム
していく。


<一ノ滝>

要所や断崖には「鉄ハシゴ」や「鉄の階段」が設置してある。数年前まで鉄が朽ち果てて危険なため通行禁止であったが、架け替えられたと聞く。しかし、場所によってはさび付いてヘタをするとバリっと外れてしまうようなシャレにならない代物もある。鉄ハシゴなどは念のため一人ずつ通る。ジワジワと緊張感も高まる。
鉄ハシゴ、段差、岩の道をこなしていくと、やがて一ノ滝が現れる。ほっと一息。


ようやく一ノ滝に到着。
ここまでは結構楽しい。



上の写真を撮る際、一番右のニシどんがちょっとズルッと足を滑らせた。別にこれは大したことはなかったが、もしもっと左の方で大きく滑れば一大事だというのは、次の写真をご覧になればよ〜く分かるのである。


対岸から見ればここはこんなかんじ。右にいる登山者が見えるだろうか?
足を滑らせたら数十メートル下の弥山川に見事に散る。



次ページに続く。