はじめに


小学校4年生のときの担任の先生はこわい男の先生だった。

その先生の趣味が山登りで、クラスで「山望会」なる登山会を結成、
九州福岡の近郊の山を中心によく山行に出かけた。

当時肥満児だった私に山登りは大変苦痛だったが、不思議と山行にはよく参加した。
半年ぐらいすると舗装されていない山道が大好きになっていた。

この年になってまた山が大好きになったのは、
当時の思い出が脳裏のどこかにしっかりと刻み込まれているからだと思う。



娘のゆうこも小学校4年生になった。
親として何かしてあげられること、それは私の担任が私の脳裏にしっかりと「山」を刻み込んでくれたように、
私も子供たちに思い出を残してあげること。
そしていつか彼らが大人になって、
頭の片隅に残っている山登りの記憶がある日あるとき鮮明に蘇ってきた時、
それは親として子供に価値ある無形の財産を残してあげられた証に他ならない。

(なーに言ってんだか)




突然家族で山登りがしたくなった。
オートキャンプも魚釣りも飽きるほど行った。そこはそれなりに美しい自然があった。
本屋で雑誌を立ち読みしていると、すばらしい風景写真に接することがある。
そこは車を降りて、自分の足で行かねばならないとこ。
私ももっと美しい景色を見てみたい。いや美しくなくてもいい、自分の足で感動を見に行きたい。
子供なりに堪能した、頂上に着いたときのあの達成感、満足感。頑張った者にしかわからないあの感激。
よし、B型一家は初めての山登りに出かけるのだ!



かくして家族の意向はまるで聞く耳持たず、
ひとり自分の世界に入っていった無体力RIKIはあれこれ狂ったように山関係の本を買いあさり、
「これだこれしかない」と初めての山行に
「那須岳」を選んだのだった。

経緯はともかく今回の那須の初山行のコースは幼稚園児でも
親のなだめ方次第で十分出かけられるお勧め入門コース。

さあ出発だ!