2004年2月4日

飛行機は僕の書斎だ、その2、ちょっと真面目に航空機の安全性など

今朝は福岡行きの機上の人になっている。B777-200だ。このクラスになるとワイドボディーなので中に乗っている分には広々としてジャンボジェットと同じだ。座席には液晶モニターが装備されている。ヘッドフォンも樹脂のチューブ式ではなく普通の軽量ヘッドフォンが装備され、長時間つけていても耳が痛くならない。でももっと大きく違うのは客席からはあまり目に付かないエンジン数と運行乗務員の数だ。まずエンジン数で言えば、B777は双発である。あたりまえだが一発止まったらただ一つのエンジンで飛ばなければならない。

以前は一発エンジンで洋上を飛行していい時間が120分で、双発機は陸沿いにしか飛行できなかったのが、規定の改訂で180分になり太平洋線にも飛べるようになったそうだ。でもこんな規定、簡単に変えて良いのだろうか?時代と共に見直したとも言えるだろうが、ちょっと変じゃないかなあ・・・

要は太平洋を飛んでいてエンジンが片側止まっても3時間以内で一番近い空港にたどりつければいいという算段だ。ちょっと前まで3発のDC−10やトライスターの存在意義は1発止まっても残り2発あるので国際線に使用されていたはずだ・・・垂直尾翼に搭載された3発目のエンジンはいかにも整備性が悪そうだし、垂直尾翼面積も小さくなり直進性やラダーの効きにも悪影響が出そうだ。それでも3発を作ったと言うことはそれだけその法律を遵守しようという強制力が当時はあったはずだ。でも今はいいらしい・・・

信頼性の向上とともに777は法律を変えてしまっても国際線を飛んでいる。アメリカの連邦航空局もアメリカ航空機メーカーとエアライン経営陣の圧力に負けたってことだよね。これもヨーロッパ産のエアバスシェアーの飛躍的な増大もかなりからんできているはずだ。

B777の大きな機体をたった2発で飛行させるエンジンは非常に大型で、エンジンナセルの直径はB737の胴体径とほぼかわらない。世界最大の旅客数を誇るジャンボジェットのエンジンの推力は25トン/1発、対して双発の大型機B777のエンジンは40トン/1発の強力な物だ。

もし、片側のエンジン1発が停止したら・・・B747は4発エンジンだから左右のバランスは25トン:50トンになる。かたやB777は0トン:40トン。一度離陸してしまえば最大推力で飛行することはほとんどないだろうからB747は左右のバランスはより少なくなってくる。B777のバランスの悪さは推力の状態に関係なくアンバランスだ・・・

いくら胴体中心よりにエンジンを寄せてるとはいえ、片側しか回っていないエンジンの生み出す首を振ろうとする垂直軸まわりの力は、垂直尾翼のラダーで打ち消すしかないはずだ。どこかでその操作も自動でコンピュータがバックアップされると読んだことがあるが、その状態で悪い方向からの横風が吹いていた場合は最悪の状態になることは明らかだ。コンピューターが作動しなければフルトリムまでラダーをがんばらなければいけない状態になるであろう。そうなれば抗力が大きくなって最大速度も出せない、推力が不足しているので高度もとれない。3時間で飛べる距離もふだんより短くなるから余裕はないよね

信頼性の向上はすばらしい。材料の均一化、加工技術や製造技術の向上。さらに検査も非破壊検査や過去の知識経験資産も生かされているだろう。でも人間が作った機械は万能ではない。先日のMDシリーズのエンジンの破損が多くの機体で見つかった事実は、今朝もエンジンを取り外されたままエプロンにたたずむ数機のMDが如実に物語っている。あれだけのニュースになったのにすぐに直せない大きな問題だったのだ。いや、まだ一般のニュースに流れただけましなのかもしれない。小さなインシデントは表面には出てこないはずだ。

時代は2メンでコンピューターがアシストした運行コストの安い旅客機が求められているのは周知の事実だ。それがいい選択なのか、数十年先に振り返ったときにどうなっているのか、興味深い。航空機の安全にいくらお金をかけるか、それは航空機メーカーと航空会社の良識にまかされているといっても過言ではない。時代は安売り生き残りの時代・・・ユーザーは安全性をすかし見たり、選択できる立場ではもはやない。

B777に搭乗しておきながら、僕は何が言いたいのかちょっと自分でもわからない。ただ大きな強力なエンジンの横の座席で、そのエンジン音を聞きながらエンジンの声を聞こうとするのだが僕にはその能力がないのが歯がゆい。「調子どう?」さっきから聞いてるんだけど返事は「ゴゴゴゴ」だけだ。きっとプラトアンドホイットニー(エンジンメーカー)の技術者だったら音だけでも多くの状態がわかるんだろうな・・・

ちなみに今回は主翼の付け根の座席だ。B777の主翼はでかくて長い。ここで地上の主翼と飛行中の主翼を見比べてみましょう。どうです飛行中の方が上にソリ曲がっていますね〜、

地上のB777の主翼。ほぼまっすぐ

飛行中の主翼、翼端が上がっている

これもどこかで読んだのですが羽根は下からと前からの力には強いが上から下に曲げたり後ろから押す力には弱いそうです。みなさん飛行機を押す機会が有れば是非羽根を前から押してバックさせる方向で押してくださいね。逆をやると整備の人にぶっ殺されますよ(笑)

飛行機の座席は、とりとめの無い文章を捻出するのにs最適な場所である(たにたにの法則)