旅客機の窓から(その1:羽田着陸編)
2000年1月29日

 仕事がら、飛行機に乗る機会が多い。根っからの飛行機好きの私にとって窓から見える景色は映画のスクリーンより心躍らせられる風景です。


 九州、大阪等の西日本から羽田に近づいてきて見える景色で楽しい物としては、名古屋付近で、ほぼ真下、あるいは左側に航空自衛隊の浜松基地を望める。運が良ければ納入されたばかりのAWACS(B767の背中に黒い大きなお皿状のレーダーを装備)が仲良く3機並んでいるのが小さく見られる。


 羽田にあと15分ぐらい前になると飛行機は高度を落とし始め、左手に大きく富士山が望める。冬ならば雪をたたえた壮大な姿を上から見おろせるし山頂の測候所、登山道の軌跡もばっちり分かる。さらに雪の無い一面青みがかった黒色の石で覆われた力強い夏の富士山もおつな物である。

 富士山の手前には真下を下田とした伊豆半島が大きく広がっています。よく見ると中伊豆辺りにループ橋があるのですが肉眼でも確認することができます。自動車で伊豆半島を回ると一日仕事ですが飛行機はものの1〜2分で半島を横断してしまいます。
富士山を左手に見ながら、その右手には伊豆七島を望めます。飛行機はたいがい大島の真上を通過するので新島、神津島が地図と同じ形で見ることがでます。この時右側の座席であれば窓の正面が南を向くので、地図は上下逆さまにする必要があります。座席の前の機内誌の一番後ろの日本地図でも充分島の形を見ることができますよ。真下の大島を見下ろすと港の防波堤の形状、大島空港、三原山をはっきり望めます。

 まもなく左手に相模湾、三浦半島を見ながら東京湾を横断し、千葉の最南端から左旋回に入ります。
この時、夕方のフライトで雲の状態が良ければ、大きく左旋回するときに左側の窓から、夕日をバックに赤く染まった雲海の上に富士山が重なり、すばらしい眺めを見ることができます。
千葉をしばらく北進する窓からはたくさんのゴルフ場、右手には九十九里海岸を望み、フラップを降ろしもう一度左旋回、北西に進路を変え再び東京湾上に進入します。

 ご存知の方には釈迦になんとかですが、羽田への着陸は大まかに言って2通りあります。一つめが、南側から進入し、左に2回旋回してUターンして北側から16L(北を0度として160度、つまり南南東に向かう方位の滑走路)に着陸する方法。もう一つが千葉方向から真っ直ぐ北に向けて34L,34R(前記の逆、北北西)に着陸する方法の2つが基本です。
これらを簡単に早い段階で見分けるこつは、木更津の海上自衛隊の基地の上を越え東京湾に侵入し、千葉と川崎を結ぶ首都高速を右手に見ながら高度を下げていく中で、千葉側から伸びている東京湾横断道路の橋をまたぐ形で進入すれば北から進入の16L、高速と平行に進入しウミホタルが右手に見え、さらにその先の門松のようなトンネルの排気口も右手に見えたら南から進入する34Lということです。

 北からの進入、16Lは高度を落としながら千葉を抜け海上に出ると、左手にこれから着陸する羽田空港を望みながら滑走路平行に空港の東側を通過します。右手には浦安のTDLが見え、機内にモニターがあれば正面にはお台場が見えてきます。特徴的なフジテレビの本社ビル、大観覧車の直前で左旋回、後ろの方を仰ぎ見るとその後につながって降下している旅客機の着陸等が夕方なら3機から4機分見えるはずです。羽田へのアプローチはラッシュアワー並、金曜日の夜の駅のトイレに並ぶサラリーマンのようです、ルールを守って手際よくって所です!
お台場を正面に旋回が終わるとすぐに最終旋回です、左前方にはこれから着陸する滑走路が見えてきます。左側の窓からは手が届きそうな所に倉庫街が見え、自分の飛行機の影が大きく写り込んでいる状況にその低さが実感出来ます。旋回が終わると息も付く間のないまま最終進入、その忙しさは他の滑走路では味わえない緊張感を味わえます。私の最も好きなアプローチです。

 それに比べて真っ直ぐ北に向けて34Lへの着陸進入は単純、ずっと真っ直ぐです。窓からは東京湾を行き交う貨物船、漁船が見えるぐらいで盛り上がりに欠けるなあと思ってしまうのはいたしかなないでしょう・・・


ご意見・ご感想があれば掲示板に何か書いて下されば嬉しいです。