山行記 錫杖・前衛壁、剱・八ッ峰(2005年8月)編


夏休み山行 アルパイン2本!

夏休み前半:杓杖前衛壁東尾根(8月20日〜8月21日)
チンネの前の練習です。新兵器Hueko(Mytothよりもゆったりした作りなのでロングには良さそうです)も試しておきたいです。

8月20日(曇り一時雨) 新穂高温泉
新穂高温泉に集合。駐車場にテントを張り、近くの温泉に入り、めいめい持ち寄ったご飯とお酒で宴会。Rhyme夫婦とA夫婦は遅くまで温泉でマッタリ。21時就寝。深夜、ドクターK到着。今回は総勢9名。

4月30日(曇り一時雨後雨) 錫杖・前衛壁 東尾根

夜も明けぬうちから行動開始。車で登山口の駐車場に移動しいざ出発。暗い樹林帯をヘッデン頼みで登るうち右膝の下に激痛...刺された感じ...止まって何だろう?と確認していると左膝の上にも...あわててズボンをめくると灰色の怪しい虫が。指で弾き飛ばすもこっちは2箇所。とにかく痛い。毒があるといけないので指でつまんで吸い出す。痛くて歩けなくなったらやめれば良い、みんなが帰ってくるのを待てば良い、と歩き出す。みんなはそんな事知らないので先で待ってます。ドクターKに抗生物質入りの塗り薬をもらいとりあえず歩き出す。

登山道をはずれ沢沿いのアプローチルートへ。ぬかるんだ嫌な道をたどり○時取り付き着。クライミングギアを付けつつパーティー分け(1−2で3パーティー)をして登攀開始!

1Pは問題なく行けたのですが、2Pからは先行グループがいて停滞。われわれは1−2で組んだ場合、テールの二人は若干の時間差をつけてほぼ同時に登る(1−2−2でも同様)のですが先行グループは完全に1人ずつです。ちょっとだけ時間ロスに巻き込まれます。アルパインは時間が勝負なのですが...

3PでA0してしまったり、A婦人は高度感のあまり黙り込んでしまったり、5PのグレードはIVかVかで揉めたり(^^; 途中、少し雨が降ったりします。

3P出だし ->

<- 4Pのチムニー内

そんなこんなありつつも5Pまで終了。最終の6Pを始める前に途中で交錯するといけないので先行グループが下りて来るのを待ちます。

6P、出だしが嫌です。最初の一手が遠いのです。Rhymeは立ち木をフットホールドに使いつつそれでもヌンチャクでのA0で1手目を越えます。越えついでに女性陣用にスリングをかけていきます。あとは凹角に入りずんずん登ります。

凹角の中 ->

凹角を出てからリッジを越えて終了です。いやぁ、高度感たっぷり。

<- 凹角を出たところ
ここからは全部懸垂です。1,2Pは1本で下ります。60mぎりぎりで最後は空中です(^^;
ここから雨が本格的に降り出しました。装備をしまって下山開始も足元はぬるぬる、疲れているはで思うに任せません。必死で下ります。
一般道に出てからしばらくしてヘッデンが消えてしまいました。ハロゲンの大小ツインランプなのですが両方点きません。原因不明です。帰って確認したら電池もまだ容量は在ったのでうっすらとでも点くはずなのですが...電池容量が少なくなると全く点かなくなるのならこんなヘッデン(Nationalのハロゲンツインタイプ)は使い物にはならないので、新しくBlackDiamondのVectraIQに買い換えました。予備でNeonも)。
ONさんに後から照らしてもらい悪条件をまた1つ背負っての下山となってしまいました。
20時駐車場着、解散。

夏休み後半:着けなかったチンネ、八ッ峰6峰Cフェースに変更(8月25日〜8月28日)
8月25日(雨後晴れ) 信濃大町へ移動
台風が接近する中、信濃大町に向けてちゃたろうを走らせます。二人分の荷物にRhymeだけ。かみさんは仕事が終わらず遅れて合流予定。
大雨の中走るも長野県に入ったとたんに雨も止み一部晴れ間も。行動食を買い込み
集合場所の山岳旅館山田屋さん到着。かみさんはまだ仕事が終わらないとの事...集合後直ぐに宴会開始!かみさんの方はあずさで間に合う時間には終わらないと云う事で、急遽、ゲスト参加の某山用品店店員のHさんと一緒にバスで扇沢集合とした。宴会しながらテレビを見て知ったのですが、あずさ含めて相当の列車が運休になってたんですね、あの日は。なので結果としてはバスしか交通手段は無かったわけです。

8月26日(曇り一時雨) 信濃大町->室堂->真砂沢ロッジ
6時半始発のアルペンルートに間に合うよう、5時半に出発、Hさん、かみさんと合流、総勢6名。ビジネススーツは場違い(^^;
しかしながら繁忙期ではないので始発は7時半...1時間ロス。
トローリーバス、ケーブルカー、ロープウェー、トローリーバスと乗り継ぎ室堂へ。

<- 黒四ダムの放水

水を補給して9時50分出発。別山乗越しで昼ごはんにしてから剣山荘に向かいます。剣山荘で預けてあったロープを回収、ぐんっと荷物が重くなります。
ここから真砂沢ロッジに向かって剣沢雪渓を下ります。ちょっとだけ雨に降られました。アイゼンを付けていないので結構歩きづらいです。雪渓を下ること1時間、真砂沢ロッジ到着です。
小さく古い小屋ですがお風呂もあり(2005年からはシャワーも設置)、オーナーの佐伯さん(大森さんの友人)も良い方で快適に過ごせます。結局またも宴会。われわれ以外は1人しかいませんでした。夕食も快適。夕食後も宴会をしていると富山薬科大山岳部の若者たちが大森さんに会いたいと訪ねてきてちょっとの間、これからの山を担う若手(って後で知ったのですが相当のやり手だったのですが)と語らいました。彼らは0時発でチンネをやるそうです。我々も明日は早いので宴会も早々に切り上げて20時就寝。

8月27日(曇り一時晴れ) 真砂沢ロッジ<->八ッ峰6峰Cフェース

3時起床、3時半出発。天気は悪くは無いです。朝ごはんは佐伯さんが用意してくれたお弁当セットです。
アイゼン装着で剣沢雪渓を上り、長次郎谷(ちょうじろうたん:柴崎芳太郎をガイドした宇治長太郎の名を冠した谷)に取り付きます。が、RhymeとMさんがちょっと遅れ気味です。7時頃、朝ごはんにします。お弁当セットはアルファ米の山菜おこわ、真空パックの鮭、パックのお漬物、巨峰ゼリーにグルタミン酸キャンディー、パックのお茶です。え?パックばかり?いえいえ、栄養満点、ボリューム十分でしかも普通のお弁当と違ってゴミがコンパクトになると云う便利物なのです。ここで、今日の予定変更です。全体的に体力を使っているのでチンネ取り付きで体力を使い切る可能性があるので、手前にある八ッ峰6峰を数本やることになりました。ちょっと残念ですが、自分自身、体力に不安を感じていたので助かった、と云う気持ちもありました。

食事中に文部省登山研修所(文登研)の大学生リーダー研修の一群の先頭班に抜かれました。これが後々尾を引くとは...

長次郎谷は雪渓沿いに行くと途中で悪いところがあり進めなくなるので要所要所で雪渓を出て巻きます。アイゼンを外したり付けたりしつつ、今回の新兵器”グリベル・エアテックRevo・ハンマー”も使って6峰に迫ります。

雪渓脇にアイゼンをデポしCフェース取り付きに上がります。先ほどの文登研(女の子のみの班の様で、他の壁にも数パーティー取り付いています)が取り付き始めているのでこちらはゆっくりと準備します。が、文登研、全く動きません。いえ、動けません。待てど暮らせど動きません。楽しそうにはしゃいでいるのは良いのですが動いてください...パーティー分けは
 リード:メンバー
 大森さん:Rhyme夫婦 S女史:Mさん、Hさん
の2パーティー。

ようやく動き出したのでこちらも後を追いますが...遅いです。文登研を率いる講師(ガイド&県警)の人もこっちに悪いなぁ、と思っているのは分かるのですが...文登研、出発前の明るさはどこへやら、緊張で凍り付いてます(^^) Aフェースにも取り付いているのが見えて、テラスに1人乗っています。

1P取り付き中 ->

ゆっくりながらもピッチを稼ぎ、途中、大森さんが剥がしたホールドの落石を受けたりしながらも確実に進みます。5Pで文登研を追い越します。やっと抜けたという感じです。Rhyme的には6Pの出だしが結構嫌で、リッジ沿いのトラバースが結構高度感があります。

<- 3P取り付き中

トラバースをしているとお腹に響く”ドン”と云う音と悲鳴が沸き起こりました。えらいでかい落石だなぁ、と思い雪渓上を見ていたら大きな岩が吹っ飛んでいきます。あれに当たったらひとたまりも無さそうです。しかし、今は女の子の悲鳴の方がRhymeに直接的被害を与えています(^^; まぁ、驚いたでしょうねぇ、分かります、うんうん。あとで後を来ていたかみさんに聞いたら、”7峰(?)での落石で、人ほどの大きさの岩が登っている人を掠めて行った”との事。事故にならずに済んでよかったです。
さて、我々も大幅に時間がかかりながらもCフェースのピークに到着、タイムアップです。本当はAフェースもやりたかったのですが時間がありません。しかも、先ほどのAフェースのテラスにいた人たちはまだテラスにいます。真砂沢ロッジに帰宅を決意します。
下降は、徒歩&懸垂です。懸垂は6・7のコル直上だけでも良いのですが、念のためにその上も懸垂します。ロープの回収、ばっちりです、多分。6・7のコルへの懸垂は、出た瞬間に”重い”と感じ(すなわち長いという事)、案の定、60mいっぱい使い切ってました。
登攀装備をしまい、アイゼンを回収しつつ逃げに入ります。振り返ると文登研はまだトラバースにいます。大丈夫かなぁ...?
下りもRhymeとMさんが少し遅れます。Mさんは体調が完全ではないので仕方ないのですが万全のはずのRhymeは完全に体力不足です...
長次郎谷を抜け剣沢雪渓に入ります。ちょっと名残惜しいです。来年は必ず落とします!
ここからはみんなダッシュで真砂沢ロッジへ17時着。お風呂に入って夕食を食べて宴会して、いつも通りの夜です。そうそう、薬科大も我々に少し遅れて帰ってきました。

8月20日(晴れ) 真砂沢ロッジ->室堂信->濃大町
帰るだけです。いえ、その前に剣沢雪渓を登らなくては...
途中、長次郎谷、源次郎谷を覗いていきます。
沢小屋を越え別山乗越しを越え...
<- 今回のメンバー 剱沢雪渓上部にて

前に50人からの団体がいます。広いところに出てから抜けるようにちょっと待ちます。で、ここからはダッシュ!で駆け下ります。団体さんも安全なところで少しずつ抜き去ります(若いわねぇ、とか転ばないようにねと声が聞こえます)。
雷鳥沢まで一気に駆け下り、少し休んで室堂へ。
観光客に囲まれて一番嫌な時間を過ごしながらアルペンルートを下り全工程終了!
総じて

総じて
体力不足を思い知らされた山行でした。うぅむ、持久力トレーニングが必要です

ルートとトラックのGPSデータ(カシミール3DのGPSファイル=GDB形式)

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