山行記 裏妙義・丁須ノ頭〜三方境(2004年11月6日)編


裏妙義・丁須ノ頭:リベンジ!!

国民宿舎裏妙義->丁須ノ頭->三方境->国民宿舎裏妙義
またぞろ裏妙義に行って来ました。ICIの初心者登山教室が7日にあるとの事で、その謳い文句”紅葉の裏妙義で・・・”を信じてその前日6日に行きました。
前回果たせなかった三方境までの一気通巻が目標。ガイドブックやネット上でコースの徹底検討を行った上での再挑戦なのですが、正直、なぜ前回はビビッてしまったのか全く分かりません。不思議不思議。

家を出発 5:40
途中、朝ごはんと行動食を買いつつ関越と上信越道をひた走る。上信越っていつも空いていて好き。
天気は曇りだけど、予報では好天に向かうはずなので期待大!久しぶりに良い天気で登れそう。

国民宿舎裏妙義 7:30−7:56
駐車許可を取ってちゃたろうを停めて、朝ごはんを食べてから出発。
前回は平日だったので駐車場は空いていましたが、今回は週末だけあって混んでいます。

例年よりも遅い紅葉を楽しみつつ、何か中途半端な紅葉の様な気もしますがそこは気にしない。緑がまだまだ多い気がしますが、赤、黄、橙色に染まった山は綺麗です。が、落ち葉が深く積もっていると、落ち葉の下に何があるか(何も無いかも??)分からないので少々不安でもあり、足元を探りつつ進みます。そして、休日だけあって登山者も多いです。前後で7,8パーティーいます。ほとんどのパーティーはやり手と云う感じの人ばかり、そして、Rhyme達は恐らく最年少だったでしょう...
前回3時間かかった登りも今回は2時間10分。前回は足場も悪く、北アの疲れが残っていたからなのでしょう。
そうそう、ロープ(スリング)が取れて、沢の中に落ちていました。拾って岩の上に置いておいたのですが、付け直す事はしませんでした。なぜって、何かあったら責任取れないから。
途中、岩小屋らしきものを見つけました。いざと言う時ビバークできるか?
前回より水量が増した沢筋に登ります。水場も落ち葉に埋もれていますが、ここで汲まないと当分水場が無いのでここで汲んでいきます。

(丁須ノ頭までの鎖場の詳細は省きます)

丁須ノ頭 10:06−10:24
前回と違い非常に混んでいます。手持ちのガイドブックによると、写真に写っている向かいの1054mのピークで食事をすると良い、なんて書いていますが、ここから見る限りではそう簡単に登れそうになさそうです。ん?先発隊が登っていますね。今のところ挑戦意欲無し。
赤岩、烏帽子岩を見て、今回はぜんぜん恐怖感を思えない、それどころか交戦意欲が盛り上がってくる。いつものアドレナリン状態。行けそうです。
栄養補給にチョコレートを食べて、天気も良い具合になってきたので出発!。

前回尻込みした、隣の尾根へ移る切れ込み、鎖場をひとつ戻って登り返そうと思っていたのですがみんな簡単に超えていきます。よっく見るとお尻を着いてそろっと下りれば問題無さそうなのでそのように下ります。あ!簡単。まじで何故前回はあそこまで恐怖感を覚えたのか??疲れていたのでしょうねぇ、多分。

隣の尾根に取り付いて、鎖を一つ登ると左右の分岐。右に行くと1054mのピークへ。核心は最後の1mほどの岩への取り付きのみ。先に上った二人連れの方たちと、”どう登ったら一番楽かなぁ”と話し合ったところ、一番左端から取り付くのが一番よさそうです。登りは簡単ですが下りるとき、下りた後の足場が狭く一瞬躊躇します。景色は...絶景!最高の一言です!

(1054mのピークから丁須ノ頭->)

1054mのピークを下りて分岐を左へ暫く進むと今回のルートの核心部、20m(公称値)のチムニーの下りが現れます。上から見る限りでも相当な高度感です。上部4/5ほどがV字型のクラックになっていて、鎖は取り付いて左側の面に付いています。
先ほどの二人連れの方がちょうど取り付いており、ザックが右面に引っかかってなかなか下りづらそうです(ネット上でも、私が見た限りでは全ての人がザックが当たると書いていました)。どう下りるか作戦を立てないと途中で疲れて立ち往生しそう。そして、こう云う時は慣れた方と一緒にいることは非常に嬉しい事で、上に我々がいることに気付き、下りながらホールドのことや岩質、レストポイント等をレポートしてきてくれます。作戦を立てるのに非常に役に立ちます。
どうやら、ホールドは細かくあり、レストも容易にできそう。ならば慎重に下りれば問題無しかと思いきやかみさんが少しびびってるみたい。”技術的には問題無いと思うけど、どうする?”と聞くと”行く”と言う。そう、技術的にはそれほどでも無いのだが、長いのです、20mは。
さて、取り付いて最初の1ピッチ(5mほど)は鎖に頼って下りてみましたが、後ろが狭い(右の壁のザックが当たるため)ため必然、鎖に頼らなければならない。右足を右の壁に背面で当ててみるも大して効果無し。さてどうするか...2ピッチ目の頭を掴んで右足を右の壁のスタンスに置いて、かみさんが1ピッチ目を下りるのを下からアシストしながら考える...
”!”、そうか、簡単だわ(^^)V
鎖(左面)に正対するからザックが右面に当たるのであって、”V”の奥に正対して、両面のホールドとステップを使ってクライムダウンで下りれば(左写真参照)、必然、ザックは開放面になるのだから当たらない。早速、2ピッチ目で試してみる(かみさんはまだ1ピッチ目の途中なのでアシストも同時にしながらです)。念のために、左手は鎖を使ってみたがホールド・ステップ共豊富にあるのでするすると下りてしまいました。しかも、鎖に頼らないので腕もパンプしない。3ピッチ目に取り付いて、2ピッチ目頭でレストしているかみさんに、体の向きを変えることとクライムダウンで来ることを指示。2ピッチ目を半分方下りて安定していることを確認してから3ピッチ目を下り、そして4ピッチ目...のっぺりした平面、足もかからない。さすがにゴボウで下りる。かみさんも無事に下りて来て本日の核心終了!

チムニーは20mと高度があるので、開放面に背中を向けるのは恐怖心があるかもしれませんが、変に鎖に頼りしがみつくことで体力を消耗してパンプするよりはこっちの下り方のほうが良いかも知れません。
これを思いついたのも、フリークライミングを始めたからでしょう。クライミングを始める前であれば鎖に頼ることしか思いつかなかったと思います。やって良かったクライミング、思わぬところで進歩した自分を発見しました。

(チムニー全景->)

”赤岩”の道標があるところが赤岩の基部。登れるらしいですが今回はパス。赤岩の基部を左に進むとすぐに鎖です。のっぺりとした岩でホールド・ステップ共に無くゴボウで下ります。下の方には足を入れる穴が掘ってあるので、足元が見えれば探して使ってみるのも手かと思いますが、探す手間よりそのまま下りたほうが早いかも。登る時用と思ったほうが良いかも知れません。

これを越えるとトラバース用の鎖が有り...そして!
高度感たっぷり断崖絶壁のトラバース出現!始まりはごく普通のトラバースに見えるものの...
右に折れるとこんな感じ。一部は丸太で渡してありますが、足場はしっかりしています。
これで終わりかと思いきや、再度右に折れると遥か彼方までのトラバース...真ん中あたりは工事用の足場が渡してありしかも途中で切れている始末...
でも足場はしっかりしているので、高度感はありますがバランス感が余程悪くなければ心配は不要でしょう、チムニーを越えられたなら。
途中で振返り見る上の写真部分の全景ですが、まだまだトラバースは続いています。
ここから先の鎖は数が多すぎるので端折ります。烏帽子岩まで複数のトラバース(丁須ノ頭からRhymeが数えた限りでは10ケ所)、下降を繰り返して(それこそ、飽きるまで...)、やっと烏帽子岩に到着です。
と、途中に”なんじゃこりゃ?”と頭を傾げたくなる”梯子らしきもの”があります。実際のところ、非常に有用な梯子(?)で設置された方の苦心惨憺振りが目に浮かぶのですが、”A字型”とは恐れ入りました。
烏帽子岩脇 12:20−12:42
ここまで立ち休み程度しかできそうに無いところばかりで、やっと座れる程の広さのところに出ました。ので、お昼ご飯です。
紅葉と景色を楽しみながらのお昼、来て良かったと実感です。鎖は飽きましたが(^^;

さて、ここからは淡々と下りです。途中、風穴尾根の頭と云う景色が良い所があるはずのですが気付かずに通り過ぎてしまいました。ふと振り返ったらそれらしきところは遥か後方に...失敗...
三方境 13:18−13:43
やっと腰を落ち着けられる広場に出ました。ここで暫く紅葉を見ながら休憩です。

巡視道と名付けられた道をひたひたと下ります。地図とずいぶん違うところを通っており、如何に国土地理院発行地図がテキトウに作ってあるか分かります。また、地図上、水場があるのですが水溜り程度しか無く、水を汲むには無理が有るかと思います。
どんどん下る”下山道は右”の道標を右に折れると河原にでます。冷たい水が気持ちいいです。
ここからは林道を通って国民宿舎裏妙義へ!
国民宿舎裏妙義 15:16
前回同様、お風呂を頂きます。ICIの教室のガイドの方と会えるかなぁ、と思ったのですが流石に忙しいらしく、声は聞こえましたが会うことはできませんでした。

総じて
鎖また鎖の連打は流石に飽きました。
コースタイムでは丁須の頭から三方境まで2時間、今回の実行動時間は約2時間半。距離的には烏帽子岩付近がちょうど中間のはずなのですが、そこまでに2時間かかった(コースタイムでは1時間半)と云うことで如何に進みにくいコースか分かるかと思います。チムニー以外は決して難易度が高いとはいえないのですが、鎖での降下、断崖絶壁のトラバースが多く精神的に参ります。技術的には穂高の切戸の方が高いはずなのですが精神的な疲れは裏妙義に分配をあげたいです。
しかし、何故、前回は二の足を踏んだのか?恐らく、北アルプスの疲れ、天候の悪さ、雨のために悪くなった足場での疲労、そして誰もいない事からの何かあった時の不安。最後の要素は比較的大きいと思われます。今回も、丁須の頭から隣の尾根に移る時に、みんなの通り方を参考にさせてもらい”みんな行けるんだから大丈夫なんだ”と考えた訳ですし、チムニー通過の際も先行の二人連れからのアドバイスは非常に参考になりました。また、誰かいる、と云う安心感があったことも事実です。久しぶりに助け合う(られた?)登山ができました。みんさん、本当に感謝です。

ルートとトラックのGPSデータ(カシミール3DのGPSファイル=GDB形式)

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