山行記 クライミング講習(2004年5月22・23日)編


クライミングリベンジ!

オフィスアルパインさん主催、ICIさん後援の恒例の(ってまだRhymeは2回目ですが)三ッ峠クライミングフェスタに行って来ました。

2回目の、そしてマイシューズでは初めてのアウトでの岩登りです。

5月22日:
”23日夕方から崩れる”から”23日昼ごろから崩れる”と、どんどん早く崩れると云う方向に変わる予報に不安を抱きながらも朝7時、新宿発のスーパーあずさ1号に乗り込む。四季楽園までは大したコースではないので、足元はアプローチシューズ、ズボンはGパンとなめまくったいでたちです。

大月で、3両編成の富士急に乗り換えて河口湖駅へ!
(大月駅にて・久し振りの旅情編→)

9時過ぎ、河口湖駅に到着。講師の大森さん始め、他の参加者の方と合流。点呼の後、講師の方の車に分散して出発!後で知ったのですが、私達が乗った車の運転をしていた広川さんは岳人はじめ、雑誌の連載や本を多数書かれている有名な方だったりした訳で...第一弾の驚き。途中のコンビニで買い付けを行い、登山口到着は10時ちょっと前。ここからは各々自分のペースで四季楽園へ。最初は皆さんのペースに合わせていたのですが、Rhyme的にはちょっと遅く疲れてしまうので先に行かせてもらいました。途中、写真を撮りながらで45分強で四季楽園、まぁまぁのペースです。
みんな到着して、食事を摂りながらレンタル品を借りたり最終点呼を行いのなんのかんので、11時半頃から講師の紹介(南裏健康・保恵夫妻の健康さんは、山岳ガイドの認定を行う方だそうです、って後でこの夫婦の真実を知って驚きます)や班分けを行い、天気が良くないので12時過ぎには岩場に出発、到着後直ぐに練習開始です。

私の班は、講師が森さん(キャラバンで5・10等のテストをされている方)、渋谷さん(だったはず)でメンバーは、Rhyme夫婦と、後に山行を共にすることになる、わうちさん含めて5人(男3人、女性2人)です。
(四季楽園のテラスから屏風岩左フェース→)

混んでいて、あいているルートがありません。数少ないあいていたルート、”さあてこれから(5.8)”に挑戦します。ここで、Rhymeは馬鹿をしてしまいます。取り付きの核心部第1段で、変な力の入れ方をして右腕を痛めてしました。これにより、右腕での引上が殆どできなくなってしまったのです(>_<) なんとかかんとか核心部第1段を越え(ホールドが見つからずに苦労しました...)、痛い右腕を庇うためにも立ち込みだけで登り(これによって、今まで以上に立ち込みの練習=マイシューズでの接地感の取得に役に立ったのかもしれません)、上部の核心部第2段に到着。私の技術では、腕力勝負で登るしか無く(もっと良い登り方が有るのかも知れませんが...)、何度かトライしたのですがフォールを繰り返し、今の右腕では無理と判断...断念してロワーダウンしてもらいました。あと一歩だったのに...
一通り全員登って、次へ、と思ったら雨が降ってきました。ひとまず、岩に張り付いて雨宿り。雨宿りついでに、痛めた右腕をエアサロンパスで応急措置。
少し止んだタイミングを使って、横移動&バランスの練習です、が、右腕に全く力が入らずバランス取にも使えない...”これくらい楽勝!”と思っていたのに3歩でフォール、情けない...

一次止んでいた雨がまた降り出したので、四季楽園に退避することになりました。

何もしないのももったいないので四季楽園で、班毎に分かれて臨時座学を行いました。今まで疑問だったことが一挙に解決し、また新たな知識をいっぱい吸収しました。

17時から夕食です。夕食後は、本来予定通りの座学です。講師の大森さん、森さん、南裏夫妻のお話を聞きます。健康さんの一枚岩が突き出しているだけの絶海の孤島に初登頂と思ったら先客がいて、頂上にハーケンが打ち込んであった話(山渓に出てました)の裏話は笑えました。

座学終了後は布団を敷いてから自由時間。Rhyme夫婦はロビーでikumiさん(とても経験が半年経ってないとは思えない腕の持ち主)や森さん、保恵さんとお酒を飲みながらいろいろな話をしていたのですが...なんと、保恵さんはジャパンカップ10連勝、アジア選手権3回優勝、昨年の国体でクライミングの静岡代表の実績を持つトップクライマーだった事が分かったのです。旧姓・加藤...あ!あの人だ!と思ったのが、丁度その日持っていた岩場の本(日本100岩場 伊豆・甲信)に写真が出ていたのです。

この夜はいろいろな話をしました。特に保恵さんがかみさんに言っていた、”ただ漫然と付いて行くのではなく、何かあっても自力で対処できるようにしながら行かないとダメ ”と云う内容の話にはRhymeも反省一入です(槍2004GWを参照のこと)。山渓2004年4月号の南裏夫妻の遭難自力生還の記録と合わせて、説得力のある言葉です。保恵さんは笑い話の様に話していましたが、いや、あの状況で自力生還は流石としか言い様が有りません。
健康さん曰く、”山での自力生還の鉄則が守られなくなってきている昨今、あえて自分のキャリアや評価を失う様なことになってでも広く発表すべきだと思った”との事です。Rhyme的には、とてもすばらしい話だと思うのですが、皆さんはいかがでしょう??怪我も殆ど治って、三ッ峠の直ぐ後に骨折した肘の骨を固定しているワイヤーを抜くそうです。

え?南裏夫妻はどんな方って?普通の山好きの仲良し夫婦ですよ。トップクライマー同士の夫婦と云ってもごくごく普通です。

22時、さすがに遅いので右腕に湿布をして就寝。明日は天気良ければ良いのですが...

5月23日:
6時から朝食、8時にはみんな集合してさっさと岩場に向かいます。天気は悪くなる一方なので早く早くです。森さん他の講師の方はトップロープを張りに先行していて、保恵さんに着いて行くことになっています。前夜の約束通りです。ここで、ミーハーなRhymeは、上記の本に南裏夫妻のサインをもらっちゃいました(^v^)

早速”一般ルート左(IV+)”に挑戦です。まずは保恵さんのお手本です。”ここはレイバックね”(うんうん、Rhymeの一番好きな登り方、って本当??)、”足はここにかけられるから良く見てね”(うんうん、なるほど)。昨年11月はここでさえも苦労したのですが、右腕が復活していない今日は大丈夫か??立ち込みをしっかりして、腕のパワーが必要なところは左腕で行い、右腕はバランスを取る為に軽く添えるだけ、という感じだったのですが、レイバックもきちんと決まり(本当??そう思っているだけじゃないの??って、森さんに注意されるのではなく、”誰に習った??”と聞かれたので、多分できていたのでしょう、いや、そう思いたい)、さくさくと登れてしまいました。半年のストーンマジック通いの成果??
ここで、初めてグリグリ以外のビレー器(個人持ちのシモンのキュービック)を使ってビレーしました。ちょっと感動です。
(普通の靴で簡単に登って行く保恵さん→)

ここで、昨日の続編、横移動&バランス取です。しかもオーバーハング越え。今回はちゃんとできました。他の人と違ってオーバーハングは体を外に反らして(手はオーバーハングの裏面のを使います)下をくぐるように越えてみました。他の人はオーバーハングの上にあるホールを使って体をオーバーハングに沿うようにしていました。
(←簡単に立っている保恵さん)

ちょっと休憩していたら...”ドスッ”と何かがめり込む音、ATC(ビレー器)が降ってきました(^^ゞ

2本目は”観音ルート右(V−)”に挑戦。先にビレーヤーを勤めてから取り付きます。オーバーハングもさくっと越えて、上部の核心部へもさくさくと...いやぁ、ここではまりました。ホールドが見えないのです。コーナーになっているのですが、上部はオーバーハング、手を伸ばせばそこには下向きの円筒型のホールドがあるのですがとてもではないですが私には使えません。立っているには十分なスペースがあるので、ビレーヤーの方には悪いのですが、時間をかけてよぉっくホールドを探します。左側の岩を手で触ってみると、そこここに薄いながらも足をかけられそうなホールドがあります。となればハンドホールドを...コーナーのクラックは小さすぎるし...閃きました、足は先程の薄いホールドを使いつつ、右の岩に腰を当てて変則的なジャムで行けばどうか?反則だなぁ、と思いつつ(何分止まっていただろう...)、ビレーヤーと”行きます”、”どうぞ”とコールを掛け合い再出発!この反則技、ずばりと当りました、半分登ったところで、上部の水平に近い箇所にあるガバホールドに左腕を伸ばし、軽く引きつつ左足で立ち込み...成功!ここから後は歩いるのと同じ感覚でするすると終了点へ。
”テンションお願いします”、”テンション張りました”、”下ろしてください”とコールを掛け合いロワーダウン。爽快です!

軽く雨が降ってきたので雨宿り。してたら、ロープも降ってきました。ロープダウンのコールも無く、受け取る人たちがRhymeの目の前にいながら一言も無しです。”コールしろよ”と言ってしまいましたが、私に当った事に気が付いてないのかも知れません...

3本目は”都学連ルート(V)”です。先にビレーヤーを勤めてから取り付きます。昨年は、取り付きのオーバーハングで苦労して1回フォールしたのですが...ホールドの場所ははっきりと分かっています。立ち込みガしっかりできれば良いのは分かっているのですが...安定して立ちこみを行う為のハンドホールドに手をかけるまでにバランスを崩しやすい(少なくともRhymeは)フットホールドなのです(削れているんです...)。なので、ハンドホールドを取にいくまでのあいだ安定している方法を見つければ良いわけで...先程の反則からヒントを得て、右足をしっかりとスメアぎみにホールドに乗せ、膝をオーバーハングの裏に押し付けて反則ジャム。これで、1点支持の完成ですが、左足もちゃんとホールドにかけておきます。上半身がフリーになったので、やおらハンドホールドを取りに行きます。一発で取れました。後は押しの感覚で立ちこんで、左足からオーバーハングを越えます。本当に、去年のあのジタバタは何だったのかと思ってしまうくらいの短時間で越えることができました。さて、ここからはさくさくと...行きたかったのですがまたしても雨。上を向くと目に雨が入って痛い。少し進んでみたのですが、上が全く見えないのとホールドが濡れて滑るのでロワーダウン。悔しい、と言っても天気には勝てません...

またまた壁に張り付いて雨宿りをしていたら、上のほうで”カラカラカラ...”と嫌な音が...”!!”と思う間もなく近づいてくる音、と同時に額をかすめて落ちていく直系5センチほどの石。張り付いていて良かったです。”何かな?”なんて上を見上げたりしていたら顔面直撃でしたね...ヘルメット買わなきゃ。

また雨が小降りになってきたので、”一般ルート左”に行ってみました。ikumiさんとビレーを替わりikumiさんが登ります。今だから白状します、ikumiさんごめんなさい、私、大ぼけしてしました。ビレーをしていたら保恵さんから”ロックしてる?”と声がかかりました。そう、ビレー器を付けている環付きHMSのロックを忘れていたのです。何も無かったから良いものの、何かあったら、最悪の場合ikumiさんをグランドフォールさせていたわけで...クライミングだけで無く、山ではひとつひとつの手順に重要な役割が有り、一つでも怠るとそれが事故につながる訳です。正直、久しぶりに冷や汗がどっと出ました。
しかし、プロの方の目線の鋭さには驚かされます。保恵さんからみて反対側にゲートが有り、しかもビレー器が付いた状態であるにも関わらず気が付く、いや、それ以前にちゃんとロックしているかを確認しているところがさすがプロ、と思い知らされました。私のリーダー論に一つ追加です、どんな細かい手順もきちんと確認する事!

ここで何人かビレーしていたら、また雨...しかも今度は本降りです。仕方なく、これにて退散。

四季楽園で、お昼ごはんを摂りながら2度目の座学。南裏夫妻からいろいいろな話を伺いました。2年位前だったか、”スカイフィッシュ”なる超高速で飛ぶ怪しい虫(?)(興味がある方はぐぐってみてください)をメキシコのジャングルに探しに行く、と云う怪しい番組をやっていたのを覚えてる方、おられますか?その番組で深さ500mという大穴に降りて調査する、と云うのがあったのですが、その時に穴に降りた&坂上忍をビレー(って言うか、吊り下げ上げ)をしていたのがなんと、健康さんだったと(^^)。本人はどんな番組なのか全く知らなかったらしいのですが、撮影時の裏話なんて大いに笑えました(^^♪

雨は止む気配がありません。土砂降りの中を下山です。今回の講習会でお土産にもらったマムートの完全防水のポーチ(他にも、GWに活躍した折りたたみトートバッグやマムートのステッカー(一番大きいのはプリウスに貼っています)等を頂きました)にGPSを入れて、ネックストラップで首にかけて計測をしながら降りたのですが...いや、散々なデータが取れました。精度は悪いは、途切れまくっているは...やはり、なるべく高い位置に水平にして計測しないとまともなデータは取れないようです。

登山口からはICIの越谷さんの車に乗せてもらって河口湖駅まで行きました。後で聞いたのですが、三浦さん親子のエベレスト登山のプロデュースをしたのが越谷さんだそうです。いやいや、今回はなんとスペシャルな方々に囲まれての講習だったのでしょう。知らないとは恐ろしいものです。

河口湖駅からは、新宿までの直通、ホリデー快速・河口湖でのんびり帰ります。駅の売店で買った”銀河高原ビール”がおいしい 。

今回の講習会は、上記の通りスペシャルな講師陣に囲まれてのもので、2日で3.5本+αと決して本数としては多くは無かったのですが、とても多くのことを学びました。前回は、とにかく登ることに必死だったのと比べれば大きな進歩です。また、未熟なりにも立ち込みやスメアの感覚が掴めてきたこともあり、次回はもっとスムーズなムーブができるのかなぁ、とちょっと期待しています。
縦走時の岩場を越える為の基礎技術向上のつもりで始めたクライミングですが、これはこれで独立したものになりそうな気配。前回はビレー器と環付きHMS、変形D環だけしか持っていなかったのに、気が付いたらシューズにハーネス、8環、2本目の環付きHMSと変形D環と装備も増え、それぞれの装備に慣れ始めています。特に、シューズに関しては大分とお行儀が分かってきたので立ち込みも安心してできるようになってきています。それにしても、重登山靴とクライミングシューズはお行儀が全く違います。また、クライミングはザックを背負わないので、全体のバランスも大きく違います。
あとは筋力ですが、縦走とクライミングはそれぞれ遅筋と速筋が比較的重要なので、縦走派のRhymeは速筋が不足気味です。速筋を増やしすぎて遅筋とのバランスが崩れても縦走時に体力ロスになりかねないので悩みどころです。ま、遅筋を有効に使ってカメさんペースのクライミングもありかな、なんて(^^ゞ

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