衆議院青少年問題に関する特別委員会決議

児童虐待の防止に関する件


 
平成11年12月10日


 国連児童権利条約の採決から10年、我が国の批准から5年が経過した。しかし、我が国においては親など保護者等による暴力行為等が激増し、尊い命が奪われる事件が多発している。こうした児童虐待は児童の将来に多大な影響をもたらすものであり、深刻な社会問題となっている。児童虐待は、家庭内におけるしつけとは明確に異なり、親権や親の懲戒権によって正当化されるものではない。本委員会においては、児童虐待が、国の将来を担う子どもたちだけでなく、国民全体の問題であることを認識し、国会は、使命をもって、児童虐待の防止に最大限の努力を払うこととする。児童虐待を防止するには、現代日本における家族のあり方、教育のあり方、子育て不安等根本的な問題の解決が必要とされるが、現行制度の中でき得る限りの対策を講じ、今後早急に法制面、予算面の措置において万全を期する必要がある。ついては、緊急の対応として、政府は、次に掲げる諸点について関係者の意見を聴取し、万全の措置を講ずべきである。

1.国民に課せられた通告義務に対し、啓発及び広報の徹底を図ること。
2.児童相談所の体制と専門職員の充実及び児童養護施設の改善を図ること。
3.24時間対応窓口の整備に努めること。
4.児童相談所が立入調査を行う場合、警察は積極的に協力すること。
5.国及び地方自治体における関係機関の連携強化を図ること。
6.NGO、ボランティア組織等民間とのネットワークの構築に努めること。
7.当該児童、保護者等に対するカウンセリング及び個別フォロー体制の充実を図ること。
8.関係省庁による検討体制を確立するとともに、検討状況を随時国会に報告すること。

また、立法府は、本問題の早期解決を図るため、児童福祉法をその他関連法の必要な法整備を早急に講ずることとする。

右決議する。


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