母と子のアジス奮戦記

1、身の回りの人々810日>

  エチオピアで暮らし始めて4ヶ月。1歳5ヶ月だった娘も、1歳8ヶ月になりました。

今暮らしている家は、私たちのような若年者が入るのは初めてという、立派な家で、喜

ばしいことではあるのですが、娘にとっては同じ階に数段の階段があって行き来ができ

なかったり、床がつるつるの石や木だったりで、何度も滑ったりと、難点も多かったよう

です。

  それも、この4ヶ月ですべてクリアし、最近では全然滑らなくなったし、階段も自分で

上り下りできるようになり、部屋を行ったり来たりできるようになりました。

  うちには、料理のメイドが1人、掃除・洗濯のメイドが1人、門番が交代制で3人、そ

れにドライバーがいます。これだけ聞くと、なんてぜいたくな、と思われる方が多いでし

ょうが、この使用人たちを使うのにもやはり様々な気苦労があります。

<マミティエ>

エチオピアでは、メイドのことをマミティエといいます。料理のマミティエは、まだうちで

働き始めて半年ですが、料理好きできれい好きな働き者。日本料理の献立も完璧にた

てられるし、盛りつけも上手で、私は手も足も出ない状態です。もう一人のマミティエ

は、6人の子持ちでここでの勤続年数約20年というベテラン。私も、自分の子供と同じ

くらいにしか見えないらしく、使用人というよりは、お母さんのようなものの言い方をする

ので、腹立たしいこともしばしばです。 この2人とは、英語でやりとりするのですが、お

互いにへたなので、なんだか単語の羅列で、とても欧米の方々には聞かせられませ

ん。

この2人にすぐに親しめたのは、ひとえに娘のおかげでした。エチオピア人は、子供好

きが多いようなのですが、この2人も例に漏れず子供好きで、娘を最初からとてもかわ

いがってくれました。私がでかけやすいように、自分たちから娘にどんどん接していき、

最初のうちこそあまり彼女たちに寄りつかなかった娘も、今では半日くらい私が留守に

しても全く問題ないくらいになりました。

ただ、慣れてくると彼女たちもいろいろものをいいやすくなるのか、要求することも多く

なってきました。

しかも、前の奥様方がくれたものやお金の話をして、私にも同様なことを要求するの

で、ちょっと素直にあげようという気にはなりません。

<門番>

次に、門番。3人が1日ずつ交代しているのですが、3人とも英語が話せない、という状

況で、マミティエがいないときに彼らと交渉しなければならないのは、とても大変です。

門番はガードマンの役割と庭の整備、犬の世話などが主な仕事ですが、3人のうちの2

人は、かなり高齢なようで、ガードマンの役割はとても果たせない感じですし、庭の整

備などほとんどやっていないような気がします。まあ、唯一の救いは、彼らも子供好き

で、娘をかわいがってよく遊んでくれる点でしょう。

<ドライバー>

最後にドライバー。これは、うちに専属でいるわけではなく、オフィスで使っている4人のう

ちの1人を必要時に電話で呼び出すという、少しめんどくさいものなのです。しかも、オフィス

で全員出払っていると、私はでかけられなくなる、という不便さもあります。が、いつも来てくれる

ドライバーも子供好きで、娘もすっかりお気に入り。彼が来ると、大喜びで飛んでいきます。

こうした使用人たちとの生活にも、4ヶ月たってようやく慣れてきましたが、人間づきあい

とはやはり大変なもので、ストレスも多い毎日です。


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