第27回 エリトリアとの紛争1(09,06,98)



現在エチオピアとエリトリアがもめています。
この影響で、最近私のHPへのアクセスも急増しています。
と言うことは、皆さんが期待しているのは、この紛争についての情報。

で、以下に簡単にまとめておきます。

ただし、記録ではなく、記憶に基づいての記述です。 また、情報はエチオピアで入手
したもの、つまり、エチオピア政府発表、エチオピアの新聞(政府のバイアスがかかって
いる)、エチオピア人のうわさ、などが情報源です。
そして、ほとんど何も知らない(であろう)日本人を対象としたもので、面倒なところはか
なり端折ります。(きちんと書くほど知識がないと言うこともありますが。)

<とってもええ加減な「経過」>

98年5月11日
  ナイロビに旅行に行っていたアスマラ(エリトリアの首都)在住日本人がアジス経由
  アスマラに戻ろうとしたところ、アジスの空港でアスマラ行きのフライトがキャンセル
  になったとして、足止めを食らう。
  キャンセルの理由は、エリトリアが国境を越えてきたかららしい。

5月12日
  こちらの新聞にエリトリアが国境を越えて北部の町を占領しているとの報道がなされる。

その後
  エチオピアは「エリトリアが国境を越えてエチオピア領に入ってきて北部の町を占領
  している。 しかし、エチオピアは平和的解決を望んでおり、武力行使はしない。」と
  言い、
  エリトリアは「エチオピアが半年前に占領したエリトリア領を取り返した(RETAKE)した
  だけ」と主張。
  このお互いの非難合戦が続く。
  この間にも、CNNのHPなどではエリトリアが退役兵に招集をかけたとか、エチオピ
  ア軍も国境に集結している、とかの報道もなされる。
  第3国の調停としては、まず、ジブチ、そのあと、ルワンダ、USAも両国を訪問し、調
  停の努力をするが、功を奏さず。

  このころ、私は「事実としてどっちの言い分が正しいかはわかれへんけど、どっちに
  してもあんな言い方したら、退くに退かれへんよなあ。 どうやってこれ収めんねや
  ろ。 これはおもろいなあ。」とのんきなことを考える。
  ちょっとした用事があって、アスマラ入りの予定もあったが「まあ、ごちゃごちゃやっ
  てるのは国境だけで、アスマラに入ってしまえば安全」とも信じていた。(なんと、先
  が読めない奴かと自分でも嫌になるが、言い訳をすると、私の知る限りの当地在住
  日本人は誰もがそう思っていました。)

  国境からかなり(800kmぐらい?)離れたアジスアベバでは全く普段と変わらぬ生活
  ですが、内陸国エチオピアは輸入物資(これがほとんどですが)の半分以上をエリト
  リアの港(ASSAB)から荷揚げしています。
  紛争で、国境が封鎖されるとどうなるか?
  ジブチへ貨物の荷揚げを変更していますが、そんなにすぐに変更できるわけはな
  い。 ジブチの港のキャパやジブチからアジスへの道路の問題もある。
  すぐにプロパンガスが消えました。(料理に使います。)
  今のところ、日本人に影響が出ているのはプロパンだけですが、今後いろいろな物
  資が不足することでしょう。

6月5日
  こちらの新聞でエチオピア メレス首相の4日の発言が載る。
  かなり強硬。
  「エチオピアはルワンダとUSAの調停案を受けると言うてんのに、エリトリアは拒否し
  とる。これまで平和的に解決しようやないかと我慢してたけど、もう勘弁ならん。 武
  力でも何でもつこたるで」(かなり、私の意訳)

  ちょっとやばいよなあ。

  夕方、うちのドライバーが「ラジオでエチオピアがアスマラ空港を爆撃したと言って
  いた」と言う。
  あちこちに聞いてみると、
  まずエリトリアがメケレ(エチオピア北部の州=チグレ州の主要都市)を空爆し、お
  返しにエチオピアがアスマラ空港を爆撃したらしいことがわかる。

本日(6月9日)
  今のところアジスの生活はやはり変わりない。
  戦争(紛争?)当事国にいるとは思えないようないつもと変わらぬ生活。

  5日から今日までの間も、エチオピアはアスマラの外国人の避難のために先週末半
  日ほどアスマラ空爆を停止し、またCNNのHPによるとエリトリアがルワンダ・USAの
  調停案を受けるならいつでも停戦する用意はある、と言っている。(こうなるとどう考
  えても国際世論はエリトリアに不利になる。)

ま、こんな所です。





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