道化師(ピエロ)
サーカス小屋に明かりが灯る
今夜、公演の最後の日
ピエロがお客を出迎える
テントの入り口で戯けてみせる
俺の隣を歩くの女性が呟いたよ
「あのピエロさん、面白い」
テントに入って暫く経つと
サーカスの団長の挨拶があり、今夜の祭典が始まった
ピエロが小屋を走り回り
お客を喜ばす
大玉に乗っては転げ落ち
猛獣達には追いかけ回され
マジシャン達にはこき使われる
俺の隣に座った女性が笑ったよ
「情けない」
二時間の祭典も終盤に入り
花形スターの女性がお出ましだ
遙か上の空中ブランコ
美しい女性がテントを飾る
ピエロは彼女を登り柱まで送り出す
俺の隣りで見上げる女性が言ったよ
「すごいわね」
静かな時間の後、喝采の瞬間
ピエロがスターに拍手を送る
スターがフニッシュを決めようとした瞬間
その静寂はやって来た
隣で天使に心を奪われていた女性が沈黙したよ
「ぇっ・・・・・」
空中ブランコから
翼のない天使が堕ちた
静寂の後のざわめき
隣で口を押さえる女性が呟いた
「なんで・・・?」
突然のアクシデントで幕が下りる
団長のお詫びの挨拶が
まだ、ざわめくテントに響きわたる
隣で青ざめた女性が呟いたよ
「最悪・・・」
帰りのテントの外で
ピエロが踊る
隣を歩く女性が怒った
「何もこんな時に踊らなくても・・・」
俺はそのピエロをじっと見続けた
空から雨が降り出した
もうすでに、誰一人テントのまわりには居ない
俺はピエロに話しかけた
「どうして踊るの?」
ピエロは答えた
「戯けることがピエロだからさ」
ピエロは戯けづける
いつまでも
自分を偽ってでも
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