山口青邨筆墨展 

   
2002年5月10日 オープニングセレモニー



左から宮津理事長、鷹羽会長、山口梅太郎氏、斎藤夏風氏


会場の様子


軸装【こほろぎのこの一徹の貌を見よ】『庭にて』


軸装左【外套の裏は緋なりき明治の雪】『露團々』 右【菊咲けり陶淵明の菊咲けり】『雪國』


額装【たんぽぽや長江濁るとこしなへ】『雪國』

 ▼俳句文学館 第372号記事より

 山口青邨筆墨展が平成十四年五月十日(金)から十五日(水)までの六日間、俳人協会の主催で俳句文学館三階展示室で開催されます。
 山口青邨は明治二十五年五月十日生まれで、今年は生誕百十年にあたります。青邨没後俳句など文学的遺品は雑草園と称した家宅とともに故郷の岩手県北上市の日本現代詩歌文学館に移されましたが、今回は俳人協会が所蔵するものに加え、青邨一門が所有する軸装、色紙、短冊などの遺墨と、山口家が保有する遺品の中から、青邨自筆の絵画やスケッチ集、さらに現代俳句の貴重な記録資料や写真と、生前録音された声など八十余点を展示します。  展示予定の主なものを紹介すると、〈みちのくの淋代の濱若布寄す〉〈外套の裏は緋なりき明治の雪〉〈菊咲けり陶淵明の菊咲けり〉〈こほろぎのこの一徹の貌を見よ〉など代表句十五点。
 額装では、〈たんぽぽや長江濁るとこしなへ〉など四点。色紙は〈初富士のかなしきまでに遠さかな〉 〈光堂かの森にあり銀夕立〉など二十七点、短冊は〈ぼうたんの雪塊を吐き蕾割る〉〈人を信じ蛙の歌を聞きゐたり〉など三十七点です。 このほか生涯の句集十三冊、「夏草」初版本、交流した諸俳人の俳句原稿を展示します。珍しいのは青邨が若い頃描いた横長の水彩絵で、これを見た門下は誰もいないという、今回初の公開品です。
このほか鉱山学者として業績を知る書として、名著「浮游選鉱法」の初版本、伯林留学時代の資料、更に昭和六年、青邨宅で長男梅太郎氏の初節句祝いの句会に出席した風生、秋櫻子ほか当時のホトトギス有力俳人の寄せ書きなど昭和初期の貴重な俳句資料も展示する予定です。
 九十六歳の長寿だった青邨の遺した資料は膨大です。その中から厳選の展示品は青邨の全容がよく判るものと思います. この機会に是非御覧下さるようご案内いたします。
(斎藤夏風)