燧ヶ岳

燧ケ岳 (2356m)

尾瀬の名山かつ東北地方以北最高峰

「尾瀬沼のほとりに出、その傍らにそびえ立つ燧岳を眼にした時には、
それこそ本当の仙境であったに違いない。」(深田久弥)

1999年7月25日（日）晴れ＆雷雨
メンバー：女３男３
コース　：那須4:00－6:00御池6:40－10:40俎嵓12:00－15:00御池

・去年の秋の日光白根、今年の武尊、赤城とあちこちに登るたび、おいでおいでしていた燧ケ岳を仲間と目指す。メンバーは栃木・塩原のハンターマウンテンスキー場にいる私の仲間とその知人。全員那須に在住。前夜から那須の大ちゃん家にビバーク、早朝落ち合い、尾瀬に向かう。

熊沢田代にて燧ケ岳をバックに

御池に6:00に到着。駐車場の混雑を心配したが、駐車率は80％くらい。スキー場パトロール隊長のAさんがいきなり叫び声をあげて出発、無体力トレッカーRIKIはおおいに先が思いやられる。Aさんの奥さんは身が軽い。泥沼状態の登山道をうさぎさんのようにピョンピョン楽しそうに登って行く。

広沢田代にてワタスゲの中を行く

連日の雷雨で泥道と化した急登の道が続く。スパッツは必携。途中で色々な花が咲いており一番年配のOさんが名前を教えてくれる。しかしひとつ花の名前が頭に入れば前のやつが抜けていくというまさにトコロテン状態の頭の中で、唯一覚えているのが「ギンリョウソウ」。1時間ほどあえぐと広沢田代に到着。ワタスゲの大群落で辺りは白い絨毯と化す。まさに絵葉書を見るようで思わず「なつがくうればおもいだすうう♪」と口ずさんでしまい、周りのハイカーのヒンシュクをかう。ここでみんな大休止、私は皆さんが持ち寄った那須の畑の幸をいただき感涙にむせぶ。


熊沢田代にて		雪渓にてポーズ

さらに1時間ほど急登をあえぐと熊沢田代に到着。「うわっ！スゲエ！」なだらかに広がる草原は今度はキンコウカの黄色い絨毯が一面に広がっている。田代はどこまでもやさしい曲線で、その中を芸術品のように木道がどこまでも続いている、その先には青空を従えた燧の頂がさっそうとそびえている。あまりの絶景に絶句、この光景は夏がこなくても絶対思い出すだろうと思う。メロンパンさんが感動した面持ちで燧ヶ岳に向かって叫ぶ。「はじめまして！」

小休止後、ファイナルアプローチに挑む。ここまで無体力トレッカーは好調。田代を過ぎてしばらく行くと水場があらわれる。冷たーい、きっとどこかの雪渓から流れてきているのだろう。口に含むとすごく甘い。さらに進むと小雪渓が現れる。みなサクサク進む。
しかし山登りを続けているからこそ夏の雪は珍しくないわけであって、最初は大感動したものだ。いけないいけない初心を忘れている。

山頂へのファイナルアプローチ。

振り返ると熊沢田代の向こうに会津駒ケ岳(深田百名山）の絶景！

10:40、ついに燧ケ岳山頂・俎嵓に到着。突然ひらけた尾瀬沼・尾瀬が原方面の光景に皆大感激。日光白根が遠くにひときわ高い頂を誇示している。去年はむこうからこっちを見ていたのだ。私が印象的だったのは至仏山の後ろに見える笠が岳。実に凛々しい。
大ちゃんは前に尾瀬沼から燧ヶ岳を一周した時に、いつかこの山に登りたいという思いが実現し感慨深そうである。Aさんの今年の目標はこの山から尾瀬沼を見下ろすことだったらしい。
最高峰の柴安嵓はガスっている。食事後往復しようかと考えたが、みんなの体がもう終了ムードなので情けなくもやめる。このまま尾瀬沼に下りようかとも思ったが、沼山まで時間がかかりそうなのでこれもやめる。心残りだが来た道を御池まで戻ることにする。（これ実は大正解）時間は12:00。


山頂にて尾瀬沼をバックに記念撮影		山頂にて。左・武尊、右・至仏（笠が岳わかるかな？）そして手前に広がるのが尾瀬ケ原

熊沢田代まで下山して後ろを振り返ると、すでに燧ケ岳の上空は暗い雲がかかっている。広沢田代を通過中についに空が雷鳴をあげる。ものすごい迫力！恐怖で田代の木道をみんな走って逃げる。この怖さは経験した者でなければわからない。樹林帯に逃げ込み怖さは無くなったが、豪雨の心配でみな急いで下る。うさぎさんもピョンピョン跳ねている。15:00御池到着。まだつぼみ状態のオオウバユリが迎えてくれる。

帰りは桧枝岐村の共同浴場で温泉につかり、名物のソバを食べて帰路についた。途中ハイカーに聞いた話では、尾瀬沼あたりはものすごい雷と夕立で、逃げ場もなく（木道のみ）、まさにロシアン・ルーレット状態だったらしい。
メンバーの体力度を紹介すると、Aさんはスキー場のパトロール隊長、奥さんのうさぎさんは指導員、メロンパンさんが準指導員、大ちゃんはクラウンプライズ、Oさんは昭○山岳会のOGでつい最近エベレストのベースキャンプまで後輩たちを案内したそうな。このメンバーにあって、無体力トレッカーRIKIは最後まで生きた心地がしなかったのは言うまでも無い。

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