奥穂高岳・西穂高岳縦走
一般山岳ルート日本最難関(だそうだ)
主なピーク:奥穂高岳(3190m) ジャンダルム(3163m) 西穂高岳(2909m)
目標:「ジャンダルムでラーメン食うぞ!」
「穂高よ、涸沢よ、待たせたぜい!」
無体力トレッカーRIKI、ついに穂高に初登場!!
(ザイテングラート取付点にて)
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プロローグ 穂高岳 北アルプス | ||
(99年、家族で上高地ハイキング。背後が穂高岳)
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<第1日> 上高地⇒横尾⇒涸沢⇒(ザイテングラード)⇒奥穂高岳山荘
2004年9月1日(水) 大阪⇒上高地(翌朝) 9月2日(木) 上高地 7:00 ⇒ 10:30横尾 ⇒ 11:35本谷橋 ⇒ 13:40涸沢ヒュッテ ⇒ 15:45ザイテングラード 取付点 ⇒ 17:30穂高岳山荘 標高差:約1500m |
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涸沢大カール(カシミール画像) |
大阪からの夜行バス、しっかり寝たつもりでも、上高地に着くとなんとなくけだるい。雨もぱらつく。予報では午前中まで雨でその後天候は回復するらしい。レインウェアを着て横尾に向かう。この道は3回目、過去2回は槍を目指して息子とたどった。何回歩いても横尾まで本当にかったるい。平地を歩くほうがかえってずっしりと肩にザックが食い込む。体調も悪い。寝不足だ〜。横尾までの2時間半、なんとかならんかのぉ。
横尾から初めて横尾谷(涸沢方面)に入ったぞ。やっぱ体調最悪。全身から「やる気」というものがまるで沸き起こらないのである。ピンチ!おまけに雨はやまないわ、空は暗いわで、お先真っ暗。おーい、午後になったら雨あがるんじゃなかったのぉ?暑いよぉ〜、蒸れるよぉ〜、最悪ぅ。
はたして今日中に穂高岳山荘まで行けるのだろうか?そして明日は西穂まで縦走できるんだろうか?
梓川。雨はずっとふっている | やっと横尾。あ〜あ屏風岩が 見えないよ〜 |
涸沢への道は初めてだ! これが本谷橋 |
9月に入り、平日ということもあって、人はまばら。この北アルプスで一番人通りが多いと思われる涸沢への道も、すれ違った人は少ない。さびしいなあ。レインウェアの中は汗でダクダク、だんだん気持ち悪くなってくる。本谷橋を過ぎると、道が険しくなる。いつもの疲労感ではない。繰り返すが体に力が入らないのだ。しかし、長年夢見た明日の西穂への縦走、ジャンダルム登頂という、強力なモチベーションは無体力トレッカーを確実に涸沢カールに一歩一歩近づけるのであった!
「こんなの涸沢じゃな〜い」通りすがりのおばちゃんが、ぶつぶつ言っている。雨は止む気配どころか、強くなってくるようなかんじ。ガスで屏風岩も何も見えない。少しでも景色が見えれば多少は元気が出るのに。。。と思って我慢して歩いていると、一瞬だけガスの向こうにカールが見えた。「おー」「おー」元気が少し出た。単純なのである。しばらくまた我慢すると、涸沢ヒュッテと涸沢小屋の分岐が現れる。そしてほどなくして涸沢ヒュッテに到着した。
「おー」「おー」やっと着いたぜ。ここがあの有名な涸沢ヒュッテかぁ!でも誰もいないもんね。誰もいないテラスを雨が激しく叩きつけている。つい数日前までは夏登山客の喧騒だったかと思うが、今はさびしい限りだ。ここでしばし休憩。水を補給し、レーションも補給。30分くらいたつと何となく周りが明るくなってきた。予報では午後から天候回復だが、遅ればせながらそうなってきたのか。
ふ〜っと息を吐き、ザックを担ぐ。明日の最難関縦走路に備えなるべく軽くしようと思ったが、着替えやら食料やらでやっぱり重い。明日は大丈夫なのかなあ?単に奥穂だけの登山なら、間違いなく今日はこれで終わり、ここに泊まっているはず。
重い足をひきずってヒュッテを出る。テントは10張程度。見上げるとガスが一瞬消えたりして、涸沢の大カールが顔を覗かせる!
「おー」「おー」(またかよ。。)写真で見るよりずっと迫力あるなあ!うん、すごいすごい!さすがは聖地・涸沢、おおお!RIKIが好きな「涸沢槍」が見えたよ!!わーかっこいいなあ!涸沢カールは涸沢槍でもっているようなもんだもんなあ。やー本物見ちゃたよ!(初心忘れず、我ながらカワイイのである)
いやー元気出てきたぞ。
涸沢ヒュッテ付近からのショット
寂しい涸沢ヒュッテも レアでラッキーか |
屏風の頭が見えてきた ヨシヨシ |
ガスの切れ間に涸沢カールと涸沢槍! 穂高で2番目に好きなピーク |
涸沢カール、写真から想像するより結構急なのである。想定外なのである。聞いてないのである。ヒュッテを出てから登山路のザイテングラードまでほんの少しかと思っていたら、これ大きな勘違い、大きな岩クズにうまくつけられたルートを延々と登る。ジワジワと身体に応えてくる。ガスもじわじわと薄くなり始め、涸沢槍が見える頻度が増えてきた。前穂の北尾根のギザギザも姿を現す。あこがれの聖地が姿を現しはじめ、僕は一人そこにいる。涸沢を独り占めしている気になる。カールの途中で何度も力尽き、石クズの上に大の字になる。体調はあまりよくない。苦闘の末ザイテングラードの末端に到着する。
前穂・北尾根。カールからは 予想以上にせりあがる。 |
やっぱ涸沢槍はかっこイイ! | 振り返れば、屏風の頭の向こうに、 常念岳も姿を現しだしたぞ |
ザイテングラード末端 | 末端にてカッコつけるRIKI (疲れてるのにようやる) |
ザイテングラードとは独語で「支稜」「側稜」の意味。普通はリッジと言うが、この名称は穂高の固有名詞となっている。奥穂高への登山道はご丁寧にもこのザイテングラードについている。ここから岩登り的要素が強くなる(が、たいしたこと無い)。去年の剱岳や四国の石鎚山、先週の六甲・西山谷、それに比べればカワイイもんだ。
「ザイテンまでくれば、もう穂高は俺のもんだぜい!」とこれまでのヘロヘロを棚に上げ、息巻くRIKI。しかも恐ろしく長い休憩(40分)を取ってしまうのであった。ちょっとでも先が見通せると、思いっきり手抜きをしてしまうというのが無体力トレッカーの悪い癖。
案の定ザイテンを上り始めると、もう青息吐息。ヒーヒー言いながら高度を詰める。しかし、青空も見え出し、湿気もなくなり、気分は爽快!陽は西に傾き、見よ!前穂高が赤く輝いているではないか!(モルゲンロートとは言わない。モルゲンは朝焼けに輝くこと)。ザイテンを詰めること約1時間、ようやく今宵の宿・穂高岳山荘が見え出した。
ザイテンをえっちら詰める | 穂高岳山荘が見えた! | 天気も回復!夕日に輝く前穂高岳 |
山荘には17:30に到着。不調とは言え、上高地を出発して10時間以上もかかってしまったわい。夕食はキャンセルしようかと思ったが「ご遠慮なくどうぞ、今用意しますから」という優しいお姉さんのお言葉に「そうですかぁ〜♪」と甘えることにする。18時頃に遅く到着された単独行の方と二人で夕食を採る。聞けば上高地を9時に出発し、岳沢を上ってこられたと。明日は?とお聞きするとRIKIと同じく西穂まで縦走するという。
山荘の中が真っ赤に染まってくる。夕焼けが最後の輝きを増す。明日は一日好天のサインだ。日本最難関ルート縦走にはこれ以上ないサイン。緊張感は無い。静かに今日の疲れを癒す。zzzzzz
穂高岳山荘の夕暮れ