六甲山・芦屋地獄谷


六甲でも屈指のオモロイ谷を遡行


万物相

  


おどろおどろしい名前の谷、「地獄谷」。六甲には地獄谷と呼ばれるところがいくつかあるが、今回は「芦屋・地獄谷」である。ロックガーデン地獄谷とも呼ばれる。西山谷と並んで関係当局からは経験者向けコースとされてイロイロ警告されている。が、行ってしまった。

2005年7月23日(土)

コース
阪急・芦屋川駅 ⇒ 高座ノ滝 ⇒ 地獄谷 ⇒ 一般道稜線 ⇒ 高座ノ滝


こんな近くにこんな楽しいコースがあるなんて、なんと関西人は幸せなんだろう。と、遡行後ホンマにそう思った。最初はミニ沢登り、中盤から後半は岩稜歩き、短い時間にバラエティに富んだ山の楽しさが経験できる。滝を直登したり岩をよじ登ったりと、ちょっとだけスリルもあるし、大都会の近くとはとても思えない不思議な光景にも出くわす。(トップの写真)
なお、ここは日本のロッククライミング発祥の地でもある。


もう何度も来ておなじみになっている、ロックガーデンの入口の「高座の滝」。芦屋川から歩いて30分。茶屋も2件あって、ナカナカ良い雰囲気。高座の滝からすぐ上、ロックガーデン中央稜の登り口になる横に「注意」の標識がある。ここを下の谷に下りれば地獄谷への入口だ。降りたところは堰堤の上で、ちょっとした広場のようになっている。

ロックガーデンの入口の茶屋 地獄谷の始まり・堰堤の上


何度も何度も六甲に行くたびに言っているが、神戸のすぐそばにこんな秘境のような谷があるなんて信じられない。さっそく滝の直登からスタート。左右が狭まったシダが生い茂った秘境のようなところも通る。ああ楽しい!

こんな滝をいくつか登る 秘境のような雰囲気


滝をいくつか登り沢登り気分を味わったあとは、だんだん渓相が明るくなってくる。ふと空が明るくなり、左手にロッククライミングの練習跡が生々しい大きな岩が現れる。A懸垂岩、通称「Aケン」と呼ばれる岩だ。RCCをはじめ先人達の数多くの足跡が刻み込まれている。さらに進むと岩の尾根を通ったり、狭い風化した岩と岩の間をすりぬけたり、今度は岩稜歩きの様相になる。

左:A懸垂岩、通称「Aケン」
中:こんな狭い岩の間を通る
右:秘境の向こうに都会が
  すぐそば。



しばし歩くと風化した岩が荒涼とした場所に出る。大きな岩が地面にごろごろと転がっている場所がB懸垂岩跡だ(通称「Bケン」)。阪神淡路大震災で崩壊した、元ロッククライミングのゲレンデだそうだ。ここまで順調だったが、このBケンでしっかりルートを間違える。靴で磨り減った岩肌を追っていると、どんどん上の方に案内され、途中で「な〜んかおかしいなあ」とは思いつつも、なんとBケンのトップに登ってしまった。足下は絶壁。遠くを見ると風吹岩でのんびり休んでいるハイカーが見える。「おまえバーカ」と言われているような気がした。反対側に降りるところはないかな〜、としばらくあがいていたが、どうしても絶壁で行き詰ってしまうので、しょうがないので来たルートをビビリながらも下降する。


左:Bケン(崩壊した痕跡が)
右:Bケンから見下ろした風景


何とか別のルートを見出し、さらに進むとまた次の花崗岩のむき出しになった場所に導かれる。ちょっと向こうに「ピラーロック」と書かれた看板が目に入る。このピラーロックも震災で崩れたらしい。このあたり全体をピラーロックというのかどうかは不明だが、「墓場」とか「万物相」とは呼ばれているようだ。「万物相」とは、朝鮮半島の金剛山の景勝地「万物相」に似ているところから命名されたとのこと。まるで別の惑星にやってきたような不思議な光景だ。

万物相3連発写真



万物相をすぎて、樹林帯を登っていくと、風吹岩へ登る一般ハイキングコースに飛び出す。このあと荒地山のロックガーデンにも行きたかったが、Bケンで時間も取られたので、次の楽しみとする。
高座の滝までホイホイ下り、芦屋川まで灼熱のアスファルト道路、高級住宅をうらやましげに眺めながら歩く。前身汗まみれ。西宮北口の王将でビールセットを注文し、炎天下のなか久々の「へろへろ」帰還となった。


なんと楽しいこのコース!!!


おわり

    |関西通信へ遊びの記録へ|