大台ケ原(1695m)

大杉谷を歩かなければ単なるピクニックコース


関西に日本屈指の谷あり!あの黒部の主「冠松次郎」も絶賛した名渓が、大台ケ原にある「大杉谷」である。連続する滝と淵、大岩壁、原生林の森まさに深山幽谷。しかし昨年2004年に台風の被害をモロに受け、登山道はズタズタ、がけ崩れ、つり橋の落下。2005年の今年になってもまだ復旧はしていない。そもそも一般登山者にはなかなか寄り付けない渓谷に、がんばってつけられた登山道なので、いったん崩壊すると修復は途方にくれる作業なのだろう。というわけで、2年前から狙っていた大杉谷遡行は今回はあきらめ、大台ケ原の山上台地を単に「百名山の数稼ぎ」するためだけに巡ることにした。


<日時>
2005年5月21日(土)

<アプローチ>

大阪から近鉄電車で大和上市へ、そこから大台ケ原行きバスで駐車場へ。西宮から4時間かかった。

<コース>
大台ケ原駐車場 → 日出ヶ岳 → 正木ガ原 →
牛石ガ原 → 大蛇ー → シオカラ橋 → 駐車場
ぶっ飛ばして2時間半



西宮の寮を5:30に出発。阪急電車で大阪・梅田、そこから地下鉄で天王寺へ。天王寺・阿部野橋で近鉄電車の急行・吉野行に乗って約1時間半で大和上市。8:20発(8:40だったかなあ)の直行バスで大台ケ原の駐車場に到着したのは10:30頃。実に寮を出てから4時間を要した。到着後帰りのバスの整理券が配布されるので14:30と16:30の2便のうち、余裕を見て16:30のバスの整理券をもらうことにした。5月の良い天気であったが、まだまだ人の出足は少なそうである。バスも乗車率80%程度だ。駐車場も8割程度の入り。きっと観光シーズンは混雑するんだろうな。大きなレストハウス「大台荘」を横目に見てさっそく日出ヶ岳への道へ入っていく。
道は観光地の遊歩道なみに整備されている。子供づれも多い。子供を連れてノンビリハイキングにはもってこいの山だ。30分も経たないうちに日出ヶ岳頂上に到着!霧ヶ峰、筑波山なみの楽勝百名山ゲットである。頂上からは大峰山脈の山並みや反対側はなんと海も見える。天気は上々だが、なぜか厚い雲の一団がたまたま頭上に居座っており、なんとなくどんよりした風景だ。大杉谷への入り口があったが、しっかり「通行止め」。恨めしげに見て正木ガ原へ向かう。


@ABC
@近鉄電車(大和上市駅)。
A日出ヶ岳への道は整備されすぎ。
B日出ヶ岳への最後の登路。
C日出ヶ岳頂上から見た尾鷲方面の海。



久しぶりの山歩きだが、快調である。正木ガ原の立ち枯れの風景を見たらなんとなく感動するかなと思ったが、写真とそんなに印象が変わらないのでさっさと先を急ぐ。どんどんハイカーを追い抜いていく。なぜだか何となく物足りない。やっぱり大杉谷にいけない鬱憤があるようだ。「やべ、このままだと16:30のバスまで時間が有り余ってまうで〜。早く一周して14:30のバスで帰ろ。」その思いがますます足を速めさせる。
途中、絶景の大蛇ーはパスしようかと思ったが、せっかくなので行くことにする。到着した大蛇ーでは大勢のハイカーが「キャーすごい」「怖いなあ」などとはしゃいでいるが、高所平気症で昨年奥穂から西穂まで縦走したRIKIにはなんの感慨もないのであった。やっぱり今日はちょっと気持ちがひねくれているのかも知れない。(初心を忘れているな〜)
ルートに戻り尾根をどんどん下って行き、やがてシオカラ谷にかかるつり橋を過ぎると、そこから大台・山の家付近まで急登。息を切らして緩やかな場所までたどり着くと、やがて駐車場が見えてきた。時間は13:10。バスの案内所で無事に14:30発の便と交換してもらう。おなかが減ったのでレストハウスでそばとごはんのセットを食べる(美味!)。
時間通り出発したバスで熟睡。帰りは上市から特急で大阪に戻る。途中に見た二上山はなかなか姿が良かった。


DE






     D正木ガ原の立ち枯れ。
     E大蛇ー
     Fシャクナゲが八分咲き。

F


うーんなんと言ったらよいのか、大杉谷へは行けなかったものの、大台の良さはそれ以外にもあるはずで、何故だかなんにもその良さを見出せなかった。街の近くの大きな自然公園を歩いたようなイメージしか残らなかった。整備されすぎのせい?でもファミリーハイキングにはうってつけの場所なので、その点だけは評価したいな。


紀伊半島には百名山はふたつ、大台ケ原と大峰山。この山の魅力は山麓から展開する息を呑む原生林、渓谷美にある。時間がもったいないからと言って、安易に山頂付近を往復するような訪れ方では「あれ〜?こんだけの山なの〜?」と思ってしまうこと必定、かえってもったいない。じっくり時間をかけてこれの素晴らしい名山を堪能しましょう!


おわり



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