六甲山・西山谷
六甲で一番ヤバイ谷を遡行
西山大滝
死人が出る六甲のコースといえば、この西山谷である。関係当局からは熟練者向けコースとされ、初心者や単独では行かないようにと警告されている。
2004年8月28日(土) コース 阪急・御影駅 ⇒ (バス) ⇒ 蓬来山荘 ⇒ 渦森橋 ⇒ 寒天橋10:00 ⇒ 西山谷突入 堰堤の嵐! ふるさとの滝、西山大滝、二条の滝、愛情の滝etc 滝の総数は20を超える。 ⇒ 14:00 天狗橋の東に出る ⇒ 六甲ケーブルで下山。 標高差:460m |
体力も技術も無いのに難しいコースは行きたがる、それがRIKIの最大の欠点である。怖いもの見たさもあったが、翌週に控えた「日本最難関一般ルート」と言われる奥穂高・西穂高縦走のためのトレーニングを兼ねている。
最初は渓相も明るく、地元住民が犬の散歩をしているようなのんびりした光景である。そのうちだんだん谷が狭くなって滝が現れてくる。
寒天橋 ここから入渓 | 最初は明るく広い。 | F3 滝の右側を登る |
神戸のすぐそばにこんな秘境のような谷があるなんて信じられない。滝のそばをよじ登ったり、巻いたり、浅い水の中を歩いたりと結構楽しい。
F4 右の岩を登る | F5 ふるさとの滝 |
ふるさとの滝を過ぎた後の堰堤は手前の左側をガケ登りするが、足場がもろく、なかなか上に進めず難儀であった。ロープはあるが、それに取り付くまでにかなりの時間を要す。落石をどうしても発生させてしまうために、もし下に人が続いている場合は要注意だ。そろそろこの谷がその牙を剥いてくるのか?
参るのは、堰堤が多いこと。現れるたびに通せんぼされた気分になり気がめいる。横をエッチラよじ登って上に出る。見上げた時はため息が出るが、上ってしまえばあっという間。でも数が多すぎ。
堰堤。見るたびため息 |
F7の西山大滝でその事件は起こった。ここの河原で昼飯を食べていたら、突然後ろのガケからガラガラっと大きな音が、、。振り向く暇もなく、RIKIの3mほど横に、子供の頭くらいの岩がもの凄いスピードで飛んできた。そう落ちてきたのではなく、「飛んできた」のである。落石の話は何度もきくが、まさかあんな猛スピードとは。。まるで近くから思いっきり岩を投げつけられたような勢い。もし頭にあたっていたら命が無い、というほどのスピードだったのだ。恐怖で身体が一瞬凍りつく。(ほんと恐ろしかったんだから)
西山大滝は左側(右岸)の岩を20mほど登るが、ここは難所。最後は岩がオーバーハングしていて、ホールド箇所が無く、なかなか身体を上に持ち上げられない。ここはザイルがあった方がよいかも。なんとか岩の奥に飛びつき手のひらの摩擦で岩をホールドし事なきを得たが、バクチだった。もし手が滑ったら大けが間違いない。さっきの落石といい、この上登りといい、六甲で一番ヤバイ谷というのもわかる。
左:F7西山大滝(ここで落石に遭遇) 中:こういう小滝は無数? 右:斜面をよじ登る。ヤバイ箇所多数 |
踏み跡が分かれてたり、途中で道が消えたり、結構迷いやすい。標識もないし、時々あるマークやリボンが頼りだ。もくもくと谷を遡行する。何度も書くが堰堤にはうんざり。
西山谷には番号がついた滝だけで18箇所もある。堰堤は12箇所以上?さすがにハードである。F17の愛情の滝は右側の通路みたいな道を足元の崩壊に気をつけてよじ登る。(滝の番号はガイド書によって異なるようである。RIKIは「山と高原地図・六甲摩耶」に付属のガイドを参考にしている)
このあたりは谷が思いっきり狭くなり、薄暗く本当に不気味。お化けが出そうである。さっきの落石のこともあるし長居は無用。
最後の滝(?)は巨岩に囲まれた滝。滝の手前の巨岩を見上げて登れるルートを探す。で、よじ登るが途中で行き詰ってしまう。どうしようか、思いっきりまたバクチしようかと思ったが、ヤバさはさっきとレベルが違うのでまた谷底に下りて別のルートを探す。するとそこから5mほど手前にマークを発見。結構それもヤバイ岩登りであったが、何とか上に出る。
ラストは笹の斜面を馬力で登る。息がゼイゼイ、ハアハアと切れる。笹が気持ちわり〜。最後はよっこらしょとガードレールを乗り越え、サンライズドライブウェイに飛び出す。場所は天狗橋のあたりだ。
左:愛情の滝 中:上部は暗く狭く不気味な 様相。 下:笹をかき分け道路に飛び 出す。 ふ〜、結構ヤバかったぜ。 |
ここから、ドライヴウェイの灼熱の道路を六甲ケーブルに向かって歩き出す。ここまで人気が全く無い命の危険もあるような谷を遡行してきただけに、急に俗塵の世界に戻るこの感覚は何とも不思議で形容しがたく(六甲らしいとでも言おうか)、とってもシュールなのだ。
六甲ケーブルではカップルがいちゃついて乗っている。「俺はなあ、さっきまで死にそうなことやってきたんだぞ。」と叫びたくなったが、それは「あんたの勝手でしょ」なのである。
そりゃそうだ。
おわり